Ex Eye 『Ex Eye』

『君が生きた証』という映画を観たのですが、これ是非観てほしいと思います。
息子を亡くした父親が遺品整理の折に息子の作った曲のデモCDを見つけて、それをバーなどで歌い始めるという内容。
なのだけど、中盤さり気なく、何でもない事のように、とんでもない情報を開示してくる。
それによって今まで見せてきたものの意味が全部変わり、重い問いが投げかけられる。
これはネタバレしてしまうともう全く意味のなくなってしまう話でもあるんで、何も情報を入れずに観てほしい。
タイトルから想像させるような真っ直ぐな感動話では全くないけど、必ず観て良かったと思うはず。
人前で演奏しようとすると吐いてしまうナイーヴなギタリストとしてアントン・イェルチェンが出ていたりして、今にして、ということで、その意味でもタイトルが刺さってくる。
おすすめ。


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このレコメンドイフユーライクのところのメンツが分かり易っ!というか、この一団聴いてる人、いるいる!って感じがしてかなりいいと思います

わりと出たばかりで、Ex Eyeというバンドのファースト。セルフタイトル。
ジャンルはエクスペリメンタル・メタルとかわりと何でもあり感のある言葉で言われているけどまぁ一筋縄でいかない内容。
それもそのはずで、このバンド、メンツが…

Colin Stetson - alto & bass saxophones
Greg Fox - drums
Shahzad Ismaily - synths
Toby Summerfield - guitar

そ、このバンド、今やスタジオ仕事などでも引っ張りだこの感のあるコリン・ステットソン、Zsのほか少し前に来日したソロでも衝撃の演奏を見せるグレッグ・フォックス、ふたりが中心になったニューバンドなのですね。
脇を固める(いやフロント楽器に対してこの表現もおかしいが)二人もプロデュースやスタジオワークのベテラン。
コリンとグレッグが同じバンドで演奏するというのは事件には違いないのだが、一方で音楽性というところから見ればよく分かる。
二人ともジャズをルーツのひとつに持ちつつあらゆるジャンルを手掛け、自身の表現としては肉体を使って全く新しいミニマルミュージックを生み出している。

アルバムは4分のイントロに続いて12分のトラック×2、8分のトラック、と、ロックと思うとかなり潔い内容。
しかし聴いてみればやはりこの人達の生み出す音楽、普通のものでは全然ない。
4つの楽器がそれぞれ複雑なフレーズでもって絡みあいながらひとつのモチーフを形作り反復と変形を繰り返していく、というのが基本かな。
ただ案の定というかとんでもない超絶技巧だ。精密機械のような各楽器の噛み合い。
サックスの生むトライバルな響きやシンセによるエレクトロな感触というのもあって、一息には説明できない音。
メタルというかロック的な明快な展開をする箇所もあればアンビエント的に各楽器のレイヤーを幾重にも折り重ねて音を作る部分もある。
たぶんこれは最初にこういう音を作ろうという設計図ありきの音ではないんだろうな。
ガッチリ作り込んだもので、この4人で技術的に/音楽性的にここまでできますけどっていう風なところを感じる。
グレッグのいるZsがそうであるようにこれもまたミニマルという方法論を取り入れた音楽の新しい展開なのではないかな。
意外と難解さはなくスルッと入って来るが強力な質量でズンとくる、そしてフィジカルな気持ち良さが一番に来る。
人間技と思えないドラミングと重厚なノイズヴェールの織り成す"Anaitis Hymnal; The Arkose Disc"が特に良い。


続きに映像を貼っておきます

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Thurston Moore / John Moloney - Caught on Tape 『Full Bleed』 Oneida & Rhys Chatham 『What's Your Sign?』

先日は欧州の狂ったノイズジャズ演奏若者たちことYes Deerのライヴを見に行っていたのですが素晴らしかったな~~~
胸のすくようなパワー&スピードのキレキレインプロでした


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本日はおなじみNorthern Spyから出ていた新作のコラボもの音源二枚がどちらも素晴らしかったのでご紹介

Thurston Moore / John Moloney - Caught on Tape 『Full Bleed』
9曲40分。
近年はMats Gustaffsson、John Zohn等一騎当千の前衛演奏家とガチンコタイマン即興演奏の音源をリリースしているThurston Moore サーストン・ムーアの最新盤。
いやしかしこのジャケのサーストン氏の似顔絵似てますね笑

