Slobber Pup 『Pole Axe』 Yes Deer 『Get Your Glitter Jacket』

最近聴いてたやつで、これがボクの好きなジャズです!って胸張って言えるジャズド真ん中音源二本挿し、あ失礼、二本立てです。
ここのところずっと二本立てで書いてますけど、これはいろいろメリットがあって、音源に対してほど良く客観的になれるとか…まあガッツリとコミットして語りたい音源もあるんですけど…、よっし!ブログ書くぞ!みたいなのが一回で二本分効くとか…
あとやっぱチョモランマカレーとか次郎よりもラーメンカレーセットのほうが嬉しいじゃないですか?普通は。まあ基本的にメチャクチャ味の濃い料理しか出しませんけど、ウチは。


rare noise
これはその時届いた音源まとめて撮ったんでレーベルの別リリースも写ってるんだけど…
去年のベストで取り上げさせてもらったメルツバウ絡みの音源などもあって自分の中で信頼のおけるレーベルになっているイギリスのレアノイズ。
こっから出てたSlobber Pupというバンドがカッコいいの。


現編成の映像はなくて、これは1枚目のときのなんだけど、こっちがロック寄りとすると今はもっとジャズ寄りという気がする

Jamie Saft - organs, keys
Joe Morris - guitar
Mats Gustafsson - saxophones
Balazs Pandi - drums
この前50になられたそうだけど相変わらず狂った音楽聴いてりゃこの人に当たるみたいな状況のグスタフソン、メルツバウの相手役ドラマーとして多数ライヴをこなしているバラシュというだけでわりと間違いない感じではあるんだけど、バンドの中心はJamie Saft ジェイミー・ザフト、Joe Morris ジョー・モリスの二人のよう。
バンドの前作ではグスタフソンの代わりにベースでトレヴァー・ダンが参加と、楽器編成からして違ったりする。
アルバムは30分、20分、5分の三つの演奏からなるシンプルな構成。
冒頭から不穏なオルガンドローンと嵐のドラムにゴリゴリに吹きまくるバリトンで始まり、ミック・バールばりに弾き倒すメタルギターが乱入…と土砂災害のような演奏。グッと抑制されたパートではオルガンのうねる持続音を中心にダークアンビエント調。そこから捩子を巻いていくのがバラシュのドラムスなんだけど、やっぱこのドラマー面白いと思うのだよね。ここでは特に叩きまくっているからよく分かるけど。
この手の即興ものメインにやる人としては珍しく、ジャズ的でないビートというか。ヴェネチアン・スネアズのライヴでドラムを叩いたりもしているとのことだけど、かなり硬質で直線的なパルス、でもグルーヴとしては直線ではない…つまり、曲線で曲がりくねってるのではなくて、カクッカクッと鋭角で曲がっていくんだけど、その角がめっちゃ多いと。ジャズ的な繊細なダイナミクスの調整をするような演奏ではない。モロにメタルなブラストビートカマしたり、メリハリの効いたロック的な叩き、ビートを出していて、それでいて凄まじい手数、テクニックという。なんかこう書いてるとチッペンデールあたりと対決したら楽しそうだな~。
ドラムについてばかり書いてしまったけどスラッジ―でダークなアンサンブル、火が付けば黒々と渦を巻くブラックホール出現の爆音即興展開と、ジャケから想像できるような音のコンセプトをも感じさせる黒光りの金属ジャズでっせ。
ラストの"Incendiary Axe"はマンガハンマーで後頭部ぶっ叩くような重く激しい一撃。
試聴もありまっせ



