Christian Marclay , Thurston Moore , Lee Ranaldo 『Fuck Shit Up』

Fuck Shit UpFuck Shit Up
(2000/01/01)
Christian Marclay & Thurston MooreLee Ranaldo

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楽器としてターンテーブルを演奏し始めたターンテーブリストのオリジネイターの一人、クリスチャン・マークレイに、ソニックユースのギターコンビ、サーストン・ムーア&リー・ラナルド。この3人のメンバーによるインプロヴィゼーション。
演奏は99年のカナダでのライヴを収めたもので、1時間の演奏と9分ほどの演奏の2トラック収録。

不定形の音楽だ。
ここで普段インプロのものについて書くときって、フリージャズか、あるいはそれをベースにしたものが多くて。でもこれはジャズではない。純然たるインプロ、という感じ。音響寄りだったりノイズ的だったりというアプローチを断片的に見ることはできるけれども、そもそもそれらの言葉も感覚的で捉えどころがない。
ツインギターの無調のウォール・オブ・ノイズと歪んだスクラッチ音、ホーンやストリングス、ナレーションの浮かんでは消えるサウンドコラージュ。音像はどんどん変化していくんだけど、ノンビートということもあってかその変化も流れるよう。1時間の間、音が途切れずひとつの演奏として流れている。
ラナルドとムーアはSonic Youthで長く活動を共にしているせいか、双子のようなギタープレイだ。ムーアのインプロの音源はいくつも聴いているけど、今鳴っている音がどちらの音なのかわからなくなってしまうような部分が結構ある。
ターンテーブルを使ったインプロというのは今回初めて聴いて、音の多彩さに驚いた。ブチブチというノイズやスクラッチのワウワウした独特の音色を基本にしながら、サンプリングで突拍子もない音も入れてくる。身体性と機械性を行き来するような、不思議な楽器だ。

聴けば聴くほどに、この音をどう表現したらいいのか…などと書くとこうしてレビューしている意味がないんだけど、僕はインプロってある意味では身体に訴えかける部分の強い音楽だと思っていて。というのも、ジャズに入ってから一度ジャズがつまらなくなってアヴァン系のロックに流れて、そこ経由でもっかいジャズに裏口入学、僕の音楽趣味の簡単な変遷ってそんな感じで。その中でインプロに触れていったんだけど、一番最初に聴いてスゲエと思ったOriginal SilenceやThe Thingなんかは、その場にある音がすべてみたいな即興の熱量を凄いと思った。要するに、根っこはロック聴いてたときと同じ感じ。タテノリタテノリ。
でもここにある音はそうではなくて、もっともっとアブストラクトで意味の枠も快楽の枠もストイックに外しにかかっているような音になっている。これを楽しむ自分とは何なんだろう。ここまで書いといてなんなんだけど、このことが分からなければ、このCDの何が良いかというのを明確に伝えることはできない気がしてきた。

2曲めのトラックはオマケ的な演奏とも言えて、ギターはロックなリフを鳴らし、ターンテーブルは埃を被ったスウィングジャズを楽しげに廻し始める。ノイズの吹雪の向こう側、ノスタルジックなモノクロの歌で終わっていく演奏はゲーム『Fallout3』の世界だなぁとか思った。こっちの演奏はインプロの身体性の部分というか、サービスサービスゥってなノリでポップ。


しかし試聴できるとこがないんだねこれ。

※8/23 各プレイヤーによる即興演奏の映像を続きに追加
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