Thurston Moore - guitar
John Moloney - drums

今回お相手のJohn Moloney ジョン・モロニ―とは二人で以前に数枚出しているほか、バンドChelsea Light Movingでも叩いてもらってたり結構旧知の間柄らしい。全然知らなかったけど
今回はドラムとのデュオという編成、何度も一緒にやっているというのも作用してか、メリハリが効いて演奏ごとの構成の意図がハッキリ見えるようなノイズロック風即興。各演奏がコンパクトにまとまっていることもそういうイメージにつながっているかな。
いくつかの曲でははっきりとリフとそれに絡むストレートなビートを導入していて、ロッキンな推進力で聴かせる。
モロニ―さんのドラムスもかなりロック煽りなプレイで、音の波に合わせるように分かり易い盛り上がりを演出する。合間に入るフリーな演奏のところでもスネアのランダムなビートやシンバルの拡がりのある散らし方などロック系ドラマーのそれという風な演奏。
サーストンはある種決然とした二面性の演奏…senstive / lethal…なそれで、ピキピキと火花の散るようなピッキングノイズ/お馴染みのビッグマフ踏み込みの破壊的なノイズ暴風演奏を明快に使い分けている。
とんでもない怪物たちを相手にセッションを重ねているせいなのか、演奏の進化っぷりが凄まじく、混沌とした中にソニックユース的な"あの感じ"の割り切れないコード感覚(恐らく特殊チューニングと思われる)が完璧に馴染んで溶け込み、壁のようなトーンの爆音ノイズ~ランダムに弾ける火花のようなハーモニクスのノイズ演奏も「必要な時に必要なものを出せる」みたいな感じになっていて、とても心地よい。
完全に振り切ったノイズロック"Dispute"~無軌道即興"Reverse Funeral"の流れがはっきりとアルバムのカラーが出ていて好き


ビッグマフ自慢って感じだ



Oneida & Rhys Chatham 『What's Your Sign?』
Oneidaはブルックリンで20年にも渡って活動を続けるベテランロックバンドで、その音楽性は反復を基調としたミニマル~サイケデリックなエクスペリメンタルロック。近年ではアルバムを出せば3枚組、ライヴをやれば一曲を二時間半演奏している等とんでもないことになっている。
メンバーは不定形でよく分からんのだけど中心の三人はずっと変わっていないらしい。その中の一人が、Jim Sauterとのデュオの凄まじい音源で印象深いドラマーのKid Millions キッド・ミリオンズであったりする。


最近は鍵盤×2入りの編成

ミニマルエクスペリメンタルロックでブルックリンと来ればこの人、ということでRhys Chathamリース・チャタムとのコラボは必然であったのでないだろうか?
近年も100本以上のエレクトリックギターによる壮大な交響曲"Secret Rose"の公演をクラウドファウンディングで成功させていたりと衰えを知らぬ活動を続けているけれど、彼の代表作である楽曲"Guitar Trio"、単一のコードをひたすら刻み続けるミニマルパンクの金字塔はまさにOneida的発想…というか影響を与えたのがこの人なのかもだけど…という気がするし。

アルバムのオープナー"You Get Brighter"は単一リフを延々奏でるダーティな歪みギターとチャント的ヴォーカルの部族っぽいミニマルロック、のち流れ込むノイズギター。"Bad Brains"はそれを切り刻んで方々に配置しエディット、サラウンド的に聴かせる音響実験。
続く二曲"Well Tuned Guitar"、"The Mabinogian"はチャタムの代表的なコンポーズのうちのふたつをOneidaが演奏、というもので、ギターの可能性拡張といったような摩訶不思議なノイズ溢れるサウンドスケープはまさにチャタムといったところ。
クライマックス2曲の"A Philip Randolph at Back Bay Station"、"Civil Weather"はサイケデリックなセッションであり、チャタムのトランペットなども鳴り多彩なサウンドがスローモーションでやって来るおおらかな大波のように包み込む。これが気持ちよくある種アンビエント的にすら聴ける開放感のある音響で、ちょっとこの調子で長尺1時間1曲みたいなアルバムも出して欲しいなと思ったり。