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この人達はバンドキャンプで買ってね

公式サイトのタイトルからしてどうかと思わせる多国籍連合軍トリオYes Deer、見た目若いな~みんな20代半ばとかかな?
とりあえず演奏を見てくれ


映画のハンニバルで自分の脳を目の前でフライパンで調理されて食べさせられる人がいたと思うけど、その場面を思い起こさせる演奏

Karl Bjorå - guitar
Anders Vestergaard - drums
Signe Dahlgreen - saxophone
今回紹介する音源の他にも以前に一枚出しているんだけど、それはオーダーしてまだ届いておりません…
てなわけで『Get Your Glitter Jacket』、7曲35分で吹き抜ける一陣の風のような爽やかな演奏を聴かせてくれる。
曲がり角の先で待っていていきなり腰の入った長ドス打ち込んでくるような突拍子のないビキビキサックス、ゲリラ豪雨のように空の色と関係なく暴虐のドラムソロ的独断専行型演奏を捩じ込むドラムス、ファズファ×クトリ―全開にしてブチブチピーピーグチャと全くまともに演奏する素振りすら見せない崩壊したギターと、マウンドに立った瞬間から一足飛びにバットに大量の釘を突き立てているような狂った連中。
ぶっ壊れたノイズトーンでスラッジリフを叩き込み冒頭から1オクターブ高い声でボクたち、ジャズが演りたいです!と挙手宣誓してみせるタイトル曲はMorthanaの"Trakk1"を聴いたときの衝撃を思い出させるってかクリソツなのよこれ。
"楽器本来の音"をミンチ機にかけて今夜のハンバーグのタネとして冷蔵庫にしまったようなサックスのクソ壊れた演奏で台無しにして曲終了、間髪入れずドリフばりに倒れ込んでくる巨大ハリボテで背後からどつかれるような"Rice Crackers"、凄まじいスピードで意味不明な音が飛び交うが、どう考えても鼓膜に悪い音しか鳴ってないんで健康志向の人は聴かないで下さい、お願いします。
以降も"Semi Soup"蝉スープとかクスッとくるタイトルの曲を挟みつつ金太郎飴的テンションでアルバムは進行、急停止、"Frikirke"って曲では6分半の尺を使ってスケールのデカいリフを中心に演奏を組み上げ片手間的に「こんなんもできますよ」を見せてくれる。
んでこれは?後半はちゃんとしてるのか?と思わせてやって来る"Side Cut"という曲、この曲のドラム聴いたら、仕事の嫌な事とか人間関係のしがらみとか忘れて、焼き肉の食べ放題にでも繰り出したいと思いました。ここまで通して聴いてるとへ~こんなもんかあ~ってなりかけるんだけど、この曲の5分のとこで一端一時停止して深呼吸して我に返ってみてから再度再生ボタン押すと絶対爆笑できますのでお試しあれ。
あぁ~なんかもう特に言う事も無えし言葉で説明すんのも馬鹿らしい音楽なんでー、聴きながらクスッって笑えるような瞬間がいくつもあって、あっ、最近こんな気持ち忘れてたなぁ…、空ってこんなに青かったんだ…私ってこんなにちっぽけだったんだ…似顔絵かくよ…ホント似てなくて…思わずボクら…みたいな感じになって忙しい日々の合間に思い出したように空を見上げた。
明日もっといい人間になれますように。いつかきみの力になれるように。そんな気持ちにさせてくれる、今この時代の底辺にコビりついた一部のクソどものためのサウンドトラック、ジャンク、ノーウェイヴ、雑音、ジャズ、で気になる方はどうぞ。

続きにちょっとライヴ映像貼っておくね

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川下直広カルテット 『初戀』

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初戀

完全即興じゃない、通常のジャズのフォーマットで演奏されるものを聴くときは、いわゆるスタンダード集が好きだ。
曲を演奏するタイプのフリージャズでもそうで、その意味では、ライトニングボルトとかホワイトストライプスとかを演奏するシングのアルバムもスタンダードとして聴いている。
それは自分が音楽を聴くときにアレンジの部分ばかりを聴いてしまうのと関係している気がする。
自分でバンドでジャズを演奏していたときも、ある定番の演り方というのが決まっている曲をいかにめちゃくちゃにしていくか?みたいなことが好きだった。





この曲もそのときにやったな。
で、まあこの映像、たまたま見つけて、スゲーカッコいいなと。
で調べてみたらこの編成+ピアノのカルテットで録音されたスタンダード集が今年出てるというので。買ってみた。

