最初に告知を!
もう今週?ですか…
5/17(木)に高円寺の無力無善寺というところでライブやります。
UNDERTOW+MOGIKOJINという名義で、drとbaのデュオ編成で激しく即興します。
我々の出番は二番手で、19時半ごろから演奏の予定。
楽しませますので、ゼヒゼヒ遊びに来てください


そろそろ前回の『坂道のアポロン』にあやかった記事の反響も沈静化してきたんで、通常運行に戻ろうかなーと…。
いやあれが思った以上に拡散したもんでビビりまくりですよ。
100RTとか50ふぁぼとか平民の僕にしたら怖いですよ逆に。なんか半分冗談のつもりで書いた前置き部分とか、結構マジメな反応もらってますし…ツイッターで検索したらアポロンの制作スタッフのとこまで届いちゃってますし…。
人気アニメの力、すごいな!っていう。

(以上、ミサワ顔で)
まぁとにかく読んでくれた人には感謝感謝ですよね
参った参ったを装った自慢を書いたらすっきりしたので、今日の音源いきますわ。


Songs From Under The Floorboards
お求めはMeditations屋さんで。
限定100枚とのこと、お早めにどうぞ。

前回取り上げたStrotter Inst.。実はあのあとライブもう一度見て、CDアルバムも届いて…どっちもすばらしかった。ターンテーブルでゴンゴン頭ぶっ叩かれてるような驚き。
そんなわけで最近この楽器が気になっているということもあり、またターンテーブルもの。
C.Spencer YehやGreg Kelleyもリリースするインターナショナルな実験音楽レーベル、Intransitiveから。

アルバムタイトルがパッケージには"Songs From Under The Floorboards"と載ってるんだけど、レーベルカタログ見ると"AAA"となっている。アートワークのモチーフになっているのもこの"AAA"。どっちが正しいのやら…?
で、この"AAA"、ちゃんと意味があって、参加メンバーの名前の頭文字だったりする。
Alexandre Bellenger - turntables
Aaron Moore - drums & trumpet (前衛即興の有名どころVolcano the Bearのメンバーでもある)
Arnaud Riviere - repaired tuntable & prepared mixer
↑AAA、っていうことですな
というわけで、世にも奇妙な2ターンテーブル編成の即興トリオ、Textile Trio。

アルバムに収められているのは7分半、12分、20分の3つの演奏で、タイトルは与えられていない。
どんな音が出てくるのか想像できない編成なので、とりあえず聴いてみる。
シャン、と一度ハイハットが踏まれたあと、二言三言交わす言葉が聴こビャオオオオヂキヂキヂキヂキドガガグシャッ!グシャッ!グシャグシャッ!…と予備動作もなしに鼓膜を平手でぶっ叩くような不快指数100%ノイズ。ムチャクチャや、気持ちよすぎる!
暴力的な質量の濁流ノイズと叩きまくりフリージャズドラム、バチバチという金属ノイズも混じる。狂騒を抜けた先、僅かに電子ノイズを挟んだ次の展開は歪んで崩壊気味のドラムンベースなんだからもう意味不明。そこに乗ってくる無関係なリズム刻みのドラム、これまたブチ切れまくる電子ノイズ。
轟音カオティックノイズと超ハイスピードのインタープレイを行き来するような演奏で、しかもそこに何ら脈絡のない音素材が次々ぶち込まれていく。オーケストラのCM風ピース、ドライヴするギター、歪んだキック…。まともな神経の鍋奉行がいたら即卒倒して病院行き確定のクソ闇鍋だ。
片方が精神錯乱気味のサンプリングを始めれば、もう片割れのターンテーブルはもっと直接的なノイズで対抗する。これは恐らくレコード以外のものをレコード針で引っ掻くか何かして出しているのかな。無理矢理加速されたボイス・サンプルが高速スクラッチと対決し始めたあたりで、聴いてるこっちはもうほとんど爆笑しか出なくなってくる。頭おかしいだろ、これ。
そんなところであっという間の7分半がTr.1の内容。

楽器として用いるターンテーブルというと、ミニマルな方向に向かう楽器特性だったり、演奏者にアート寄りな人が多いこともあったりで、例えばフリージャズにおけるギターやサックスみたいな攻撃的なイメージは全然なかったりする。
ところがこの連中はどうか。どうなのか。
映画"ショーン・オブ・ザ・デッド"で主人公達がレコードをゾンビの頭に向かって投げつけていたけど、こいつらのレコードへのアプローチもそれに近い気がする。聴衆の耳朶にアームごとレコード針突っ込んでターンテーブルでしゃにむにぶん殴る気満々の、超攻撃的アプローチ。
その無限のサウンドソースとアチラの方向にかっ飛んだクリエイティビティでもって無闇に原子的冒険に目覚めた心走り出した挙句の果て、ターンテーブルというマテリアルの持つ意味をすら再定義する。