最初の二曲がちょっとチャタム初期作っぽいのと思って聴くと後半はまさに最近のそれで、そんな意味でチャタムファンとしても趣深い作品であった。
そういえばOneidaの三枚組アルバム"Rated O"も実に良いので是非。
チープな打ち込みビートの宅録パンクっぽい一枚目は脱力するけど2枚目、3枚目が素晴らしく。ミニマル化したコメッツオンファイア的サイケデリック暴走ギターと大曲二本立てのどちらも自分的にはド好みの音。


続きにチャタム関連の映像いくつか貼ります

My Disco 『Severe』

え~~~まずはですね
Otaku Young Teamライブありがとうございました。



普段は新宿西口のサイゼでこんな事をやっています


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このCDはライナス屋さんで買えるようですね。
テンポラリー・レジデンスより2015年作。これがバンドの(ライヴ盤除くと)5年ぶりのアルバムとの事。
マスタリングがラシャッド・ベッカーだったのだけど最近ラシャッドさんは複数いるか何か録音の場における不定形の概念を指してそう呼んでいるのかな?と思っています。偏在

公式サイトからもプロフィールとかはイマイチ分からずただその漆黒ぶりだけが分かるという具合。
とりあえずオーストラリアはメルボルンのトリオらしい。


とりあえず曲を聴いてくれ

えと何でしょう…。
ロックバンドにおけるギタートリオという形態-サウンドに上下左右から蹴る殴るの暴行を加え残った芯の部分といいますか。
そのロックンロールの核の部分、エートつまり、 'n' の箇所ですか。そこを金槌で遮二無二打ち据えまして中まで火が通るよう数時間熱しましたものがコチラ…見ての通り鈍鋭く黒光りしております。
こういうものを指して、かっこいいとか最高とか言います。

しかしこのバンドほど説明に困るロックバンドもなかなかない。
あえていえばポストパンク的と言えるのかもしれないが、そうした既存のロックの枠に収めるともう何か大事なものを取りこぼしている感があるし、そんな奇妙さを孕んだ音がしかし出音としてはどこまでもタイトかつソリッド、シンプルに洗練されている。
楽曲の構成上必要な最低限の打点を打ち込むドラムス、硬質なトーンでこれまたミニマルで大きなリフのループに終始するベース。
ギターはノイジーなフィードバックを従えているが、これにしても低い温度感を保っていて楽曲を構成するパーツ、という風に聴こえる。
ヴォーカルはポツポツと抑揚のない言葉を置くだけでメロディはない。
どこか、インダストリアルテクノの人たちがたまに手掛けるポストパンク風トラックみたいな印象も受ける。
とどのつまり、生のアンサンブルでありながら、どこまでも熱を欠いている。バンドの演奏をガラスを隔てて眺めているような。
それは普通のロックにあっては欠点なのだけど、この徹底的にコンセプチュアルな音にあっては、むしろ、これ以外ない、と思わせる。

強靭な意志をもって完遂される6分越えの3トラックはアルバム中でも出色の素晴らしさ。
ここまでシンプルな音であればすべての曲が2分で終わってもおかしくないはずで、それをこうした長尺に渡って(しかも反復を軸に)続けるというは、やはり彼らが参照しているのは電子音楽とかソッチの方面なのかな?という気がする。
陶酔と覚醒のトリップ感をもたらすモノクロームの音響空間。
このアルバムをリミックスしたEPも出しているのだけど、その人選がRegisとLustmordというのも分かりまくる感じである。

マイ・ディスコ。
ディスコという言葉はそこで人が交わることが要件としてあるような、ourのものであることを暗に含むようなイメージがあるが、そこにmy、おれの…この言葉の枕になることで自然含む意味としておれだけの…がくっついている。
シンプルにして実に的を射た名前だと思う。
たぶんそのディスコは彼の頭の中にだけあって、目抜けで傾ぐ今にも落ちて来そうなミラーボールの下で、彼はひとりぼっちなのだろう。
ずっと踊っていて、そこは廃墟なのだろう。


続きにライヴ映像など

Greg Fox グレッグ・フォックスのライヴを見に行っていた

来月ライヴやります!
サイゼリヤをグループ利用する際に使用している名義で出演します。
我々は3ギターを擁する編成にてソニックユース~ブランカ的なミニマル/ノイズロックを展開する予定です



