The Pitch 『s/t [κασέτα]』 Phurpa 『Chod Ritual : Grotta Santarcangelo』 Taumatrop 『For John Ayrton Paris』 Neit Welch & Rutger Zuydervelt 『Tides』

暖かいを通り越して暑い日が続いていますね。
梅雨の足音も感じさせない気持ちのいい晴天ですが…
皆さん、壁、凝視してますか?
というわけで、こんな気持ちのいい季節に壁を凝視しながら聴きたい持続音をセレクトしました。
よろしくお願いします。



というわけで、まずこれ。
Grannyから出たばっかりのカセット。
打楽器奏者Morten J. Olsen モーテン・J・オルセンを中心とした不定形持続音楽団The Pitch。
タイトル、読めねえよ!って感じなんだけど、s/tって書いてあるし、あっちの言葉でThe Pitchって書いただけなのかなぁ…?
で、今回の編成は4人の小さなもの。
ビブラフォン(いわゆる鉄琴)とテープディレイを操作するオルセン中心に、アップライトベース、クラリネット、電気オルガンにエレクトロニクス。
アコースティック楽器を中心にそれを加工することで持続音を生むスタイル。
様々な楽器のアンサンブルという点、またサクッと音のピッチを切り換えてくる点などから、意外と展開のある音楽的な持続音という印象。
アンビエント寄りというか。
音のあたりも柔らかくて、壁を見つめる際だけでなく外歩き時に聴く持続音としても良さそう。


phurpa.jpg

Phurpa 『Chod Ritual : Grotta Santarcangelo』
これはデジタルないんで、各自art into life屋さんで注文してくださーーーい!
て感じでここでも何度も書いてますPhurpa。ロシアでチベット密教の儀式の再現パフォーマンスを行っているクレイジーな集団。
Old Europa Cafeってレーベル名、一見シャレオな感じだけど、その実ダークアンビエント/パワーエレクトロニクス系のエッグいのばっか出してます。
で、この盤。今回はライヴ盤。
78分間ミッシリと詰まった内容は、昨年夏、イタリアでのライヴパフォーマンス。
で、なんかこれがでかい洞窟でやっているとのこと。
そのせいなのか、まーたエグい音になっちゃってる。
声のSUNN O)))って前書いたけど、その路線で(てかこの人達はどの音源もしている事は一緒なのだが)ドゥーミーな地獄の低域持続音が延々と続く。
反響によってモアレ状になった倍音、音量を上げれば息苦しさすら感じさせる。
この人達の音源聴くときよくやるのだが、壁を見つめるだけでなく真っ暗の部屋で聴いても非常に良い!
目を閉じて想像力の羽を広げれば、その羽むしり取られて底なしの虚ろな大穴をただただ落ちていくような感覚に囚われる。
ほんと、重ね重ね…どの音源も同じなんだけど、どの音源も素晴らしい!


confront.jpg

Taumatrop 『For John Ayrton Paris』
はーい、これもart into life屋さんに頼んで入荷して貰ってね。
というわけで金属の缶に入ったパッケージも音のイメージとバッチリきてて素晴らしいイギリスの老舗レーベルConfrontのものを二枚紹介。
まずはこちら。
アルバムタイトルにあるJohn Ayrton Paris ジョン・エアトン・パリ、この人は誰かというと、Thaumatrope ソーマトロープというおもちゃがあって、あのグルグル回って描いてある絵がアニメのように動くやつの原型の原型みたいなものなんだけど、それを作ったのがこの人。本業は医者らしいけど。
で、このソーマトロープというのが恐らく彼らのユニット名のもとになっていると。
Ferran Fages フィラン・フェイゲスと Eduard Márquez エドゥアルド・マルケスのスペイン人デュオなのだが、マルケスはギターで、フェイゲスのほうは自作のエレクトロニックデバイスを用いている。彼のほうがリスペクトを込めてこの名前にしているということなのかも。
でこのアルバム。
まさに壁を鑑賞しながらのリスニングにぴったりな、直球の電子系持続音。
モンモンと唸る低域の上でフィードバックのような高域が何気に様々な形でサウンドを彩る。その波紋が広がっていくための余韻もたっぷり用意されている。繊細でキンと冷えたような持続音はこれからの季節に対応している感もありオススメ。
24分ワントラック。