アルバムは全編に渡ってテンションを落とすことなく、トランペット&ドラムス担当のひとりフリージャズ、物音即興的なアプローチ、埋め尽くすドローニッシュな地響き、混乱したエレクトロニックノイズ雨あられ、ふざけたコラージュ、3人全然別の方向を向いてビート構築、さながら秘密と重罪と悪戯と恐怖のアマルガム…雑多、いや猥雑極まるサウンドを"高速で"とっかえひっかえしながら、ドロドロに蕩けた極彩色のカオティックな小宇宙を練りあげていく。
「終わりでおk?」「おk」「www」みたいな会話でtr.3の演奏は終了する。ああ、なんだ、笑い疲れたし頭振りつかれたし律動体操し疲れたしこんな狂った音楽久しぶりに聴いたよあたしゃ。
そういうワケなので僕はこのブログで何度か書いている締めの文句をこのアルバムにも添えたいと思うんだけど、つまりこのアルバムを楽しむ方法は単純で、爆音で聴いて狂って踊ろうぜと。



ターンテーブルの音攻撃に対抗するために今回は僕もサンプリングを多めに盛り込んでみました。

レーベル公式でtr.1試聴可。
こちらのサイトにステキなレビューが。
This is fucking killer. This is fucking killer!!

続きにライブ動画など。
Textile Trioでの演奏は見つからなかったんだけど、参加メンバー各々面白いものがあり。
 
という話がネット界隈で流れていて、これにより普段からこれだけジャズについて書き散らしている僕の元にも(本記事タイトル)みたいなお問い合わせが舞い込んで舞い込んで仕方ないしフォロワーは200人増えるし身長は8cm伸びるしキルミーベイベーのBDは爆発的に売れるしといったことはあまりなく憤懣やるかたないこの頃なのですが、やっぱり過度な情報が溢れる現代社会においてこうした「待ち」の姿勢はそれだけで機会(チャンス)を喪失(ロス)していることにあたるのではないかと。
そう考えまして、僕も大好きなアニメの『坂道のアポロン』にあやかろう!乗っかろう!バカ野郎!というか、この機会にジャズを好きになってくれる人が増えればそれはとっても嬉しいなって。
というわけでですね、僕なりにジャズどっから聴けばいいのか?ってのを考えて、5枚!更に深く掘りたい人に向けてもう3枚!盤をセレクトしてみたんですね。
今日はそれを紹介することで、ジャズの大海原へ漕ぎ出さんとする人への助けになればと思います。
では行きましょう。

『坂道のアポロン』公式サイト(SEO対策)

あ、その前にひとつ聴き始めの人が勘違いし易いことがあるので書いておきます。
ここで躓いたら何も始まらない、重要なことです。
『坂道のアポロン』作中で取り上げられているアルバム、例えばArt Blakey『Moanin'』、Bill Evans『Portrait In Jazz』。どちらもジャズ・アルバムとしては押しも押されぬ名作です。では、これを聴けばいいのではないか。
違うのです。
作品の舞台になっているのは1966年の佐世保です。先に挙げた二枚のアルバム、リリースは58年、59年です。
お分かりですね。彼らが聴いているのは、実は「押しも押されぬ定番・名盤」ではなくて「最新鋭の音楽」なのです。

だから『坂道のアポロン』にジャズを学ばんとする僕らは、やはり最新鋭の音楽を聴く必要があります(単純な事実確認になりますが、いまは2012年です。僕らは化石を掘りに来たわけではないです)。
厄介なことに最新鋭のジャズというのは常に地下に埋まっていて表舞台に出ることがなく、それも初学者を遠ざける要因になってしまっているのですが…。
まぁとにかく、そんなわけなんで、その手元の980円で買ってきたブルーノートの名盤シリーズ(ジャケットはおっさんの顔)はそこらへんに放っておいていいです。
やっと本題です。
もう少し柔らかくてとっつき易い雰囲気を出した方がいいですかね^^;