地底レコードより16年作。
8曲1時間。

川下直広 - tenor sax
山口コーイチ - piano
不破大輔 - bass
岡村太 - drums

演奏している面々の事全然知らない中で、奇跡的にドラム叩いてる岡村さんだけ名前知ってる&ライヴも何度か見ているのだけど、
何で見てたかっていうとこの人は現行の非常階段のドラムですねはい


川下直広のサックス、それに尽きる。
この人のサックスは何かというと、歌だ。過剰な歌だ。
口ずさみ呟いて囁いて泣き怒り叫びをあげるような、感情直結演奏、譜面に落とし込めないニュアンスだけで演奏が構成されている。
特に常識の範疇を越えて常に揺れ続けるヴィブラートっぷりは、ちょっと他では聴いたことがない。
これを聴いていると、やっぱサックスは呼吸の楽器だなぁというのを改めて感じる。

アルバムの中の半分を占めるバラードの演奏で、音符と音符の合間に様々な響きを込めていく川下の個性がよく発揮されている。
特にバカラックの"Alfie"の演奏での歌いっぷりは男臭くも清々しい。こういうバラードの多いアルバムで、演奏が全然お洒落でなく、むしろ汗臭い男臭いっていうのはめちゃくちゃいいよな。

一方で激しく熱量のある演奏もアルバム中に差し込まれるようにあって、"不屈の民"として知られる"El Pueblo Unido, Jamas Sera Vencid!"ではバンド渾然一体となってフリーフォームの絨毯爆撃めいた演奏を展開する。
演奏のテンションが頂点に達するのは13分越えの"Things Have Got To Change"で、ラテンのリズムパターンに煮えたような音を叩き込みまくり、空を割るような咆哮を轟かす川下筆頭に、各楽器、圧巻のソロを披露している。

ノスタルジックでリラックスした空気の"The End Of The World"を挟み、やはりアルバムはバラードに終わる。
その最終曲は尾崎豊の"I Love You"。
あまりにも素晴らしい。
ソロもなく、曲の形に忠実に演奏されているのだけど、それがあるべき姿として鳴っている、つまり、無数の歌い手によって歌われてきたそれと同じように、ここでも川下の独特な歌いまわしによって、必要な表現はすべて為されている。
演奏の合間の呼吸の音が特によく聴き取れる録音で、やはりここで演奏は歌と捉えられているのだと感じる。
それ以上に必要なものはもう何もない。

てかこの曲大好きなのですよね。
聴きながら口ずさんでしまって、やっぱホントいい歌だよなみたいな。
"悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に"って。
 

Raoul Björkenheim eCsTaSy 『eCsTaSy』 『Out of the Blue』



ポストパンクがしたくてセッションしてました


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Ecstasy
Out of the Blue

Raoul Björkenheim - electric guitar
Pauli Lyytinen - saxohpones,mey,kalimba
Jori Huhtala - contrabass
Markku Ounaskari - drums

このブログを始めて最初に感想書いたCDがBoxの『Studio 1』で、そこに参加していたのがこのRaoul Björkenheim ラオル・ビヨルケンハイムだから、結構長い付き合いになる。
そんなラオルの久々のリーダーバンド作がこちらの二枚。ちょっと前にもラオル参加作を出していたレーベルcuneiformから。

以前にやっていたScorch Trioでは基本的に一瞬のフレーズ、リフのようなテーマがあってほぼ即興という印象だったから、そうしたジャズを演奏してくるのかと思いきやまた違う方向性。
ぐっとスタンダードなジャズの話法に寄せて、きっちり書かれたテーマを演奏して、パートも個々の役割をこなしている。
ラオルの変態ギターを心ゆくまで堪能できて、それがハイエナジーな筋肉系ジャズのゴリゴリな演奏に乗っているという感じ。
一枚目の『eCsTaSy』はゴリゴリな要素に、二枚目の『Out of the Blue』は変態な要素に若干寄ったような印象。
それぞれ8曲、9曲入って40分ちょいの尺、基本ラオルの作曲ながらバンド全体で作られたものもいくつか入っている。

