Ingebrigt Haker Flaten 『Quintet』

サイドバーの 2010/10 (2) という文字列に焦りを感じ、もう一個くらい書こうとひっぱり出してきました。
このままだと来月は (1) ってなる流れだと思うんすよね。

QuintetQuintet
(2007/02/26)
Ingebrigt Flaten

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The ThingのベーシストであるところのIngebrigt Haker Flatenのリーダー作は、クインテット編成での知的でハイエナジー時々アヴァンギャルドな放埓ジャズ。7曲45分のコンパクトな中に濃厚サウンドがギッチリ凝縮してある。
メンバーはギターにAnders Hana、バイオリンにOla Kvernberg、リードにKlaus Ellerhusen Holm、ドラムにFredrik Rundqvist。と書いてみたものの、後者二人はちょっと他の所での演奏が浮かんでこなかったりする。AndersやOlaはアヴァン系ではしょっちゅう目にする名前だけど。
メンバーから何となくゴリゴリのフリーを想像してしまうけど、内容はFlatenの手になる楽曲を中心に意外としっかり組み上げられている。
1曲目の"Maxwell's Silver Demon"は、ベースで作った曲らしい重厚なワングルーヴとテクニカルなキメの組み合わせ。バイオリンがいきなりサイケデリックなソロをきめまくったかと思えば、ブレイクからAndersの本領発揮な激アヴァンギャルドギターソロ。独特のジャンクな歪みを筆頭とした多数のエフェクトで、奇抜すぎる無調ソロを繰り広げる。バンドが絡んでのフリーインプロから、吼えるサックスに回帰するワングルーヴ。
Charlie Hadenの"Playing"はクラリネットとバイオリンが浮遊する不穏な瞑想アレンジ。続く"Seemingly"は収録曲の中でもフリージャズ的な感触の強い1曲。リズム体&サックスのトリオ+バイオリン&ギターデュオの2ユニットが絡んだ演奏という風に聴こえる。トリオはストレートなジャズをプレイしていて、デュオはノイズだか何だか分からないフリーすぎるバッキング。ここではバイオリンもエフェクティヴな感じの音色で、容赦ないソロを展開。さすがクインテットにおけるアヴァンギャルド代表二人組と言ったところ。この二人がここでの音楽に他にはない奇抜な色を加えている気がする。
"Ceta"はベースの生々しいサウンドが印象的な静寂のフリーかと思いきや、中盤、ダーティなリフからハードボイルドの世界へ。こういう曲が合間に入って噛み合うあたり、構成も含めしっかり練り込まれたアルバムだということが分かる。待ってましたのAndersによる楽曲"Olja Og Gass"は意表を突く一瞬のベースソロから始まる。ドボボボボという過激なアタック音の鬼気迫るソロがリフを弾き始めると、変拍子のリズムに呼応して極上のグルーヴが脈動する。サックスがここ一番とばかりに潰れた音色でハイテンションな咆哮ソロ。ブレイク後のミニマルなアウトロは、もはや曲作った本人にしか分からないんじゃないかという世界。
ぴんと張り詰めた2分53秒のインタープレイ"Zardoz"を挟み、ラストに演奏されるのは何とMarvin Gayの"It's A Desperate Situation"。しかもここで聴かれるのは、マニアックにもMike PattonのPeeping Tomによるカヴァーのヴァージョン(と思われる)。引き締まったガレージファンクグルーヴに、ギターもハードロッキンでマッシヴなサウンド。バイオリンのサウンドとアツいメロディはやけに相性が良く、激カッコイイ。そうしてやはりというかなぜかというか、激アヴァンなバイオリンとギターによるノイズインプロ。徐々に盛り上がる展開で再度テーマが弾ける瞬間は、あまりにもキマりすぎていて鳥肌もの。クライマックスは壮大なリズム崩し。

全体として見ると、やはり(僕の好みのせいでそう聴こえるのかもしれないけど)AndersとOlaの破天荒弦楽師二人組がぶっ飛んだサウンドを刻み込んでいるのが強く印象に残る。もちろんプレイヤースキルは全員がめちゃ高なんだけど、この音楽を特別たらしめているものという意味で。そしてやはり凄いと思うのは、Flatenの音楽的受け皿の広さ。The Thingで二匹の猛獣と対等に渡り合う彼でなければ、こんなバンドを纏めることはできないと思う。
そんなわけで、ベースのリーダー作だからと言ってベースがどうというよりも(いやベースも最高の音を出しているけど)音楽として単純に超カッコイイ一枚。
フリーとか、アヴァンすぎるのはちょっと…ってう人にも全然おすすめできる気がする。


続きにライヴ動画貼っときます。
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