GarageGarage
(2005/01/25)
Thing

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THE THING 『GARAGE』
※紹介するものに関しては既にブログ記事があるので、記事へのリンクを貼っていきます。ここでは簡潔な説明に留めます。
というわけで、うーん…。これがジャズです。これがジャズです。大事なことなので…
このThe Thingという、ノルウェーの3人組が奏でる音楽を=ジャズ、という認識で正しいです。
細かく言うと彼らでもライヴ盤『Live At Bla』という究極最強のアルバムが存在するのですが、如何せん聴き易いとは言い難い内容(30分×2本というトラック構成)のため、先ずはこれだろう、ということで今回はこの『Garage』を推させて頂きます。
ホワイト・ストライプスやヤー・ヤー・ヤーズのカバーが入っているあたり今の音楽という感じであり(ジャズではカバーというか曲をどう解釈するか、というのがひとつの面白みなのです)、ロックから入る人にも強くお薦めいたします^^


LuggumtLuggumt
(2005/09/20)
Scorch Trio

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Scorch Trio 『Luggumt』
いまジャズを追うにあたり、先に挙げたThe Thingを抱えるSmalltown Superjazz、そしてこのScorch Trioを抱えるRune Grammofonは明らかにシーンの中心的存在であり、抑えておいて損はないレーベルです。
というわけでこちら、ジャズといえばサックス…という意見もあるかと思いますが、サックスというとジャズ意外の人にはイマイチ馴染みの薄い楽器であるのも事実。そんなわけで、ギターです。
さっきと同じようなこと書きますが、このアルバムで聴けるギター、それのことをジャズ・ギター、と言います。
ロックなどで鳴らしている人もここから入ってお洒落なジャズギターの世界を覗いてみては?^^^


Second Original SilenceSecond Original Silence
(2008/08/26)
Original Silence

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Original Silence 『Second Original Silence』
Sonic YouthのThurston Moore、というとロック好きならピンと来るものがあるでしょう。その彼、いま何をやっているのかと言えば…ジャズなんですね。で、彼がその謎の人脈を使ってスゴ腕ミュージシャンを集めて結成したバンドがこのOriginal Silenceです。
多国籍連合軍と言った風情のその布陣で奏でられる音楽は、ジャズのみならず多数のジャンルを内包した構造を持っており、刺激に満ちています。ライヴ録音ということでの押し寄せるような熱量もグッド。
ジャズをベースにしつつ、変化に満ちた音楽を聴いてみたい、一味違うものを求める方にお薦めします^^^


QuintetQuintet
(2007/02/26)
Ingebrigt Flaten

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Ingebrigt Haker Flaten Qintet 『Quintet』
ジャズといえば演奏者たちの間で即興で作り上げられていく音世界が大きな魅力ですが、一方でジャズならではの濁ったような独特のアンサンブルもそれはそれで面白いものです。
こちらのアルバムではクインテット(=5人編成)、サックス・ギター・ドラム・ベース・バイオリンという様々な楽器を用いて、楽器間での絡みを存分に楽しめる演奏を繰り広げています。カッチリと構成されたパートと即興的なパートの全く別物といった風な落差もスリリングであり、聴き易くしかし奥深いという絶妙な塩梅の一枚になっています。
こちらはジャズのクールな面とホットな面の二面性を味わいたい方にお薦めです^^^


Pet Bottle NingenPet Bottle Ningen
(2011/06/28)
Pet Bottle Ningen

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Pet Bottle Ningen 『Pet Bottle Ningen』
ペットボトル人間、というユーモラスで親しみやすい名前のバンドです。
このバンド、驚きなのはまだ20代半ばの若いミュージシャンによって構成されていることで、まさにシーン最新鋭!といったところでしょうか。ギター・サックス・ドラムという、ベース無しの編成ながら、勢いのあるサウンドです。
ジャズ最先端の地・ニューヨークのバンドでありながら、メンバーに日本人女性がいたりと言ったところも親しみ易いですね。それでいて師匠筋にはJohn Zorn(いまのアメリカのジャズシーンに大変な貢献をした、とても偉い人です)がいたりと、なかなか見所の多いバンドです。
サウンドも独創性に溢れていて、とても素晴らしいです^^^



というわけで5枚来ましたけども、上に書いた通り更に深く掘りたい人向けに…
っていうか正直最初から5枚になんて絞れるわけないんですね。というわけでもう3枚、続きに収納しておきます。
しかしここまでに挙げた5枚中4枚にThe Thingメンバーが関っているということで、彼らが如何に偉大なバンドなのかよく分かりますね。
 