『eCsTaSy』冒頭の"El Pueblo Unido"、シンフォニックかつカラッとして明快に歌うメロディをサックスとギターのユニゾンでやって来るので意表を突かれる。中間部のソロパートはギターに充てられていて、自由な節回しで歌いまくる。続く"Sos"はソリッドでパンキッシュなテーマ部にソロはサックスとベースがとっていて、ギターはサポート的な立ち位置。真逆のやり方を見せることで「ここでは色々手広くやりますよ」というのを聴かせているわけだ。

ラオル以外のメンバーは名前聞いたことがなくて、Scorch Trioはおなじみのシングのリズム体だったことからもまた意外な部分なんだよね。しかしこの人達、単なる無名ジシャンというわけでなく、ラオルが背中を任せるも納得の、と言うべきか、パッと聴きだけでかなりの腕利きと分かる。
それぞれがラオル相手に一歩も引かずソロをとっていくし、後ろに回ってもかなり主張する演奏をしている。なんというかみんな暴れん坊。行儀悪くも吼えて打ち付けるような演奏でゴリゴリに煽っていくスタイル。やっぱベースが非常によくて、野太い音色かつ強めのアタックでバッチンバッチンいっている。"As Luck Would Have It"という曲がいきなりベースソロで始まり、曲中ウッベに似つかわしくないようなマッシヴなリフを弾きまくり、煽られたラオルのギターも脳天にくるえげつないソロをカマすというサイコーな化学反応になっている。

"Subterrancan Samba"では原型を留めぬまでに変調された電子音ギターと強迫系不協和ベースの変態的な仕上がりだけど、全体としてはストレートにプログレ~フリーロックな要素含みつつバキバキ進んでいくフリー気味ジャズで聴けるのがこの一枚目かな。
クライマックスの"The Sky is Ruby"はUMOというビックバンドともに録ったその名も『The Sky Is Ruby』という作品にも収められてい
た曲で、これがやたらめったらカッコいい。ここで小編成で再び聴くことができたのも、ラオルのファンとして嬉しく。


『Out of the Blue』でまた異なった内容と思わせてくるのが冒頭の"Heads & Tales"。音数を絞ってダークなメロディをギターが担うテーマ部、ソロパートにおいてはほぼインプロ的な内容のリズムを持たないバッキング。ここではサックスがキレまくっており、引っ張られるようにリズム体もかなり熱の入った演奏を見せてくれる。
"A Fly in the House of Love"がまたそれまでになかったタイプの演奏で興味深い。弓弾きのベース、持続音を継いでいくような管とギターのフレーズ交換に始まり、ノイズ的な音色、調を感じさせないモチーフ、全体が冷めたテンションで展開するディープな音響ジャズ。

"Quintrille"、"Uptown"と純粋にカルテットの演奏を楽しめる曲もあるけど、全体のトーンとしてはやはりダークなアルバムという感じがする。前衛的な面の強く出た曲の中でも、"You Never Know"あたりはかなり崩した演奏と高いテンションがひとつになっていて特に良いな。

ラスト二曲がまた面白くて、"Roller Coaster"はハイスピード&ハイテクニックなテーマ部とムチャクチャやってる即興パートのコントラストで楽しませてくれる。ベース~サックス~ギターとソロを回していく展開が短い中に凝集されていて、アルバムから一曲聴かすならこれという感じもある。
"Zebra Dreams"は10分の長尺にわたる曲なのだけど、ミュートした弦のアタックだけのミニマルな演奏が延々続く箇所とか、現音的な演奏がところどころあって、全体がかなり細かく書かれた曲なのかなと想像させる。こういう曲をラストに持ってきているあたりも前作と違ったコンセプトを匂わせるな。

