Strotter Inst. 『Miszellen』 Phurpa 『Gyer Ro』 『Gyud』

映画の『メッセージ』観たのですけど、非常に感動しました。
ヴィルヌーヴ監督は前作からヨハン・ヨハンソンと一緒にやっていますけど、このためだったのね、という。
というのは、ミニマル、ドローンという音楽が、音楽本来の、時間芸術というところに疑義を呈すような音楽であるからで…。
そのことを全面に押し出して演出された本作は物語のないように沿うように映画自体も特異な時間間隔を持った作品になっていますよね。
それでオープニングとエンディングが同じ曲になっていて映画が輪っかの構造になっていますけど、その曲がマックス・リヒターのあれっていうのもまた…原作で使ってた理屈からですよねあれは。
あと大澤真幸の『革命が過去を救うと猫が言う』『恋愛不可能性について』とかを思い出して、他者を愛するっていうことの奇妙な感覚を絶妙に表現しているなとも思って。
「いつかあなたを愛するということを今までずっと忘れていた」っていう、そこにおいて本作は普遍的なラブストーリーでもあるなと感じました。

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そんな感じで異端ではあるけどドローン/ミニマル系二作。
どっちもArt Into Lifeに置いてあるので探してみてください

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Strotter Inst.ことChristoph Hess クリストフ・ヘス、以前にも一度書いてるけど、ターンテーブルを用いて演奏するアーティスト。
ただそこで用いられるターンテーブル/レコードは度を越して逸脱的な改造が施されている。

今回のLP二枚組はHallowgroundなるレーベルからリリースされたばかりの最新作で、この人がリリースがそこまで多くないのもありフルサイズの作品としては本当に久々な気がする。
今回の作品は曲ごとに元ネタが表記してあって、まぁ全部が分かるわけではないのだが、それでも中にはNurse With Wound、P16D4、Foetus、Ultraなんて表記もあって、微妙に趣味の分かるような一貫性のあるチョイスがおもしろい。
元ネタ表記があるところからも推して知るべしなんだけど、今回は元の曲を結構生かした音作り。印象的なギターフレーズが繰り返されていて何だろうなと思って調べると、そこで使われているDarsombraという人はギターとベースを一人でどんどん重ねながら音楽を作っていくアーティストだったりとか。
上の映像見てもらえば分かる通りで、今までは物理的な運動の記録にフォーカスしていたことを思うと、今回の作品は新鮮。
もちろん彼らしい無機的で歪なループ/ビート感覚が全体を支配してはいるのだが、そこに元ネタとなっているアーティスト達のこれまた歪な世界観が交わって独特なダーク&ディープミニマル音響を生み出している。
更にはピアノやチェロの奏者が加わっているトラックもあり、これがまたダークな演奏でアルバムに彩りを加える仕上がり。
彼らしい無骨でロウな響きの物理ミニマルに既成音楽の解体/再構築の要素が大きく加わったアルバムで、新しい領域に踏み出したなぁという印象。
しかしこの人のLP聴いてて思うのが、演奏風景知ってるだけに(ライブで何度か見た)、あれをレコードで聴いてるっていうのが不思議極まりない状況だよなあっていう。


密教ダークリチュアルへヴィボイスドローンPhurpaの最新リリースは二枚組『Gyer Ro』とライヴ盤『Gyud』。
例によっていつもと同じ感じのアレなのだが、それと分かっていても圧倒される凄まじい迫力の内容。
『Gyer Ro』、一枚目から78分一曲の超濃厚パフォーマンス。低域でうねる声明がほとんどを占めるところはこの人達?の音楽の核を取り出したようなトラックと言えるのではないかな。
二枚目では三曲が収められている。トーンとしてはほぼ同じながら独特なパーカッションやディジュリドゥ的な管の響きがフォーカスされる箇所があって、儀式めいた構成をより強く感じさせる。
"Hundred Syllable Mantra"なる曲の声明は無数に重なっているような途轍もなく深く潜るような響きがある。どのように録音しているのだろう。
『Gyud』は2016年のチューリッヒでのライヴを収録したもの。67分1トラック。
で、なんと録音がデイヴ・フィリップス。フィールドレコーディングの他、この手の民族音楽、儀式などのレコーディング記録作品も手掛けているので、そこからの人選なのだろう。
パフォーマンスの内容はというと、これまた例によって例によるアレなのだが、録音か会場によるものか、空間の響きを利用したような半モアレ化した低域の倍音がトリップに誘うかなりヤバい内容。
人体が生み出す彼岸のドゥームメタルであり、極北の音楽行為であり、音そのものの怪物だ。
他所じゃ聴けない凄え音楽聴きたいなら、この人達を聴いてみたらいい。