Neit Welch & Rutger Zuydervelt 『Tides』
同じくConfontから。
Machinefabriek マシーネンファブリークことRutger Zuydervelt ルトガー・ツァイトベルト氏は電子音楽界ではかなりの有名人でゲームサントラなども幅広く手掛ける電子音楽家だけど、ドローンアーティストとしてもかなりの個性派だったりする。
例えば本名名義で出しているものに『Stay Tuned』というアルバムがあって、それはこんなもの。
楽器のチューニングの際の基準音として使われるA(ラ)の音、これの持続音を世界中の実験音楽家に出してもらい、なんと153種類集める。それらを組み合わせて作成した全一曲構成のドローンアルバム……。
まぁそんな人が今回やっているのは、アメリカのサックス奏者 Neit Welch ネイト・ウェルチの演奏をライブでリアルタイムに捉えループを作成、それに呼応してウェルチが更に演奏…という生演奏ドローンセッション。
38分一曲。
サックスの演奏をドローン化するというひたすらにそれで、かなりダークかつヘヴィな金属系持続音が鳴っている。
まずもってサウンドの質感が素晴らしく、生々しい重みと濁り、揺れを伴ったディープな響きが脳幹を揺さぶる音響に恍惚とさせられる。
ストリングス的に聴こえる箇所もあればオルガン的に聴こえる箇所もあり、このあたりはツァイトベルトの高い音響生成技術が光っている感じだろう。
睨んでいる壁がドロドロと溶解していくような妄想に苛まれる、コクのある持続音。
ぜひ。


ウェルチ氏は普段からサックスでの持続演奏をやっているっぽい


そんな感じで、皆さんも壁を凝視しながら聴くと気持ちいい音楽を探してみて下さい!
スポンサーサイト

SNH 『EP-1』 撥現鏡斗 『The Unnamable』 Straytone 『Track 12』

最近Obscure Sound Researchのデジタル三作同時リリースの一環で、自分の参加作もひとつ出してもらいました。
それについて。
まぁ内容については各作品ページにも記述があるんで、簡単に紹介だけって感じですけど。



シンセトリオ。6曲それぞれにはっきりとサウンドの方向性が定まっていて、サウンドバリエーション豊かな中には例えばテクノ的なビートが導入されていたりと、キャッチ-な楽しさもある感じですかね。
様々なシンセの個性的な電子音が絡まって、また音のエッジの立った録音も相俟り、この手の機材好きにはたまらん内容でもあるなと。



これは我々の作品。ベースギターとパッチシンセのデュオ。
なぜか近年我々の間でラヴクラフトとそれに連なるコズミックホラーの再評価があり、それに伴ってこの作品タイトルになっています。
自分的にはやっていることはこれまでの延長というか、もうシンプルにベースギターというデバイスを用いたサウンドバリエーションということなんで。そういう感じで例によってノイズ/ドローンを試しています。





straytoneによるシンセソロは、場面によって音を入れ換えつつも電子音による自動生成的アプローチのミニマル/ドローンで統一された内容。
アートワークから想像できる通り(?)、シンプルに提示された音の手触り、ディティールを耳で触れて味わう音源かな。


まぁそんな感じでどれも良い内容ですので聴いてみて下さい。
 

The Thing 『Again』 Lana Trio 『Live in Japan』


CDはまだ届いてないのだが、デジタルは発売日から聴けるようになったので

随分久しぶりな気がするThe Thing ザ・シング最新作。
今回は21分の長尺演奏1トラック+9分の演奏が2トラックのシンプル仕様。昨年6月に二日間で録音されたとかで、そんな内容も含めちょっとライヴ盤ぽいような感じ。
2曲目のみフランク・ロウのカバーで、あとはサックスのグスタフソンとベースのフラテンのオリジナル。

