Pauline Oliveros 『Primordial / Lift』


Primordial/LiftPrimordial/Lift
(2010/08/31)
Pauline Oliveros

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まぁアマゾンで貼ってますけどMeditationsでめっちゃ安く買えるんですわな。
僕もこれはメディテの実店舗に伺ったときに偶然発見して購入しました。
というわけで自らの音楽を"Sonic Meditations"と表現するPauline Oliverosについて今日は少し。


Pauline Oliverosは米国の現代音楽/実験音楽シーンのベテランで、今年には80歳の誕生日を記念した12枚組ボックスの初期作品集なんてのもリリースされている(6000円で買えるのは対ボリューム的に見たらめちゃくちゃ安いと思う)。
Oliverosは"deep listening"ディープリスニングという造語を考案し、それに基づく活動を展開。自ら率いるDeep Listening Bandは自身の設計による電子音響信号処理システム"Expanded Instrument System(EIS)"を用い、洞窟や地下の巨大貯水槽といった共鳴空間での演奏を専門としている…とのこと。今回の音源、レーベルがDeep Listeningとなっているので、これはOliverosのレーベルということなのかな。

今回の音源はOliverosのコンポーズ"Primordial / Lift"の自身のコレクティヴによる演奏が72分1トラックで収められたもので、リリースは06年で演奏自体は98年に行われたもののよう。この楽曲、音源はいくつか出ているけど、フルヴァージョンでの音源はこれが初めてらしい。
編成は

Pauline Oliveros - acordion & electronics, voice
Andrew Deutsch - electronics & toy piano
Tony Conrad - electric violin & ring modulator
Anne Bourne - cello & voise
Alexandria Gelencser - electric cello
David Grubbs - harmonium
Scott Olson - low frequency oscillator

という7人で行われていて、Tony ConradやDavid Grubbsの名前が出ている辺り、現代音楽に詳しくない僕でもメンバーの豪華さはよく分かる。
全体をざっと見ると室内楽的な編成+エレクトロニクスというのがベースにあることが分かるけど、これが展開している音楽がまた意外性があり面白い。
演奏はまず、オシレーターによるドローンをベースにしている。そのディープなヴェールの中から様々な要素が浮き沈みするという、一筋縄では行かない内容。ストリングスによるいかにも現代音楽的なノイジーでアカンギャルドな演奏。様々な音の粒子が毀れるようなマーブル模様の電子音。アコーディオンやハルモニウムを用いた、分厚くたおやかにうねる持続音…などなど。

ときに逸脱していこうとするようなアグレッシヴな音があり、しかしそれも瞬く間に大きな波のなかに融和してひとつになっていく。その様子は太陽のフレアの波の如く。この楽曲について調べると"地球磁場のゼロ現象(フォトンベルト)に基づくローフリーケンシー・オシレーターの操作"なんていう現代音楽らしいコンセプトも見え隠れして、音を聴けば納得。

長時間のドローン演奏という形態をベースにした音響的探求というのが本作に感じたイメージで、あくまで持続音をベースにしてはいるんだけど、その流れの中に無数の多様なイメージが挟み込まれ登場する様子は単純なドローンとは異なっている。自然にあり続ける様なものの中に溶かされた異質なノイズに耳を引きつけられる。自然に聴き始めても気付けば聴覚に集中して音楽のなかへと入り込んでしまうような演奏で、ディープ・リスニングというOliverosのコンセプトを体現した一枚(一曲)と言えるのかも。



続きにいくつか関連の映像を。
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