TTNG 『13.0.0.0.0』

このブログ、4年前の09年2月に書き始めてるんですが、その始めた月に感想を書いてた音源でThis Town Needs Gunsというバンドのセルフタイトルがありまして。
正確にはミニアルバムということになっているものの、8曲入り35分のアルバムと呼ぶに差し支えないボリュームの代物で、まぁこれが今聴いてもすばらしい。
で、このバンド、08年にこの音源、次いでアルバム『Animals』をリリースしてから音沙汰がなくなっていて…。まぁ00年代半ば~後半にかけて出てきたインディ・ポスト・マスといったジャンルのバンドでは消えてったものってそれこそ数え切れないですから、半ば諦めの境地といったところもあり。
ところが先月わたくし、自室にて半ば欝病といった調子で感傷の懐かしバンドyoutube検索飲酒祭りを執り行っておりましたところ、このような動画を発見したのですね。



微分的に打ち出される複雑なリズム、クリーンの柔らかなトーンで凄まじい難解フレーズを連発するギター、か細くも情感溢れるヴォーカル、甘いメロディ、フロム、ひょろ長い普通のあんちゃんたち…。
もうね、聴いて1分で落涙ですよ。バンド名違う、編成違う、聴いたことない曲、でも音は紛れもなく唯一無二のThis Town Needs Gunsのそれ。
これはと思い検索してみると、スーパーマリオのステージのような可愛らしい公式サイトにて、2013年の明けとともにバンド名を"TTNG"と改め活動を再開する旨が綴られていたのですね(楽曲は2012年9月にsoundcloudで1曲発表していたようですけど)。



13.0.0.0.013.0.0.0.0
(2013/03/03)
TTNG

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Zsと同じパターンでジャケはオリジナル↓のほうがいいんですけど、日本盤はボーナストラック入っておりますでね…。

13.0.0.0.013.0.0.0.0
(2013/01/29)
This Town Needs Guns

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というわけで前置きが非常に長くなってしまったけど、This Town Needs Guns改めTTNGの『13.0.0.0.0』、これめちゃめちゃ良いんすよね。
TTNGはイギリスの大学町オックスフォード出身のバンド。もとは4人編成だったのがメンバーがGtとDrを残して抜けてしまうも、今回新たなVo&Gt(というかジャガー?使ってるので半分ベース半分ギターという感じ)を迎え入れて再びバンドとしての体勢を整え、活動再開。発表したアルバムがこれ。

変拍子を多用したリズム、複雑に組み上げられたアンサンブル、タッピングやフィンガーピッキングを多用する独特なギター…と所謂マスロックを思わせる構成要素を持ちながら、その手のバンドによくある硬質で歪んだサウンドはここにはない。
クリーントーンで繊細に流麗に紡がれていくギターサウンドそのままに、バンドの音は柔らかで広がりを持ったもの。

冒頭に配されているのはsoundcloudでも先行して発表された"Cat Fantastic"で、これがもうタイトルどおりのファンタスティックなトラック。ローファイなドラムループが一瞬挿入された後、唐突に滑り出すリズム。変小節の構成の中を潜り抜けるように蛇行収縮して煌くギターリフ。収斂していくか細くセンチメンタルなメロディは五拍子の上で鳴っている。
打って変わって"Havoc In The Forum"ではドラムスの叩き出す難解かつ手数の多いパターンがアグレッシヴな印象を与え、"Left Aligned"ではジャガーの低音コード弾きをうまく用いた独特の空間演出、"In The Branches of Yggdrasil"ではノイズサンプリングに始まるインストが実験的な一面をも垣間見せる。
と思いきや続く"I'll Take The Minute Snake"はギターリフからしてもうノスタルジックな音律…。メンバーが減っているにも関わらずこれまでにない幅で聴かせる。

アンサンブルが熱を帯びるような場面も多くあり、エレクトロニックノイズを取り入れたりと冒険もしているけど、全体としてはもうほんとにスムーズに流れていく。面白いのは、音からしたら普通のバンドよりむしろ馴染みそうな素朴なアコースティック"2 Birds, 1 Stone and an Empty Stomach"がむしろ意外な響きに感じられること。バンドの音が固まっている証拠かな。
ギターの重ねは最小限で、ときたま使われるピアノやコーラスはしっかりと意味を持って配置されている。演奏技術を前に出しまくるようなところ(派手派手なタッピングギターソロとか)は全然ないけれど、表現は手先で行うというのがかなり突き詰められている。途中途中で挟まれるインストの小品もそれぞれ違うアイデアのもとに作られていておもしろい。
このバンドだからなのか、ボーナストラックもカッチリと嵌っている。アルバムとしてのまとまりの良さは、音楽の"複雑なのに優しい"という独特の感触ともだぶるような。
このアルバムのことを知ったのは本当偶然だったけど、いや聴けてよかったな。


アルバムは過去作含めbandcampでも買えます

続きにライヴ映像など。
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