スイスでLUFF(ローザンヌ・アンダーグラウンド・フィルム・アンド・ミュージック・フェスティバル)というフェスがありまして。
これが数年前から日本にも来て、幾つかの映画館とライヴハウスを舞台にイベントをやってるんですね。
その音楽サイドが六本木のスーパーデラックスでやっているのがdEnOISEというライヴで、今年も2日間に渡って多数のノイズ/前衛系アーティストが演奏しました。それを一日見に行ったので、今回はその時のことを書こうかなと。
LUFFについてはこのへん読むともう少し詳しく分かりそう。


そういえばライヴの日にsdlxに向かう前に映画館でREC3を見たんですけど、いやこれが最高だった。
シリーズは前2作も非常に好きなんですが、今回も相変わらず非常に良くて。
相変わらずと言っても映画としては全然違うものになっていて、何がというとまずPOVではないと。映画の早いうちにハンディカムを壊すシーンが入っているのが象徴的なんですけど。そんでどっち行くのかと思うと、RECでユーモアもドラマも目一杯盛り込んで、エンターテインメントに振り切ったものになっている。
監督も低予算映画のRECがここまででかいタイトルになるとは、1の当時は考えてなかったと思うんですよね。そこでRECという制約の強いシリーズを作り続けることには、多分フラストレーションもあって…。でも一方でこのタイトルへの愛情ってのも相当なもの何だろうなぁと。そこで今回の作品なのかなぁと思います。
本当にいい映画ですよ。もう色々言いたいことはあるんですけど、飛び抜けて印象に残るのはラスト。
こんな美しいゾンビ映画のラストシーン、初めてなんじゃないの、って思いますよね。切なくてキラキラして、惨ったらしくてエモーショナルで。ああ…って感じですよ。
なんか今日は雑記が長くなっちゃいましたね。音楽の話ですね音楽の話。


dEnOISEでは面白いアーティストが沢山出ていて、例えば複数のオープンリールの間に様々にテープを巡らせて即興演奏を行うKiko C. Esseiva。光センサーのシンセサイザー(たぶん)と多種多様なライトを用いて、光と音のノイズパフォーマンスを行うNorbert Moslangなど…。
で、その中でも飛び抜けて凄かったのが今日紹介するStrotter Inst. a.k.a. Christoph Hess。
彼はまぁ、ざっくり言うとターンテーブリストなんだけど、用いるターンテーブルはこんな感じ。
撮影、僕。

strotterS.jpg
お分かり頂けただろうか

他にもgoogle先生にあたってみると、こんなのも出てくる。
strotter2.jpg

開いた口が塞がらんというか語りえぬものには沈黙せねばならないので、僕が見た演奏について書くと…。
フロアで、文字通り目の前で彼の演奏を見ることが出来たんだけど、この日用いていたのは2台のターンテーブル。
両サイドからそれぞれ2本、計4本のアームが伸びていて、ターンテーブルはBOSSのコンパクトエフェクターを経て手元の小型ミキサーへ。テーブル横には医者の手術道具のように並べられた多数のカートリッジ(針)。異様なのが、テーブル上に電柱と電線のように渡された数本のゴム紐。そしてセットされたレコードには上に伸びる形で様々な突起状のオブジェクトが取り付けられている…。

ワイシャツにタイ、メガネ、片手には煙草というスタイルで現れたHessが演奏を始めると、レコードの謎はすぐに解けた。ゴム紐の間に固定されたアームが採音するのは、回転するレコード上のオブジェクトがゴム紐に引っかかる音。これが一定のリズムパターンを作り、ループする。
そこでもう片方のテーブルに載せられたのが…表面が波打つように捻じ曲げられた7"レコード。こちらはノイズ的な荒々しい音でやはり一定のリズムを刻んで、2つのテーブル間でポリリズムが形づくられる。それぞれがリアルタイムにバランスを変化させながらミックスされ、ここからはもうとんでもないパフォーマンスの連続。
テーブル下から出るわ出るわの変態加工レコード。7”の周囲にランダムに12”の刻んだ破片を貼り付けたもの、荒い地の布を巻きつけたもの、そもそも素材が明らかにビニールでないもの…。これらをリアルタイムにサンプルし、回し、スクラッチしながら、独特すぎるノイズ&ミニマルビートを構築していく。
こんな音楽、見たことないし聴いたこともない。
演奏中度肝抜かれっぱなしで大変でしたわ、ほんと…。

