John Wiese 『Soft Punk』

月末に何とか更新して週一更新みたいな感じを保つ!浅ましい!

Soft PunkSoft Punk
(2007/04/10)
John Wiese

商品詳細を見る


ノイズの帝王John Wieseの06年作。
これは…あー…説明が難しくて…いやむしろ簡単で…つまり…うちにある中で一番うるさいCDのうちの一枚です。

21秒から5分までの短いトラックが13連なったアルバムの内容は端から端まで徹頭徹尾ノイズ。コラージュベースのエレクトロニックノイズが遠慮も容赦もなしにのた打ち回る。

実際のところ、創作活動っていう言葉の字面からも分かるように、破壊的なものを作るっていうことはそのまま語義矛盾であって、とても難しい。というか不可能に近い。にも関わらず、意味としては矛盾しているようなものが現象としてはそこに現れてしまうっていうのがアート(に限らず…)の面白いところで、つまり何が言いたいかというと、John Wieseという人は純粋に破壊的な音楽を作り出すことのできるある種の天才だということ。
この音楽が喚起するイメージは、はっきり言って何もない。そんな隙もない。同時にここに、圧倒的な質量がある。この充溢する無色の昂りは何だろう?ノイズミュージックについて何がしかのコメントをすることが不可能なんじゃないか問題っていうのがここでも首をもたげてくる。このアルバムにあるその種の切断性は、ほとんど絶望するしかない領域まで来ている気がする。勘違いしないで欲しいのは、このアルバムの内容はとても豊かだということ。爆音無調ハーシュノイズドローンが1時間だーっと流れてますってんならともかく、(トラックの短さからも分かるように)このアルバムに収められた音の波は忙しなく波打って常に変形し続ける自由さで押し寄せる。であるのに、何かの具体的なイメージが喚起されるということがない。僕の想像力が貧困すぎるだけか?

即興演奏を行うミュージシャンはよく、音をある文脈のレールから外す、ということに挑戦する。ジャズなんかはもう、それを連綿と行ってきたといってもいい。より長い時間をかけて練られた出来合いのテーマ・メロディに、その場のポッと出で作られたアドリブを加える意味はあるのか?って話で…。やっぱりそこでメロディを奏でることにあまり意味はないような気がしていて、あらかじめ用意したフレーズをその場の進行に合わせて組み合わせるようなやり方はもう愚の骨頂という気すらする。だからそこで表現しようとするのは、その場限りの一回性のもの、譜面に起こしたときに消えていってしまうようなもの、つまるところノイズ…なんじゃないかって気がする。それが恐らくノイズという言葉のひとつの意味で、John Wieseが精密な構築の中から取り出そうとする(この天才は、どうやってか方法論的に自分の中にその苗床のレシピを持っている)現象のほんの端切れだ。

音をレールから外す、と書いたけど、幸いにも(いくらかの人にとっては、不幸にも)ジャズ・ミュージシャンではない彼は、まずそのNゲージから列車を取り上げると床に叩きつける。線路を折り畳み、破砕機にかけ、強火で朝まで煮込み、最後にビニールに包んでダストボックスに放り投げ、唖然とする聴衆に、銀皿に載せた一枚のアルバムをふるまう。そこに、どピンクに染められた6つのマーシャルアンプがスタックされたアートワークが載っている。

"punk"と題されたこのアルバムは確かにパンク・アルバムと考えてもいいような気がするけど、そこから連想することがあって…。有名なザ・クラッシュのロンドン・コーリングのジャケットがあるけど、あの次の瞬間に起こったことが永遠に引き延ばされる、それがこの音楽だという気もする。そんなことを。


続きにライヴ動画貼っときます。
スポンサーサイト
 

プロフィール

 

伊達さん

Author:伊達さん
恐怖と雑音と
カワイイだけがオレの信仰
about

拍手する

 

最新記事

 
 

カテゴリ

 
 

月別アーカイブ

 
 

検索フォーム

 

 

twitter

 

 

リンク

 
 

FC2カウンター

 

 

RSSリンクの表示

 
 

最新コメント

 
 

最新トラックバック