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otaku young team セッションアトスタジオミュージアム

先週末にセッションしました


ニコラスD&ザ・スタンピード
どっちかっていうと孤独のグルメ感があります(ゴロちゃんがご飯追加オーダーするとともにノイズパートに突入する)


Ikiri Otaku Young Team
イキったベースソロを弾いてしまいました


C.C.C.~Little Girl Big Muff (сделано в России)
いま使ってるトレモロは狂ってるのですが頑張って制御するのがなかなか楽しいです


巌窟王
9分位のところでオバケが映ってると思います

 

Francisco Meirino & Miguel A. Garcia 『Nonmenabsorbium』 Don & Camille Dietrich 『Dietrichs』

『スプリット』観たんですけど、非常に独特なトリッキーでありつつキレのある見せ方+マカヴォイの役者魂と超絶演技が生む迫力のある怪作でしたね~ところどころ一人称視点カメラも有効に使われている点などは前作ヴィジットからのフィードバックを感じたりも。
ヴィジットといえばあれは全編がそんな感じでしたけど今回も…覗き穴や扉の隙間、あるいは音だけなど、ヤバイものがちょっとだけ見えるような演出の仕方ってとてもイイなと思いました。

あと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』観たんですけども。
劇場暗くなって予告が始まったとこで、隣の席にいつの間にかおっさんが座ってることに気づいたんですね。
それで、平日だし結構席空いてるけどなあ、まあど真ん中だしなあ…みたいに思いながら映画観ていたんですけど。
で、映画終わって、席立とうとしたら、そのおっさん、めっちゃ泣いているんですね。
おお…おお…とか言いながら泣いてるんですね。
おっさんが通路側の席に座ってたから僕は困ってしまったんですけど、実のところ上映中僕も結構泣いてしまって(何というかタイトルバックであの歌がかかる時点でもう駄目だった)、気持ちが分かってしまったせいかな。
なぜかそこで、声かけてしまったんですね。映画良かったですね、って。そしたら、良かった…良かった…っておっさん。
あいつら…家族って…なのに、おれ、こんな…っておっさん。
大丈夫っす、ヨンドゥ言ってたじゃないっすか、オマエはオレだって、ロケット言ってたじゃないっすか、クソガーディアンズオブギャラクシーにようこそって…って僕。
そしたらおっさんは僕の方を見て、そのときに分かったんですね。
いつも見てるそれより20年程も老けてくしゃくしゃだったけど、その顔は毎朝鏡で見る…
おっさんは僕だったんですね。


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art into life屋さんでどちらも購入できます


Francisco Meirino & Miguel A. Garcia 『Nonmenabsorbium』

当ブログではもう死ぬほど紹介してますがお馴染みFrancisco Meirino フランシスコ・メイリノのコラボシリーズ最新作。
レーベルのidiosyncraticsは他にもJean-Philippe Grossとかダークな電子系のものをリリースしているようで、この音源もそのカラー。
お相手のMiguel A. Garcia ミゲル・A・ガルシア、バンドキャンプがあったんで聴いてみたら、メイリノとコラボするのがよく分かるというか、わりと徹頭徹尾虚無的な機械作動音のモノクロ音響。

メイリノの一個前のコラボ作、エリック・アベカッシスとのものは若干辛い評価を書きましたけど、そもそも考えてみればメイリノはソロのほうが大抵いいしなぁ…みたいに思っていて…。
で、半信半疑ながらも今回のもの聴いてみたら、ウン、悪くないぞ、これ…。この、虚無感、好き。と孤独のグルメ風に独りごちてしまう満足感の高い内容だったな。
前回のコラボ作で問題に感じた、らしくなさ、いつもの音が出てないなっていう感じ…それが今回なくて、ああこれはメイリノだ、と思える音ばかりが鳴っている。
荒い感触の物理/現象音、接触不良気味なノイズ、作動音、バチバチと耳障りな切り換え。
音全体の設計、無機質な持続/ミニマル駆動音を重ねていくイビツなハーモニーの感覚。
空間的に音響を捉えてどこにどの音を配置するか?みたいな部分でも作り込みが見えて、そこもこの人のセンスの部分というところで。
二人ともわりと同じ方向を向いて音を作っているのが功を奏しているのですかね。
2年間に渡るコラボの結果の音源と書いてあるから、そういう長いスパンで作られたというのも関係しているのだろうけど。
やっぱコレだねという感じの、これはメイリノの音が好きな人なら聴いときましょうと言えるコラボ作になっている感じ。