一枚目はフリー要素の混じったハイエナジーなプログレジャズとして、二枚目はよりフリー強まるダークなアヴァンギャルドジャズとして、違った内容で楽しめる二枚かなと。ラオル先生の変態ギターは変わらない、というか、これがこの音楽の同一性を保っているというか…。民族音楽のバンドと一緒にやってたこともあったと思うけど、トライバルな、かつ無国籍な、奇妙な音使いであり、ジャズにそれやるか?というメタリックな音作りであり、電子音的な変態エフェクトであり、ビブラートみたいな揺らし方の妙味であり、この他にはちょっとないような…うーんやっぱこの人には変態というのがしっくり来るのですね。一般にこう変態演奏者みたいに言われる人ってそうかあ?みたいなのも多いけど、この人は自信を持って送り出せる変態といいますか。
アルバム単位でみるとやってること自体は様変わりしてるがラオル先生のギター好きな人にはご褒美でしかないバンドでしょう。良い。


続きにライヴ映像など

 

Hedvig Mollestad Trio 『Black Stabat Mater』

2週に一度ほどyoutubeでhorror trailerで検索して日付順にソートして上から見るというのをやっていて、新作ホラーの予告に関してはチェックできる限りすべてチェックしているんだけど、その中で先月グッと来たもののひとつに"The Woods"という映画の予告があって。これ映画の詳細とかは全然分からないんだけど、ダークで寒々しいアレンジの"見つめていたい"のカバーが使われていて、とても印象的だったんですね。
でも情報自体は全然ないんで、何だろうと思っていたら、ここにきて驚きの新情報が出てきた。
予告の動画タイトルが昨日になって突然変えられる。見てくださいこの予告のタイトルを。
なんとこれ、ブレアウィッチ・プロジェクトの続編だったのですね。
情報は完全にサプライズ公開で昨日になって突如として日本公式サイトも開設と。
この驚愕の企画、仕掛け人はアダム・ウィンガード&サイモン・バレットとのこと。この二人、00年代のジェイソン・ブラムのような存在感を見せてきてますね。
僕が初代ブレアのことをどれだけ好きかというと、DVDとブルーレイは勿論(作中に音楽は使用されてないのに出ている)イメージサントラまで持っている程なんですけど、これは人選も納得で期待大ですよ。
楽しみ~~~

あと『星野、目をつぶって。』ってマンガ読んで、これ、タイトルが『百瀬、こっちを向いて。』のパロディになってたり、各話サブタイもちょっと前のJポップから取られてたり非常に自覚的な青春マンガなんですけど、めっちゃ良くて。ただ内容はタイトルで検索するだけでもネタバレするデリケートなものなんで、前情報入れずにただ読んで欲しいなと思いますが。
この手の個人の名前を指名するタイプのタイトルの青春/ラブコメってとても増えたけど、これ、所謂ハーレムみたいなものから次のモードに移ったってことなのかなと思って、面白いと思っている。考えてみれば昨今話題になるこの手のものってみんな一対一、サシの関係性を扱ってるので。
ハーレム的な一対多の、複数の選択肢の中からよりベターな、比較検討したものを…って見せ方は、マーケティングというかキャラ商売としては正しいんだけど、それで恋愛とか描こうとすると違うなっていう。それよりも最初から相手は決定されてて自分には選択の余地はないんだけど、それを自分が選んだものとして選び直す、そういうものじゃないですか、なにかそういう関係って。
年収とか身長とかさ、比較検討の参考になる要素って、それゆえに相手を選びましたって言ったらもう寒々しい話なわけじゃん。じゃあ説得力のある選択の理由って何かというと…、理由はないけど…わかりません…気付いた時には…そういうものでしょ。そこには原理的に他者って少なくとも別の選択肢みたいな形では介入し得ないというか。
エンターテインメントにはなり難いのかもだけど、それを描こうとしているものが評価されてきてるって自分的には結構面白いかな。

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もーーー前置きが長いよ!サモエド!って感じなのですが…そういえば今書くのも謎なんだけど前回の記事で記事番号500でした。実際には一回大整理して消した記事もあるから現在500の記事があるわけではないけど、全音楽ブログ界隈(?)に完全黙殺されたままここまで描きました、ありがとう