ご無沙汰しています。
ここ最近は映画をふたつくらい観て…















あとはひたすらニーアオートマタをやっていたような記憶があります


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で、今日というかさっきZsの凄腕ドラマーGreg Fox グレッグ・フォックスのライヴを見てきたのですが。
八丁堀駅のすぐそばを流れる川の中州にあるライヴハウス七針、初めて行ったけど、すごく雰囲気良いですね。
ブエナとかに近い感じかな。30人入ったら軽く満員くらいの広さで、ステージとかなく同じ目線で演奏する感じ。
で、そうグレッグ・フォックス。
本国では音大のジャズドラム科のマスタークラス持ってるようなのをどっかで読んだけど、自分の印象としてはジャズ的な小節や拍を無化する方向とは逆、リズムを数理的…微分的?…に精緻に突き詰めた結果の超絶技巧みたいな印象を受けたかな。
ある一定のパルスが流れてはいる。ただリズムというのはそれを如何様な割り方にも解釈し得るということで、その可能性が多元的に同時に存在している。
4であるということは64であるということで、それは同時に3でもあり、24でもあるということなんだけど、それらの間を驚異的なスピード感でジャンプする。その音の詰め方の緊縮によってダイナミズムが生まれる。
だからダイナミックであると同時にミニマルでもある。厳密に整然としているから。
嵐のようなドラミングなのに静かとも感じてしまう、そんなロジカル超絶ドラムといいますか。
彼は最高のドラマーですねやはり。

それに加え今回はドラムにセッティングする特殊なシステムを用いていて、それも面白かったな。
スネアやタムにセンサーをセットして、それがラップトップに繋がっているという見た目。
これは何かというと、ドラムの太鼓の中の叩く箇所や部位に音を割り当てて同期するように様々な音が出力されると。
これを用いて電子音と絡めた演奏をしたり、合成音声で歌わせたりしておりました。
見てもらう方が早いかな。スネアのみでこんな演奏になる

勿論ニュアンスとか含め技術が要求されるのは言うまでもないけど、ドラムソロパフォーマンスの新たな形かなと。



自分はもともと音源でもドラムソロのものとか聴くの非常に好きなんですけど、このグレッグは一番ライヴで見たかったドラマーの一人で。
Zsで見た時も素晴らしかったけど、バンドや曲という外枠なしではこんな演奏するのかと。
めちゃくちゃ良かったですねはい

Horse Lords 『Horse Lords』 『Hidden Cities』 『Interventions』

一月の半ば過ぎから、もうひとつブログを書いています。
テキストファイルアップロードサイト
テキストファイルをアップロードするブログです。
特に毎日更新とか決めているわけではないけど、ネタをストックしておくと勝手に毎日更新してくれる仕組みを試しています。


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まずは映像を見てくれ

画面中央で踊る、痛Tを着たオタクの圧倒的な存在感に注目して欲しい。
酩酊したような動きを基本にしつつ、腕や首の振りを交えてグルーヴし続けている。
彼はもちろんメンバーでもなんでもない。
ただ、それによって映像が熱を帯びたものになっていることが重要だ。
というわけでボルチモアの白熱する永久機関、Horse Lords ホース・ローズ。


Andrew Bernstein - saxophone,percussion
Max Eilbacher - bass,electronics
Owen Gardner - guitar
Sam Haberman - drums

horse lords
写真は2016年作、interventions。
これ以前の作品は物理で手に入れるのは難しいものの、バンドキャンプですべて入手できる。


紙のテープか何かを使って、メビウスの輪というのを作ったことがあるという人は多いはずだ。
自分の場合はウルトラマンか何かで出てきたのを見て、幼い頃一時期大量生産していた記憶がある。
子供部屋に物理/数理的なカオスが生まれていた。
終わりも始まりもない無限の象徴であるメビウスの輪が教えてくれるのは、全てが1となりうるのであり、永遠のミニマルなミニチュアとして現れうるのであり…つまるところすべてはグルーヴしうるということだ。
ホース・ローズが作り出すのはそれだ。
あらゆるものは反復する。反復するとは踊れるということだ。
奇数系のリズムの複雑な組み合わせであれ、すべてのパートが周期的に脱臼され続けるポリリズムであれ、拍を奇妙に伸縮させたようなフレーズであれ…始点と終点を掴んでしまえば、あとはそこにハサミを入れて、一度ひねって貼り合わせるだけ。
それをリアルタイムのアンサンブルでやり続ける。