Don & Camille Dietrich 『Dietrichs』
ラッセ・マーハウグのPica Diskから最新リリース。
Don Dietrich ドン・ディートリッヒと言えば2サックス+ギター編成の最強ノイズバンドボルビトマグースのサックスの片割れ。
もう片割れのジム・ソウターはオネイダのドラムのキッド・ミリオンズとデュオでやっているけど、こちらのドンの相方はなんと自分の娘。
このCamille カミーユちゃん、19歳とのことですが。
オイオイお嬢ちゃん大丈夫かァ~~?ノイズ、分かるの~?
とか噛ませ犬の悪漢風に言っていると脳天ブチ割られて死にさらします。
とんでもねえアルバム。

アルバムは全8曲のセッションからなり、"The Decapitator Suite"断頭鉤組曲というタイトルの通り、各パートのサブタイにプレリュード、メヌエット、カント、アレグロ…と含まれている。
因みに断頭鉤って普通は聞き覚えのない単語かと思いますけど、中絶の時に胎児の頭蓋骨を割る器具のことをこう呼んだりします。

ドン氏のトレードマークといえば過激エフェクトを通じてアンプに繋いだ極悪ノイズサックスだけど、今回はそれを封印して純粋なアコースティックのテナーだけで臨んでいる。そんなとこも、今回はおとなしめな作品?と思わせるのだが…。
再生を始めると即、この世のものとは思えないひび割れ捻じ曲がりまくったサックスが切り込んでくる。追随するチェロも神経症的ノイズをばら撒くパンキッシュな演奏。イ・オッキョンとかそっち方向の切れ味鋭いノイズチェロ。
こう言っては失礼だけど、ドンさん、こんなにサックス吹けたんだな…、という実に表情豊かな演奏…しかもそれは過激で狂った形での豊かさだ。普通の音は鳴っていないし、耳障り極まりない爆発音のような演奏だけど、そのテンションを保ったままいくらでも多彩な様相を見せてくる。
対する娘の演奏も大したもので、特に感心するのはそのレスポンスの良さ。これはやはり親子だからというのもあるのかな?相当なスピードで演奏は展開するが、テンションの上下やスピード感、音の切れ方繋ぎ方、絶妙に噛み合ったやり取りを見せる様はすでに即興演奏者としての貫禄みたいなものも感じさせる。
むしろ親父を煽るような部分すらあって末恐ろしいところだ。

クライマックスの16分間の煮えたぎるセッション"Wenis Supreme"に至って解体的交感のような雰囲気すら纏わす二人の演奏を聴いていると、ちょっとこれは親子で演奏しましたみたいなフックも全然要らん単にメチャクチャカッコいいノイズ即興のアルバムですよという感じ。
これは継続してやって欲しいし、アンプ使った演奏の音源も欲しいなあ。
カミーユちゃん、将来有望すぎるのでこれからもドンドンヤバい音楽やってって欲しいですね。


Thurston Moore / John Moloney - Caught on Tape 『Full Bleed』 Oneida & Rhys Chatham 『What's Your Sign?』

先日は欧州の狂ったノイズジャズ演奏若者たちことYes Deerのライヴを見に行っていたのですが素晴らしかったな~~~
胸のすくようなパワー&スピードのキレキレインプロでした


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本日はおなじみNorthern Spyから出ていた新作のコラボもの音源二枚がどちらも素晴らしかったのでご紹介

Thurston Moore / John Moloney - Caught on Tape 『Full Bleed』
9曲40分。
近年はMats Gustaffsson、John Zohn等一騎当千の前衛演奏家とガチンコタイマン即興演奏の音源をリリースしているThurston Moore サーストン・ムーアの最新盤。
いやしかしこのジャケのサーストン氏の似顔絵似てますね笑