まず初っ端キツいやつをくれる"Sur Face"から問答無用にかっこいい。
混沌とした即興演奏と静かに奏でられるブルージーなテーマセクション、猛烈なドラムソロ、全く別の曲のようなリフ主体のパートと様相を変えながら展開する演奏。
合間合間に聴こえる、メンバー三人の絶叫。
傑作盤『Live at Bla』での"Awake Nu"とか思い起こさす最高さがある。
今回はラストの曲以外ベースがウッベ弾いてるのだが、それもありプリミティヴなジャズ寄りの音という感じ。
続く"Decision In Paradise"は二管聴こえるんだけどこれはどういう事?トランペットっぽいのだけど…。
と思ってライナーを読むとジョー・マクフィーが加わっているっぽい。
あともう一個ライナー読み進めて気づいたのだが、今回の盤はバリトンなし。テナーとソプラノだけでやっている。
まぁ管の違いはあれどプレイヤーとしての個性がめちゃくちゃ出ていてやっぱ「あの音」だな…みたいになるのだが。
この曲の演奏も全体が即興演奏に聴こえるようなところがあって、前トラックと地続きのフリージャズの空気。
ラストの"Vicky Di"、毛羽立ったトーンのエレべの音が聴こえてくるイントロ代わりの即興から、他二曲とは全く手触りが異なる。
猛烈な手数で打撃音をばら撒きながら疾走するドラム、ノイズと化した歪ベースソロ。
一瞬のブレイクから立ち上がる重いビートとロックンロール・リフ、キターーーー!てな具合の名曲"Red River"直系ノイズロックフリージャズ。
素晴らしい演奏だけど、やっぱこういう曲はバリトンで聴きたいなーっ!ってのがありライヴでそういう風なバージョンあったりするとまた良いなぁとか。


最新ライヴ映像
7分くらいから"Vicky Di"やってる




ジャケにカタカナで「ライブ イン ジャパン」て書いてあってもうその時点で心強さが凄いこの盤はノルウェーの脳筋系レーベルVa Fongoolから出ていたもの。
でまぁ大反省大会なのだが、タイトルの通りこの人達2014年に日本来てたのですね。千葉のキャンディでやってたようだが朦朧としててスルーしてしまったっぽい。この盤自体結構前に出たものだしなぁ。
まぁ反省ここまでで、Lana Trioはこのレーベルらしい勢いある即興演奏を繰り出すフリージャズトリオ。
編成が面白くて、ドラムにピアノとトロンボーン。
機動力のあるピアノと逆に音の重いトロンボーンのパッキリ分かれた感じが個性的なサウンド。
18分~26分の長尺トラック×3のボリュームある構成。で、ストレンジな音響で聴かせる場面も多いが、自分としてはやっぱワーッと来る感じの箇所に魅かれる。
ラストトラックの"Through Sound"はそんなところが惜し気なく出ていて特に素晴らしい。
山下トリオ的なサディスティックなピアノの耳責めが気持ちいい。
ノイズっぽいトロンボーンの濁ったトーンに、メリハリ付けてバッカンバッカンいくドラムの痛快さ。
わりと何回言ってんだよ感はありますがこういうジャズが好きですね私は。



てな感じのトリオもののジャズ二枚でした

エピドグマ

年明けに二度セッションをしたのですが、その時の音源を使って曲を作りました

なんかイエロースワンズをやりたかった感じですかね。
あと自分の好みのところで演奏の痕跡が沢山残るように作っています。
アートワークは微妙に気持ち悪い違和感が出るようにそこそこ手間をかけて作っています。
今の感じで出すのは一旦これでおしまいと思っています。
気が向いたら別の所で別様にやるのかなとも思いますが。
このバンドキャンプはいろんな人の世話になり最終的に自分の手元に戻ってきたわけですが今改めて全体を見ていたら結構面白いことになっていたんだなとしみじみ。
ありがとうございます。

 

MOROHAとTHE君に話すよとYAMA-KAN

DSC_0230.jpg

MOROHAとTHE君に話すよとYAMA-KAN。
最近聴いてる音楽のローテのベースが大体これになってる。その合間に新しく買ったやつが挟まってる。

MOROHAはワンギターワンマイクのラップグループ?バンド?で、最近始まった『宮本から君へ』のドラマでも使われていたけど、自分はこの前やっていた映画の『アイスと雨音』で知った。


