Praed 『Fabrication Of Silver Dreams』

『イレブン・ミニッツ』という映画を観た。
一見全然関係ない人々の運命が17時からの11分間のうちに猛烈な勢いで絡み合っていく、その様子を様々な角度から撮ったものを巧妙に組み合わせて作ってある映画で…ただこの手の運命が奇妙に絡み合って系の話のなかでこの映画が独特なのは、登場人物ごとの属する現実のリアリティのレベルなんかバラバラなまま、暴力的に運命がカタストロフに向かって収斂していくということなのですよね。
ある人の映像は携帯カメラで始まり、ある人の映像は監視カメラで始まり…俯瞰も主観も虚構も現実も呑み込んで、ある一点に爆縮させてしまう。そう、運命というのは爆縮の形をとっているものなのかもしれないと。その瞬間には無意味でばらばらのものに思えても、交差するある一点を経たあとの地点から見ると、すべてがそこに向かって精密に組み立てられていたとしか見えなくなる。考えてみれば、人によってある時間が濃密だったり淡泊だったりするのに─感じている時間の長さは違うのに─、にも係わらずある瞬間を共有しうるというのはなかなか不思議なことですよね。スーパーフラットっていうのかなこの感じは。
様々なドローン、チャタムめいたギターミニマルが都市のノイズと暴力的にミックスされる音響もすばらしく、たいへんおすすめ。


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謎のお面とアラビア文字のインパクトが凄い。
アマゾンで買えるっぽい

Praed プレイドはスイスとレバノンの混成二人組ユニット。過去には来日もしている。
Paed Conca - clarinet, electric bass, electronics, percussion
Raed Yassin - synthesisers, electronics, laptop, vocals
こうして書いて気付いたけど、ユニット名、単に二人の名前くっつけただけだな…。
で、この二人に加えて今作は3人のゲストと共に制作されている。
Fadi Tabbal - electric guitar
Sharif Sehnaoui - electric gitar
Khaled Yassine - riq
riq リクというのはタンバリンの一種だけど、侮るなかれ、なかなか表現の幅の広い楽器だったりする。youtubeでriq soloとかで検索するとわりとすごい映像出てくるので興味ある方はどうぞ。

アルバムは2016年作、DJ SniffやSun City Girlsなども巻き込みながらアラビックビートをインターナショナルに発信するレーベルAnnihayaより。
全5曲51分。

ホームページ見るとpsychedelic shaabiとか書いてある。shaabi シャアビというのはアラブの伝統的な民間舞踏の音楽らしい。
が、それは闇鍋の鍋の部分に過ぎないというか。シャアビの鍋を用意しつつそこにもっと今様のテクノやら、フリージャズやら、サイケやら、ドカドカ叩き込んでいる感じだ。
ライヴの様子とか見るとかなりムチャクチャで、(2人ともマルチプレイヤーなので)楽器演奏して重ねつつ、歌い踊りのワケ分からんパフォーマンス。
ワケ分からんのだけど、重要なのは、難しくもシリアスでもなく、キャッチ-で楽しい音楽ってことだろうな。ポップでは全くないが。
なんかこううまい事言おうとしてきたけど、やっぱこれアレだよ…。
『インドカレー屋のBGM』の超強い版。
『インドカレー屋のBGM』という素晴らしいCDシリーズがありまして、まぁタイトル通りの内容なんだけど、そのめっちゃパワーアップしたヴァージョンというのがざっくりしたイメージ。
あ、勿論これが文化人類学的には相当乱暴な言いぐさだというのは自覚していて、正確にはこういうアラブの音楽とラーガみたいなものって全然別なものなんだろうけど、西洋音楽とは根本的に違うエキゾチックな音律(なんかこの言い方もまた良くないな)という意味でそう感じられるということで。

闇鍋と書いた通り、そこに普通に考えれば到底溶けないような要素が片っ端から突っ込んであるのがこのアルバム。
無数のループを重ねた音は常に狂騒的で、パーカッションやハンドクラップの複数のリズムが時にポリリズムを成しながら重なり合い、蛇行する旋律のギラギラしたシンセの一群が中心を成して、歌い上げるサックスが乗っかり、荒れ狂うフリージャズギターまで叩き込まれ、しまいにゃなんか叫んでるおっさんまでいるという、もうそりゃムチャクチャな音。
前もこんなこと書いた事あったけど、祭り。祭りだ。おらが郷里(くに)さ祭り思い出す、ハイパーニュートラディショナル盆踊り2.0だ。

カットハンズの音楽なんかも民族音楽を参照したビートミュージックではあるけど、こっちはテクノロジーや別要素の取り込み方がハチャメチャにワケ分かんない方向への拡張に向かっちゃってる感じがより現地感覚というか。
やっぱこういうのめっちゃ好きなようですね僕は。
25分超えの"The Odessy of the Blue Flies"は圧巻。


続きにライヴ映像

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