Thurston Moore - guitar
John Moloney - drums

今回お相手のJohn Moloney ジョン・モロニ―とは二人で以前に数枚出しているほか、バンドChelsea Light Movingでも叩いてもらってたり結構旧知の間柄らしい。全然知らなかったけど
今回はドラムとのデュオという編成、何度も一緒にやっているというのも作用してか、メリハリが効いて演奏ごとの構成の意図がハッキリ見えるようなノイズロック風即興。各演奏がコンパクトにまとまっていることもそういうイメージにつながっているかな。
いくつかの曲でははっきりとリフとそれに絡むストレートなビートを導入していて、ロッキンな推進力で聴かせる。
モロニ―さんのドラムスもかなりロック煽りなプレイで、音の波に合わせるように分かり易い盛り上がりを演出する。合間に入るフリーな演奏のところでもスネアのランダムなビートやシンバルの拡がりのある散らし方などロック系ドラマーのそれという風な演奏。
サーストンはある種決然とした二面性の演奏…senstive / lethal…なそれで、ピキピキと火花の散るようなピッキングノイズ/お馴染みのビッグマフ踏み込みの破壊的なノイズ暴風演奏を明快に使い分けている。
とんでもない怪物たちを相手にセッションを重ねているせいなのか、演奏の進化っぷりが凄まじく、混沌とした中にソニックユース的な"あの感じ"の割り切れないコード感覚(恐らく特殊チューニングと思われる)が完璧に馴染んで溶け込み、壁のようなトーンの爆音ノイズ~ランダムに弾ける火花のようなハーモニクスのノイズ演奏も「必要な時に必要なものを出せる」みたいな感じになっていて、とても心地よい。
完全に振り切ったノイズロック"Dispute"~無軌道即興"Reverse Funeral"の流れがはっきりとアルバムのカラーが出ていて好き


ビッグマフ自慢って感じだ



Oneida & Rhys Chatham 『What's Your Sign?』
Oneidaはブルックリンで20年にも渡って活動を続けるベテランロックバンドで、その音楽性は反復を基調としたミニマル~サイケデリックなエクスペリメンタルロック。近年ではアルバムを出せば3枚組、ライヴをやれば一曲を二時間半演奏している等とんでもないことになっている。
メンバーは不定形でよく分からんのだけど中心の三人はずっと変わっていないらしい。その中の一人が、Jim Sauterとのデュオの凄まじい音源で印象深いドラマーのKid Millions キッド・ミリオンズであったりする。


最近は鍵盤×2入りの編成

ミニマルエクスペリメンタルロックでブルックリンと来ればこの人、ということでRhys Chathamリース・チャタムとのコラボは必然であったのでないだろうか?
近年も100本以上のエレクトリックギターによる壮大な交響曲"Secret Rose"の公演をクラウドファウンディングで成功させていたりと衰えを知らぬ活動を続けているけれど、彼の代表作である楽曲"Guitar Trio"、単一のコードをひたすら刻み続けるミニマルパンクの金字塔はまさにOneida的発想…というか影響を与えたのがこの人なのかもだけど…という気がするし。

アルバムのオープナー"You Get Brighter"は単一リフを延々奏でるダーティな歪みギターとチャント的ヴォーカルの部族っぽいミニマルロック、のち流れ込むノイズギター。"Bad Brains"はそれを切り刻んで方々に配置しエディット、サラウンド的に聴かせる音響実験。
続く二曲"Well Tuned Guitar"、"The Mabinogian"はチャタムの代表的なコンポーズのうちのふたつをOneidaが演奏、というもので、ギターの可能性拡張といったような摩訶不思議なノイズ溢れるサウンドスケープはまさにチャタムといったところ。
クライマックス2曲の"A Philip Randolph at Back Bay Station"、"Civil Weather"はサイケデリックなセッションであり、チャタムのトランペットなども鳴り多彩なサウンドがスローモーションでやって来るおおらかな大波のように包み込む。これが気持ちよくある種アンビエント的にすら聴ける開放感のある音響で、ちょっとこの調子で長尺1時間1曲みたいなアルバムも出して欲しいなと思ったり。

最初の二曲がちょっとチャタム初期作っぽいのと思って聴くと後半はまさに最近のそれで、そんな意味でチャタムファンとしても趣深い作品であった。
そういえばOneidaの三枚組アルバム"Rated O"も実に良いので是非。
チープな打ち込みビートの宅録パンクっぽい一枚目は脱力するけど2枚目、3枚目が素晴らしく。ミニマル化したコメッツオンファイア的サイケデリック暴走ギターと大曲二本立てのどちらも自分的にはド好みの音。