物販にLPがあったので買ってみたんだけど、それが一応記事タイトルとしてつけておいた『Bolzplatz』。
bolzplatz
ライヴ会場以外だと輸入くらいしか入手方法がないかもなんだけど…。
33と45、回転数はどちらでもOKとの表記があるLPで、内容はA面B面それぞれにひとつずつ演奏が収められたシンプルなもの。
A面は物理音によるミニマルビートがシンプルな構成で練り上げられていく作り。B面では音数を増やし、正体不明のノイズが多く積み上げられたサウンド。どちらも加工レコードを用いて作られているのは分かるんだけど、どういった加工を用いているのかは想像がつかない。
あのライヴを見てしまうと、何でも回すんだろうなぁ…という感じ。


一応アマゾンでCDが買えるようなので、それを。
MinenhundMinenhund
(2009/11/24)
Strotter Inst

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もち即注文


続きにライヴ映像など。
 
前の記事でちらっと告知した5/17(木)高円寺でのライブ、出番が二番目に決まりました。
19時半くらいから演奏するみたいですね。まぁまた近くなったら書くと思います。

VeilVeil
(2011/06/07)
Nels Cline & Jim Black

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現状Nels関係の最新リリースということになるのかな?
cryptogramophoneからの11年作、09年the stoneでの即興セッションライヴの録音。
アルトサックスにTim Berne、ドラムス、ラップトップにJim Black、ギターがNels Clineというトリオ。
1時間ノンストップの演奏を9つのトラックに分けて収録してある。

この音源を聴いての印象は、Nelsのギター弾きまくり、これに尽きる。
サントラ作品『Dirty Baby』や、バンド・楽曲としての音を重視したNels Cline Singersでのリリース等、ここ最近のところでは自由にギターを弾きまくっている録音が少なかったかな?というところもあってかは分からないが…。
ここでのNelsはとにかくギターを弾きまくっている。はいもう弾きまくりって3回言った。

冒頭"Railroaded"、勿論最初の一音はギターから始まる。三者の高速の絡みからへヴィなリフのパートへ。サックスのソロ後ろから徐々に手数を増やすようにして、いつの間にやら弾きまくり体勢で埋め尽くすギター…。のっけから出し惜しみせずのバカテクっぷり。
この6分間、演奏は即興と思えないほど明確な形を持って、しかも早いスピードで展開していく。3人の演奏に共通するのは音楽的な反射神経の良さ。Jim Blackはこうしたアヴァン系を演るドラマーとしては明確なビートを打つスタイルで、ゆえにごまかしがないと言うか、他の演奏者の出す音に即座に反応してパターンを作り上げていく様子がよく分かる。Tim Berneは僕の中ではなんとなく"あまり暴れないが雰囲気作りのうまい人"みたいな印象があるんだけど、ここではその演出力が演奏を次から次へと新しい局面を展開しているという印象。で、一番自由に泳ぎまわっているのがNelsかなという。

"Impairment Posse"の後ろにはベースラインが流れているけれど、これはBlackのラップトップによるものなのか、Nelsのエフェクトによるものなのか分からない。で、ここで聴きものはやはりギター。変態エフェクトでイビツに変形したギターが無茶苦茶にのた打ち回り痛快この上ない。続く"Momento"では空間/残響系のエフェクトを駆使して電子音響な演奏を繰り広げていて、この振り幅も面白い。

冴え渡る変態ギターと言えば"Dawn Of The Lawn"前半でのプレイも外せない。
どんなエフェクターを使っているのか、逆回し/カットアップ/ターンテーブルのスクラッチの混じったような意味不明なサウンドが湧いてくる沸いてくる。尋常じゃないバカテクっぷりもそうだけど、個人的にはNels先生といえばこのエフェクト達者ぶりも同じくらいの個性なんじゃないかと思う。
ちょっと意外に聴こえるのが"Rescue Her"で、ここではストレートなリフ&ビートに歌い上げるサックスと、アルバム全体からすると少し違った形でまとまりのある演奏を聴かせる。展開も全体がひとつに導かれていくような自然なもので、これをパッと出来てしまう様なところがこの3人の凄いところでもあるかも。

ラストの"Tiny Moment Pt.1"、同"Pt.2"は空間的な演奏を軸にしつつ、ギターはその中にエフェクティヴ/轟音/弾きまくりまで溶かし込んでいるという恐ろしい演奏。バシッ、バシッ、という感じではなくて流体的に音楽の展開が流れているのが、全体からするとまた面白い印象だったりする。