予告でわりと衝撃を受けて

この映画は全編ワンカットなのだが、『バードマン』と同じく演劇を主題として扱っている。
つまり疑似ではなくて本物のワンカットのバードマン。
で、バードマンで特徴的だったもののひとつにドラムソロの劇伴があるけれど、あれ、たまに背景で演奏してるのが映ったりしてたじゃない。
それを全編やってしまったのがこの映画で、実際にギターとマイクにスピーカーを抱えて登場人物たちと共に駆けずり回りながら生演奏で劇伴?を奏で続けたのがこのMOROHAというグループ。
ラップであるから、ただでさえ映画自体のセリフとぶつかるわけだけど、それが映像の中の同じレイヤーに収まってしまっている。
時折登場人物が歌っているMOROHAのほうにチラと視線をやるのにもハラハラする。
で、本当に驚くべき場面は映画のクライマックス近くにやって来る。
これは書かないけど、ただ自分はこんな第四の壁の壊し方は見たことなかった。

MOROHAは三枚のアルバムを出している。
どれもすばらしい。
繊細なフィンガースタイルを軸に、複雑な構成のフレーズ、スラップ、スラムなど何でもありの超絶技巧アコースティックギター、あまりにもエモーショナルすぎる、過剰にエモーショナルなラッパー、そういうシンプルな構成だけど、無限に聴きたくなるような心地良さと強度がある。
こういろいろあるけど、"スペシャル"という曲は別格に良いな。ラップなのに逆説的なことかもしれない、でもMOROHAの音楽のもつ最も美しい瞬間は、ビート、リズム、韻を逸脱して言葉と感情が溢れ出してしまうような箇所だ。

III
あっ、やっぱ最新作が一番良い


THE君に話すよ、"僕のサンボマスター"という曲があって知ったのだけど、すごく良い。
『この耳鳴りに出会うまでのすべて』ってアルバムが出てる。
言っちゃえばリバティーンズだと思うのだが、こういうスレてなさって貴重だよね。
日本でこういうことしようとするバンドはいるけど、一様に演奏が綺麗になっちゃって歌だけそれ風、みたいになっちゃったりして。プロデューサーとか入るともっと悲惨になったり。
"ロックンロールを知らない"って曲がもうとにかく良くて。
イントロのギターが入った時の、え?って感じとか。ペラペラで勢いで突っ込んじゃってる感じ、正解!って。
"僕はロックンロールを知らない / だけどあの川のほとりで鳴ってたあのナンバー / あんたが泣いてたことを僕はずっと覚えてる / いつかそれをロックンロールと呼びたいの"
リズム体も不必要にバタバタしてたり、ベースのなんか角張った音の感じとかね、スゲー良いですね。

この耳鳴りに出会うまでのすべて


YAMA-KANは名前の通り、山崎まさよしとKANのユニット。
そんなの、最高に決まってんじゃん!終了!って感じなのですが。
3曲入り全部A面のシングルで、全楽器を二人で分担して演奏したというだけあって、シンプルな編成の、余裕のあるリラックスした内容になっている。
とはいえこの二人。何にせよ曲が良すぎる。
"セロリ"とかのラインの分かり易く緩いラテンの感じの入ったポップス"Take me Follow me"。
浮遊感のあるメロディがノスタルジックに揺れる"記憶にございません"。
"手をつなぎたいんだ"はタイトルの通りモロにビートルズなサウンドの一曲だが"君まで飛びたいんだ 例えば大倉山シャンツェから"とか歌ってる。なんか2018年のJポップにあるまじき感じだ。これ一番好き。
こういう、ギターとピアノとドラムとベースと鍵盤にそれぞれあるべきスペースがしっかりと与えられていて、それだけ。みたいな音楽ってやっぱり良いね。

Take me Follow me/記憶にございません/手をつなぎたいんだ
 

プロフィール

 

伊達さん

Author:伊達さん
恐怖と雑音と
カワイイだけがオレの信仰
about

拍手する

 

最新記事

 
 

カテゴリ

 
 

月別アーカイブ

 
 

検索フォーム

 

 

twitter

 

 

リンク

 
 

FC2カウンター

 

 

RSSリンクの表示

 
 

最新コメント

 
 

最新トラックバック