Dave Phillips 『Songs Of A Dying Species』

う~ん、
実はこの前、現存する世界最高の音楽家であるJohn Wiese ジョン・ウィーズの最新作がリリースされていまして、それを音自体はbandcampで購入して聴いていまして

本当はこれについて書かなきゃいけないと思うんですが、自分の作品への理解が足りてないな~ってとこで、もうしばらく聴き込みたいな、というのと、これの2LP+冊子付の盤というのがあるんですが、それを本人から買い付けててまぁそれが今ウィーズ氏ヨーロッパツアー中とかで送るの4月になるとかで、そっちも参照してから改めて書こうかなっていう感じです。
まぁ今の感想はもうこれで今年の最重要音源のひとつは決まったな、という。


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そんなわけで今日書くのは無名作家からベテランまでしかし実にいいチョイスで極少部数のCDRリリースを続けるポルトガルのレーベルNoisendoからの最新リリース。
怒れるノイジシャンであり特殊フィールドレコーディング作家でもあるDave Phillips デイブ・フィリップスのフィールドレコーディング最新作。90部限定とまたしても厳しい部数ながら、まだ在庫ある模様。お早めに。


フィールドレコーディングって何か恣意的な線引きをするとして"自然音"、"文化音"みたいなのは結構太い線として引けると思われる。
で、DPの音源って今までは自然音のほうに偏っていたわけだわな。ジャングルの環境音のシリーズがあったり、きわめて限定された地域にのみ生息するオオコウモリの出す音に焦点をあてたものなど。
ノイズ作家としてもそうしたソースを用いて、動物をテーマに作品を制作してもいるし。
で、これをなぜ書くかっていうと、今回は完全に文化寄りフィールドレコーディングだから。
しかしこれが作家性全開というか、どう考えたってDPじゃなきゃ有り得ないものを、強固な作品性でもって纏め上げたものになっている。

インドネシア、スイス、タイ、ロシア、ベトナム、イスラエル、中国、韓国、台湾、そして日本。録音のロケーションは多岐に渡る。
しかしレコーディングは統一したテーマでもって対象を絞られている。
その内容は讃美歌、祈り、儀式、祭事の様子の録音、というもの。

"Sanua Waterhole"と題された録音がのっけからDPの世界に引きずり込む。インドネシアはバリ、サヌアで録音されたこれは典型的なガムランで、民族音楽の王道とでも言うべきものだけど、8分間に渡り騒々しくぶつかり合う大量のパーカッション、騒々しいチャント、ノイズのような喚き声が空間を埋め尽くし、生々しい録音に呑み込まれる。
こうした反復/拡張するリズムと声を軸にしたものはどれも噎せ返るようなバイタリティに満ちている。例えばタイのランタ島"Muay Drums"の(これこそ本当に)”ゴルい”タムのようなドラムのみのリズムとプリミティヴな絶叫、やはりバリ、"Wrong Barong"では拡声器を用いているようでハウリングと荒々しい歪みの加わったボイスドローンが乗っていたりとそれぞれの特色を持ちつつもどれもパワフルだ。

そういった録音に主軸を置きつつ、もっと奇妙なものもある。
最長となる12分に渡るトラック、"Truck Drum"はベトナムでの録音。
どう表現すればいいか分からないけど、特殊な発声法で極端に低音部だけを取り出した…低音ホーミーとでも言えばいいのか…ちょっと人声とは思えないような音が輪唱で重なりこれまた重いゴングが区切るようになっているという、へヴィドローン的トラック。
バルカンでの録音"Vulcun Ritual"はちょっと危うささえ感じるというか、これ聴いてて大丈夫かな?っていうような、何か憑依したような異様な音声がなぜか様々な方向から聴こえてくるヤバめの録音。
高円寺で録音された"Koenji Benda"は「アィーご利用ご利用ォー!」「ラッシャー――セ――――!」みたいな、まぁ祭りの縁日だかの音を録ったものと思われるが、あ、これって外の人からするとこういう風にある種のチャントのように聴こえるんだっていう、でもって音源全体の中にうまく溶け込んでもいるし、不思議な内容だ。
抑揚のシンプルなメロディの民謡を軸にした台北"Longshan Hymn"、ロシアはヤロスラヴリの讃美歌"Yaroslavl Bells"と歌が中心のもの、北京の金属パーカッション"Jingj Gong Air"、水上でパーカッションを演奏していると思われる?ベトナムの"Coc Ditty"等々、ヴァリエーション豊かで地理的にも幅広く、しかし統一感ある録音が収められている。

最終曲、穏やかな陽射しが想像できるような澄んだ空気と鳥の囀りの中、丸いがいやに重い鐘の音だけがゆっくりと響いている。
様々な国、地域をそれぞれ代表するようなスタイルの民族音楽や儀式の様子が収められている本作品を締めくくるこの2分24秒の録音は、こう題されている。
"Hiroshima Peace Bell"。
最初の方で、作家性という言葉を使ったけれど、自ら音を奏でないがゆえにむしろ作家の意志や世界観がはっきりと反映されるような部分がフィールドレコーディングというジャンルにはあって、それはDPにおいてはまさにここに現れているなと。

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