続きにチャタム関連の映像いくつか貼ります
 

Perlonex 『Perlonoid』 Joachim Nordwall 『The Ideal Black』

gankutuoh.jpg
お世話になっています。

最近もまたいろいろ映画を観ていたのですけど、特に印象に残っているのは『バーニング・オーシャン』ですかね。
2010年に起きたばかりの海上石油採掘施設の事故の話で、『サウルの息子』のときに"地獄の職場体験"という言い方をしましたけど、これもその系譜に連なるエクストリーム仕事ムービーと言えるのでは?
映画の冒頭で主人公の娘さんが親の仕事について発表するという学校の課題をやっていて、そこでこんなことを言うのが印象に残ったな。
お父さんの仕事は怪物を捕まえること。石油は恐竜の化石。石油は怪物なんだ。


あとsteamで夜廻というゲームを買って遊んだのですけど

コレ素晴らしくて。
サイコーの映画を並べてみるとほぼ共通していることのひとつに、最初のシークエンスは絶対外さない、っていうのがあるんだけど、これもまず、導入が完璧で。
ネタバレは絶対しちゃいけないタイプのアレなんですけど、ゲームでないと不可能な、それでいてゲーム慣れしている人ほど意表を突かれる、ゲームルール上のある聖域を暴力的に侵犯することで、プレイヤーを一気にゲームの世界に巻き込んでくる。
それによって主人公への感情移入…というよりは、秘密と責任の共有をムリヤリさせてしまうというところも見事で。
ゲームの雰囲気というか、世界観も良いのですよね。良いというか僕の個人的に持っている世界観にバシッと宛書されたような感覚。
言ってしまうと90年代的な風景…それも後から見たら忘却されていってしまうだろう、陰、の風景…を繊細に切り取っているのですよね。
今みたいなミニマルな建て売りじゃなくて和風の戸建てが並んでる風景、畳まないガラケー、自販機も街の灯もLEDじゃなく蛍光灯でパチパチとノイズをたてている…あるいは、公衆電話、役目を終えた工場、閉鎖してモールになる商店街、宅地になる田んぼ。静かに人が消えること。目の前の明かりと次の明かりの間に降りた深い闇。
そういう景色って、この主人公の女の子、小学生なんですけど、そういう時代にまさに自分が生きて見てきたもので。
きっとここはターミナル駅からバスで20分かそこら行ったような…田舎ではないけどかといって都会ではまずない、そんな狭間の…なんてとこまで想像できる。
ゲームデザイン的にいうとすごく今風だなと思ったのが、ビジュアルとサウンドが非対称にデザインされていること。
カメラ的には斜め上からの見下ろし視点をとっているのだけど、サウンドは一人称という。つまり、画面上の操作キャラクターがオブジェクトに近づいたり遠ざかったりすることによって、それのたてる音もかなり細かく距離感が変わる。ちょっとレトロルックなビジュアルに対して、サウンドデザインは写実的でほぼBGMなしの濃密な環境ノイズというのもまた良い。
そんな感じで褒めるとキリがないのですけど、とてもおすすめです。


あと今やってるアニメで、月がきれい、アトム・ザ・ビギニング、ゼロから始める魔法の書、の三本が非常に良くて毎週楽しみに見ています。
どれも派手さはないけどアニメならではっていうタッチで描かれているのですよね。
特に月がきれいには毎週僕の中の青春厨が殺されています。
中学生の頃電気のスイッチの紐でシャドーボクシングしていた人は必見かと思います。