…そんな感じで、この手の即興ものにしては全体にまとまったノリがあり、ある種ロック的な成分が多く、ストレートに楽しめるハイテンションなライヴ盤という感じ。そして、何度でも書くけれど、Nels先生のギターが凄まじい。冴えまくり。ギター変態大好きの人たちに是非是非おすすめしたい。
そんな一枚でした。


続きにライヴ動画など。
 
こういう端書きみたいな感じで告知すんのもあれですけど、ライブ決まりました。
5/17(木)高円寺無力無善寺にて。
MOGI KOJIN+UNDERTOWという名義になります。
ただ何となく我々は放置されている の中の人と、drとbaのデュオ編成です。
ハードコア即興やります。
相方の人とは当日初めて合わせるわけですが、まぁ遠慮なしでぐちゃぐちゃに弾きまくる予定です。
よろしければ。


Simon Werner a DisparuSimon Werner a Disparu
(2011/02/15)
Sonic Youth

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SYR9、Sonic Youth Recordsからの11年作は、ムービー・サウンドトラック。
"Simon Werner a Disparu"消えたシモン・ヴェルネール、と題されたフランス映画のために録音されたアルバムがこの作品になる。
高校生の連続失踪事件を追うかたちで展開される青春群像劇。というと、例えば"明日、君がいない"なんかを思わせるところもあるし、前評判として僕のフェイバリット監督ガス・ヴァン・サントの"エレファント"が引き合いに出されていたりで、映画自体も気になる(未見)。
それを差し置いてサントラだけ独立した作品と見ても、非常にすばらしい一枚だった。

アルバムはサントラというだけあって1〜6分と適当な尺の曲が12並んでいて、最後にエンドロール用だろうか、13分の曲が締めているという構成。Sonic Youthのここでの編成は、Thurston Moore、Lee Ranaldo、Kim Gordon、Steve Shelleyとあるから、中心メンバーによる基本的な編成と言ってよさそう。他、前述のラストの演奏でjim O'Rourkeがベースを演奏している。

ノイズロックやアヴァンギャルドの色を溶かし込むオルタナ・インスト。全体としてインディ寄りなジャリッとした手触りのサウンドに、幽玄と恍惚のギターワーク…と、ああ、Sonic Youthだなぁ…な音なんだけど、中でも出色はやはりラスト、"Theme D'Alice"。
アルバム中何度も奏でられる主題としてのコード進行がループし続け、その上で三本のギターが恍惚のジャム・セッションを展開していく…。
尖ったトーンの単音メロディ、とろけるリヴァーヴのコード、荒く歪んでカッティングされるリズム。ギターの分担は最初はっきりしていて、徐々に渦を成していく。浮遊するようなベースラインと直進するビートのリズム体の対比も心地いい。何よりも全体のサウンドプロダクションがいい。音の全体を綺麗に捉えているのにローファイで荒々しく、不安感を煽るような雰囲気によく貢献している。
演奏は中盤、ノイジーな混沌のパートに向かう。この波が引けていく部分でのギター・ヴェールは、夜闇がほろほろと解けていくようで絶品。フェードアウトで終わっていくところなんかも掴みどころのなさが出てよい。

映画のほうの内容を反映してかアルバム全体には統一感があるんだけど、ちょっと変わったような面白いパートもある。
例えば"Les Anges Au Piano"なんかがまさにそれ。サイケデリックに始まったかと思いきや、リヴァーヴしまくるピアノとフィードバックの混じり合う実験音響の美しいパートへ。ここから続く"Chez Yves (Alice Et Clara)"は強靭なドラム・ビートに始まるノイジーなロックで、その流れも面白い。
"Theme De Laetitia"も実験的なトラックで、エレクトロニック・ノイズのパルスと輪郭のないファズギターの波が寄せる不穏なサウンド。アルバム全体から見ても異質な悪夢的なサウンドスケープはひとつのハイライト。
他に美しいピアノの"Jean-Baptiste Et Laetitia"などを挟みながら、基本的に茫洋とした不安感と圧迫感に苛まれたノイズギターが鳴り続ける。アルバムの全体としてはそんな様子の音。

エクスペリメンタルで、甘く、とろけるようでいて、強迫的でナイーヴで、間違いなくSonic Youthのアルバムといったところ。
ジャケットが非常に美しいので、これ目当てでLP版買うのもいいかも。
 
プロフィール

伊達さん

Author:伊達さん
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