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BLACK STABAT MASTER
過去記事など
もはやルネ・グラモフォンの看板バンドのひとつとなった感のあるHedvig Mollestad Trio ヘドヴィグ・モレスタッド・トリオ3年ぶり・2016年最新作。4枚目か。
Elephant9、Scorch Trioなど同レーベルの名だたるリリースが揃う2枚組LPライヴ盤シリーズでもまもなくリリース予定あり、めでたい。



ロックンロールぶっ聴いてるか?
引力から逃れて長い長い旅に出る準備は?
アルコールが揮発するまでの間の短い夢と濃い霧の中で、一夜の過ちに身を焦がす用意はいいか?
ロックンロールぶっ聴いてるか?
トランジスタとトランジスタの間に挟まれた抵抗みたいにもみくちゃになり、
あるいはダイオードの隙間を潜り抜けた信号のようにささくれて、
ただ出力されたいと出力されたいと願う願い続ける原始的で単純な響きを知ってるか?
ロックンロールは?ぶっ聴いてるか?
73年、マディソン・スクエア・ガーデン、ソング・リメインズ・ザ・セイム、騎兵隊のように土埃をあげるリズム体と無限に続くギターソロの渦に呑まれながら、幸せな瞬間をずっと味わって死にたい、永遠に生きたいと思ったのは?
ロックンロールぶっ聴いているか、ギター、ベース、ドラムス、コーヒーとタバコ、死と生、真空管、スプリング、ウーファーとツィーター、ディレイ、ドライヴ、ファズ、汗、生、汗、死、憂鬱と退廃と官能と厚みのあるピックと終わりの革命の最後の苦い記憶の中の君は少年兵で、そこから出る方法を気付かずに、ただドアノブを回す方向が逆と気付かずに、震えて、ロックンロールぶっ聴いてるか?いつ終わってもおかしくない瞬間がずっと続いてほしいと願ったのは?

ロックンロールぶっ聴いてるか?
5トラック33分の中に全部あるか?
針を落とすと間髪入れずに叩き付けるサイケデリックなグルーヴに躓かず足を乗せられたか?
絶え間なくおしゃべりするスネアとベースが流れるように形をかえて、恐れることなく無限の愛の歌を吐き出し続けるギターの響きに手を取られるまま"Approaching"、ド派手に崩れ落ちるアウトロから直結する"On Arrival"、世界の終わりのように降り注ぐフィードバックの渦、即興的に連なっていく酩酊のジャム、14分間の暴動、まだ生きてるか?
ロックンロールぶっ聴いてるか?
"In the Court of the Trolls"、深い深い残響の中でまた新しいサイケデリアの雷雲の一群がやって来たのを感じるか?
クジュファックドアウトザピーセズオブミュージック、あるいはやっぱりここにすべてがある。何度でも言う。ボリュームは限界まで上げてるか?
"-40"、ここでもモチーフを引き継いだまま、荒涼の中にミニマルなギターがただ一定のコードを刻んでいる。ずっと何かを待ちわびて。
"Somebody Else Should Be on That Bus"?
ロックンロールぶっ聴いてるか?
"Somebody Else","Should Be on That Bus"?
全く別の悪魔のようにベースリフがやって来て、ドラムスが加わり、唸り吼え叫ぶようなギターの狂おしい歌がもう一度響きわたる。4分半のタイトな暴風雨に根こそぎ心を奪われて、それでもう一度分かるのだ。これは恋に落ちる瞬間の音楽だったと。
だから打ちのめされて、朝に追いつかれて、心は割れちまって、それでもずっと待っているんだよ、そこに辿り着けるのを。君の愛の降り注ぐそこに辿り着けるのを。


 