あとドラマの光のお父さん面白いですね…
かなり高度なMMORPGあるあるみたいなのを深夜帯とはいえ地上波でも流せる時代になったのですね

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そんな感じで前置きがクソ長いのですが

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Perlonex 『Perlonoid』
パラノイド。
例によってart into life屋さんで買えます。
Ignaz Schick - turntable, objects, sine waves, live-electronics, feedback
Jörg Maria Zeger - electric guitars, live-electronics, feedback
Burkhard Beins - drums, percussion, objects, zither
お恥ずかしいことに演奏者も知らなければレーベルも知らんの状態で買ったんだけど、聴いてみたら実に良い。
ライヴエレクトロニクスのユニットと言うにしてはターンテーブル、ギター、ドラムスとゴリゴリの物理編成でもあるところなど、Textile Trioあたり思い起こさせて、良い予感しかしなかったのですけど。
内容としては46分一発録り1トラック。セッション…と言っていいものか、コンセプトはかなり明確に定めたうえで演奏しているなという印象。
冒頭から10分にも渡っての無色の持続音ベースのディープなレイヤードローン。変化は本当に徐々に徐々にといった感じで、もうずっと重くスローな展開。
15分程したところでパーカッションから堰を切った最初の山場があって、ここではターンテーブルの神経症的切り刻みノイズと低域寄りの暗黒の坩堝なカオス音響がドッロドロに溢れる。
テレビがなかなか消えないと思ったら写った井戸から貞子が這い出てきたみたいなところをイメージしてもらうとかなり近い感覚と思います。
再びパーカッションがシンバルを打ち下ろし、唐突な音響的切断。はぁよかった貞子帰った。ま、再びここから重苦しいディープノイズの積み上げが始まるわけですけど。
音の様相を変えつつ展開としては再びの感じで、一番メロ一番サビ二番メロ二番サビみたいなハッキリした構成がコンセプチュアルと感じさせるのかな。
二度目のピークでは今度は耳障り極まりない刺々しいエレクトロニクスノイズの針のムシロのようなサウンド。
なんとも不穏で荒々しく聴き手に忍耐も要求する気難しい音楽ではあるのだけど、この手のじわじわダークなものが好きな人にはタマらん一枚でしょう。



Joachim Nordwall 『The Ideal Black』
盤は入手難しいようだけどブームカットで買える。
先月に出たばかり、5曲40分の内容。まずタイトルが最高っすよね。真黒、究黒、極黒、黒の焦点。黒のイデア。オレも自分でかなり重篤な中二病だと思ってますけど、本当に最高だと思うものが出来ない限りこのタイトルはつけらんないなっていう。
そんな感じでイデアル・レコーディング主宰、ヨアキム・ノルドウォール。
ソロでは初めて聴いたのですけどこれがちょっととんでもない内容。

わりと電子音楽の人という認識でいたんで、まず意表を突かれたのが、とてもライヴ感のあるエアー録りっぽい音響。物理的な音の響き。
ジャケ見ても何をやっているのかイマイチ分からん。
鳴っているのは、スタジオでアンプのフィードバックを受けたスネアの振動音みたいな響きや、どこまでも深い低域の点描ベース音、高温でハウリングするように漂う電子音。大型の機械の稼働音。ミニマルで展開のない、ただ倍音が空間を満たしていくような…。モヤモヤしていて色彩を感じさせない音風景。
これ、解説などを翻訳してみるととても面白いことを試みているのが分かる。
Sunn O)))ばりにスタジオにアンプの壁を作ってそこに無数のトーンジェネレーターを接続、その際のセッティングの肝として共振周波数を設定するような方向で音を作っていると。
いや、全然ナルホドとはならないんだけど、一応言ってることは分かる。ただ、それやろうとして実際にやっちゃう人、絶対いないですよね?という。ヘタするとちょっとじゃなく設備壊れますよね?という。
そんな形で作り上げられた音響は、実際に空気が、空間が、あるいはもっと即物的に演奏スペース(スタジオ・部屋)が振動することによって生み出されるナマの深みに満ちたダークマター。悪酔いしそうなほどの濃い闇だ。
電子音楽、電子音響というものは、とくに部屋リスナーでいると、音という現象が振動、物理の運動であるということを忘れさせてしまうのだけど(イヤホンやヘッドホンの中でだって振動が起きているにもかかわらず…)、この音響の生成という現象をプリミティヴに可視化する音楽は、音楽の暴力性を今一度つまびらかにしてリスナーの脳内に立ち上げる。
頭蓋で反響し脳を揺さぶるがごときサウンドはある種音楽/音響のかなり本質的なところに手を掛けているような感覚すらあり、聴いていてフト怖さを感じるときがある。
こういうタイトルがついているのだから僕もこういう引用をしても許されると思うのだけど、あの言葉を思い出さずにはおれない音楽なのだ。
すなわち、
心せよ。きみが深淵を覗いているとき、深淵もまたきみを覗いているのだ。


暗黒音楽だ


先日亡くなったミカ・ヴァイニオとも一緒に演奏していたのだな。
この人もダークな電子音楽の作り手として大きな存在感のある人だった。今回のことはあまりにも早い。
ご冥福をお祈りします。
 

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