Christian Wolff 『Pianist: Pieces』

あ、↓の記事で書いた通り明後日ライブするのでぜひ遊びに来てください!
来て見て触ってください


Pianist: PiecesPianist: Pieces
(2014/07/22)
Christian Wolff

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以前にMichael Francis Duchのベースソロによるグラフィックスコア作品集でもちょっと取り上げた現代音楽作曲家Christian Wolff クリスチャン・ウォルフの、こちらはピアノソロ曲集。
3枚組150トラック、3時間超に渡る特大ボリュームのセット。
そういえば今思い出したんだけど、これitunesに入れたらCDDB登録されてなくて手打ちで150曲登録しました。

演奏はAnother Timbre関係でもよく名前を見る気鋭実験ピアニストPhilip Thomas フィリップ・トーマス。
しかしこれは楽曲の性格が大きいんだと思うけど、プレイヤーとしての味付けのない(ように感じられる)演奏。
なんというか、すごく、ウォルフの作品だなぁ、という感じ。

白い壁の大きな部屋で、音楽の部品がただそこここに散らばっている、それは意味を為すことはない、機能を果たすことはない、でもそれは鳴っている、その点だけにおいてそれは音楽である…
というような、例えば何冊もの詩集をバラバラに切り刻んで乱雑にコラージュしたような、放置された断片の音楽。
一部でプリペアリングも用いているけど基本的には一般的な奏法で演奏されるピアノで、そこに不可解なものはない。
無調のフリーインプロめいた演奏でもなく、むしろ曲らしい響きが感じられる。
だけど、だからこそ、それが突然切断され、無造作に放られ、また唐突に始まり、多くの時間が気まぐれな無音に捧げられているという、全体の構成が奇妙だ。
5秒の曲から11分の曲まで、1951年の曲から2010年の曲まで収録されているけど、時間的な感覚もまるでない。ミクロには一貫するテンポ、リズムもないし、マクロには書かれた時代による変化のようなものもあまり感じられない。だからランダム再生で聴いても曲の切れ目も分からないし、繋ぎが不自然になる箇所もない。入れ替え可能で、偶有的で、必然性がないように感じられる。
ふつう音楽というものが膨大な機能のシナジーによって成り立つものだとすると、これは相当におかしな事だ。

そう、奇妙な音楽なんだけど、この作品集が"Pieces"と題されていることにもう一度立ち戻ってみるとちょっと恐ろしくなってくる。
つまり、ウォルフはこの作品を作ることを意図しながら半世紀以上も黙々と曲を書いてきただろうか?
何も歌わない、そこに放られただけの、家具の音楽を。
無為であり続けるということの圧倒的に強靭な意志というか、在り方というか。

楽理が分かる人はそのように聴き込んでみてもよいでしょうし、ブックレットには演奏のトーマスによる各曲の解説もあり。
考えながら聴いてみるのもいいけど…
しかしこういう色のない、しかしコンクレートみたいな非音楽的な意味での特殊な音楽でもない、そういうものって他になかなか無いだろうし、まぁ楽しいとは言わないが好きな人には大変重宝するアイテムで、そういう人なら買いでしょう。
無為の喜びを知っている人におすすめ(クラエス)
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