Zsなんかのような人力ミニマル系のバンドのひとつとも言えるのかな。
それ系のバンドの例に漏れずこのバンドもエクスペリメンタルな要素が入っているのだけど、しかし同時にとても享楽的な音楽だということは重要に思える。
ダンスミュージック的…もっと言うのであれば、シャアビ的な、アラビックなフレーズを軸にした躍動感ある反復運動。
そしてバンドサウンド、ロック的なアンサンブルのむさ苦しい様な熱量がそこかしこに感じられること。
頭で聴いても楽しい難解さを読み取ることもできるけど、同時にサイケデリックで覚醒するようなグルーヴに身を委ねて踊りまくるのだって正しく思える音だ。


一応3つの音源を買ってみたので簡単に聴いていくと…

12年作セルフタイルトル『Horse Lords』は20分、15分の二部構成で、どちらの曲もライヴの熱を伝えるようなノンストップのミニマルグルーヴが楽曲の中でしなやかに変態していく。あるパートが同じフレーズを継続し続けているところに、別のパートがパズルのようにそれまでとまるで違うフレーズを当てはめてくる。そうやって交互にカンフル剤を打ちながら踊り続けるような基本的な構図がここでもう確立されている。
B面"Wildcat Strike"のブレイクでサックスのソロフレーズを契機に一気にボリウッド的享楽空間に叩き込む展開には、通勤中聴いていたら電車の中でいきなり踊り出しそうになった。

14年作『Hidden Cities』は5曲入りでもっとアルバムらしい体の音源。
13分のオープナー"Outer East"がとにかく強烈だ。南国のリラックスしたムードで緩やかにギターとサックスが絡み合いながら反復のグルーヴを組み上げていく。ベースが全面に出て意図的に拍の長さを歪ませるようなフレーズを奏で始めるとギターまでドロドロに溶け始める。今一度背骨を叩くようにドラムスがソリッドなビートを入れれば、そこからは入れ替わり立ち代わりに様々な反復パターンがシームレスに遷移しながら現れる。クライマックスにて各楽器が拍を分け合いながらバトンパスで作る精密なフレーズ。一瞬のブレイク、一気に爆発するパンキッシュなグルーヴ、カッコ良すぎである。
これを皮切りに、短いインタールードにてノイズエレクトロニクス中心、ラーガ的演奏等また異なった方法でミニマル演奏を展開しつつ、10分ある"Macaw"で再び濃密な実験ミニマルダンスロックを展開。2曲が中心になった明快なつくりのアルバム。

16年作『Interventions』は9曲入りで、基本的なところは変わっていないのだけど、もっと音響的な遊びが前にせり出したような作風。
フィールドレコーディングをループして軽くビートを作ったところにギターのループフレーズが契機となってホース・ローズ宇宙を展開し始める"Encounters I + Transfinite Flow"、電子音だけのトラック"Intervention I"、電子音/シンセ的な響きを伴う独特なサックスソロ"Encounter II + Intervention II"と、ミクロとマクロの遠近法が狂うような、ミニマル表現の様々なあり方を、バンドアンサンブルという枠に囚われず表現している。
ライヴ終わりのような歓声や手拍子を切り貼りして作られたラストトラックの"Never Ended"というタイトルは彼らの音楽そのものみたいな言葉だな。
"Toward the Omega point"、"Time Slip"、"Bending to the Lash"といった十八番のミニマルダンスロックは相変わらず中毒性が高くとても楽しい。


円周率は、3!
と宣言するようなバンドと音楽だ。
難しく聴くこともできるけど、同時に踊りまくるダンスミュージックでもある。
3.141592653....であることと、3であるということは矛盾しない。
どこに住んでてもどの神を信じててもいい。男でも女でもどっちでもなくてもいい。ロックが好きでも電子音楽が好きでもどうでもいい、興味ないよ。細くても太くても黒くても黄色くてもデミちゃんでもメイドラゴンでもいい、踊ったら同じだ。動物の芯に訴えかけるような汗と温度のリズムで、ミニマルとはそういうことだ多分。あらゆる差異を巻き込んで無化するかのような圧倒的な…グルーヴっていう言葉の意味もまた、そういうことかもしれない。




続きにかっこいいライヴ映像貼っておきます。

 

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