John Wiese 『Seven Of Wands』 『Teenage Hallucination: 1992-1999』

月末ですね。John Wiese最新リリース2枚について。
過去に何度も取り上げてきたとおり()、僕はこのJohn Wieseというおっさんが大好きなんですけどね。
その彼の新しいリリースが届いたわけです。で、聴いてみると、これがすばらしい。紹介せぬわけにはいくまい。
みたいな感じです。


Seven Of Wands
seven of wands
MEDITATIONS屋さんで扱いがあるみたい。
これは確か出たのは去年の秋頃(買うのが遅れたなぁ)だったと記憶していて、彼の純然たる最新作ということになる。
まずアートワークが技ありで、ビニールのスリーブをうまく使ったギミックでモノとしても完成度の高いパッケージになっている。このへんは是非実際に手にとって驚いてみて下さい。
さて、ソロ音源というと『Soft Punk』なんかを思い出すもので、あそこで鳴っていたのはカットアップコラージュを多用した暴力的なノイズ地獄だった。で、面白いことに今回鳴っている音はそこからすると全く違う方向性のものだったりする。
冒頭"The New Dark Ages"から聴こえてくるのは低域からせり上がる微細なホワイトノイズ。ほぼ音圧のみのような、実体のない音が折り重なる。高域のフィードバックも催眠的で、音は静けさを保ったまま終わっていく。
続く13分の大作"Scorpion Immobilization Sleeve"は重ねられる信号ノイズ、浮き沈むグリッチ、得体の知れない物音が反復しながら増殖していく作風。ハードな展開にはいかず、不気味な静けさが続く。
そこからの"Alligator Born In Slow Motion"、"Burn Out"では更に方向性を突き詰め、サイレントノイズを追求していく。こうした追求がラストの16分トラック"Don't Stop Now, You're Killing Me"を巨大な得体の知れない何かとして佇まわせる。
このアルバムは全体がこの調子で、ドローン~コンクレート的な色合いの中に彼らしいエレクトロニックノイズ~音響処理を溶かし込む。(タイトル通り)7つの楽曲で構成されている50分間。基本的には早いスピード感の暴力的なノイズをやることが多いだけに、この感じでアルバム1枚作ってくるのには意表を突かれる。しかし実験的かと思いきやその内容はカッコイイの一言。最早ノイズという枠ですらくくれないような音楽そのものの音楽、異様な緊張感がずっと続く。
この人の器用さ…と言うと違うか。唯一無二さに打ちのめされる一枚。

で、もっとJohn Wieseを掘り下げようということで一緒に聴くと面白いのが…。

Teenage Hallucination:1992-1999
TAHC
これはGSR屋さんで買って…いま売り切れか。言えばまだ再入荷してくれるかな。
これはタイトルからも分かる通りの過去音源集で、なんと彼の10代のころの音源を集めたものとのこと。
調べてみるとこのおじさん、まだ35歳らしい。多作だし現ノイズ界でも最強アーティストの一人だしで、もうちょい年いってるかと思ったんですけどね。
で、このアルバム。
52曲79分のこってり盛り、4秒の曲から7分の曲まで幅広く。しかし内容はシンプル。
とにかく全編轟音破壊的ハーシュノイズを貫き通し、グシャグシャバキバキビリリと非っ常に耳に優しくない。そしてハイスピード。1秒間にどれだけの音を詰め込みたいのかと。若さゆえというか、ほぼパンク的な勢いで疾走するノイズ集に仕上がっている。全体的に尖りまくりのエレクトロニックノイズが無茶苦茶な勢いで爆発するといったサウンドで、しかしノイズとしての破壊力の高さはすでに充分に今の彼の片鱗を感じさせるもの。
全体的に重厚な音圧には、音への高い拘りの意識が伺える(カセット音源からのものでローファイなクオリティのものも一部ある)。カセット音源と言えば初期Sissy Spacekの音源なんかも入っていて、編成は基本となるCorydon Ronnauとのエレクトロニクス・デュオ。若い頃から仲が良かったのかな。
全体の爆音っぷりには今と地続きの感性を感じるし、それを保ちつつも幅を広げてきたんだなぁ…と思うと『Seven Of Wands』の味わいも深くなる。やはり合わせて頂くのが最上の食べ方かなと。


というわけで、John Wieseの最新2リリースだったんだけど、一緒に聴くと好対照な二枚になっていて、彼というアーティストを知る意味でこの二枚から入ってみるのもオツかも。
そういえばこの時届いた彼関連の音源って実はこの二枚だけでなくて、Sissy Spacekのライヴ盤『Glass』、5人のバンド編成での録音『Harm』、Phil BlankenshipとのユニットWhite Goldのセルフタイトルなんてのもあって、これらもそれぞれに良い内容だった。
簡単に紹介してみると…あ、『Glass』はまだ聴いてない。『Harm』はジャンクなサウンドのノイズグラインド~ハーシュで、音はメタメタだけど5曲25分という彼らにしては常識的な内容で聴き易い(?)ような。『White Gold』は2エレクトロニクスの暴力的ハーシュなセッション。20分2トラックでとにかく凄まじい轟音放射ノイズが続くので、大変気持ちいい音源ではあるものの人には簡単にオススメできない。
お求めはart into life屋さんで。

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