Luis Lopes / Jean-Luc Guionnet 『Live at Culturgest』

『アイアムアヒーロー』観たのですがやー素晴らしかったなこれも。
最近ほんと邦画ハズレ無し状態と言いますか、この前置きでしばらくずっと邦画について書いてますけど、
取り上げてないなかでも『葛城事件』『ディストラクション・ベイビーズ』とかね、どれもホント見ごたえある映画で。

『アイアムアヒーロー』ね。
まず原作漫画の一巻てこれ、一冊の本として異様なまでの完成度があって。
マンガの、絵だから現実も幻想もシームレスに同じ紙面上で展開できるという特性なり、花沢先生のそれまでの作家性をそのままミスディレクションに使っちゃってたり、
それで誰も予想しなかった方向に急展開する物語。そこをどう映画に落とし込んでるか?ってのを見てほしいですね。
で、そこからですね、この映画が驚異的なのは。
主人公が住宅街の中から歩いて街の大通りへ向かっていくんだけど、その角を一つ曲がるたびに事態がヤバくなっていく…っていうのをほぼリアルタイムの長いシークエンスで書いている。
ここがもうね。度肝を抜かれるので是非見てもらいたいですね。
それ以降も映画として隙がなく、デザインとか描写とか振りの付け方みたいな部分でも"世界にお見せして誇れる基準"でありつつ日本らしいところがいちいち感じられたりとか…。
描写の容赦ない部分に関しては、制作にテレビ局を挟まないようにして作ったので、今までメジャー邦画で出来なかったことも可能になっているとのことですが。
お馴染みシッチェスやSXSWのミッドナイトで観客賞取りまくってるとのことですがそれも納得!の堂々たる一本でありました。


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live at culturgest

前衛ジャズ好きの琴線に触れるリリースを連発するリスボンのCleen Feedより、11年のライヴを音源化したCDが昨年出ていたもの。
流通がよくないので、僕は普通にペイパル使って公式で買った。

Luis Lopes - electric guitar
Jean-Luc Guionnet - alto sax

24分と18分の2パートからなるシンプルな即興演奏。
ジミヘンの影響を大いに受けそれをジャズギターに取り入れたというギタリストLuis Lopes ルイス・ロペスは同レーベルより幾つか参加作をリリースしている。その中のHumanization 4tetがすごく好きなバンドで、彼の活動を追っているのもそこからかな。
Jean-Luc Guionnet ジャン・リュック・ギオネはサクソフォニストとしての他エレクトロニクスを用いたエレクトロアコースティックの演奏も行い、ノイズ的な感覚を持った荒々しい独特の演奏をする演奏者。デモなどの政治活動に熱心で何度も捕まったりしてることでも有名。笑

持続音、フィードバック、楽器から自然に漏れるノイズ等を絡めながらじっくりと展開する立ち上がり、高域で音がひとつの直線に収斂し、ギターのトーンが急激にひび割れる…導入からもう堪らないものがある。
あくまで断続的なロングトーンの形態を崩さないサックスが、ギターに触発されるようにフラジオし始めれば、ギターは演奏を止めてみたり、間合いを読みつつ互いに徐々に重い打撃を打っていく、なんだか格闘技のようなやり取り。
編成からも構成からも想像させる部分ではあるけど、互いに過激に煽り合う場面ではすわ解体的交感か!?という様相を呈してくる。いややっぱり意識してやってるのかな?という気もする。

二者とも演奏者としては裏表がないというか素直というか、勢い重視のパンキッシュな演奏をシンプルなトーンで展開していて、聴いてて抜けが良く非常に気持ちいい。ロペスはエフェクト使いはいつもシンプルだけど、ここでも恐らく簡単な歪みしか使っていないと思われるギターの硬質でエッジの立った音が清々しい。
ていうかザ・シングとかも音が見た目に現れてるようなルックスをしてるけど、この人達もゴツいおっさんの見た目通りの音だな。
ゴツゴツバリバリした音をハイスピードでぶち撒ける殴り合い即興演奏は、この手のものの好きな人にはご褒美という感じでしょう。
これはかっこいい。おすすめ。



続きに映像など


 

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