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コンジアム + POV/モキュメンタリ、またはファウンド・フッテージ その2

POV/モキュメンタリ、またはファウンド・フッテージ10…いや11…プラス、5選(絞れなかった)
↑三年くらい前にいわゆるファウンドフッテージタイプの映画についてまとめた記事を書いたけど、手法が自然に通常の劇映画の中に取り入れられるようになると同時に、本数自体は減少傾向にあって。
そんな中で先日公開された『コンジアム』という映画。いろんな国のものを見ているけど、このジャンルで韓国産というのは初めてでもあり、興味半分で観に行ってみた。
それでこの映画について書きつつ、ついでにここ数年で観た中から6本ほど選んでみようと思う。


『コンジアム』
https://gonjiam.net-broadway.com/
無軌道な若者たちが配信番組の広告料で一攫千金を目指し、実在の心霊スポットの廃病院に潜入。
廃墟潜入もの自体王道、スタンダードな内容と言えそうだけど、それだけあってジャンルの遺産をフル活用してる感じが面白い。
で、ありつつ、核心の恐怖描写は実にフレッシュというところに好感が持てる。
ベースのアイディアは『グレイブ・エンカウンターズ』で、この実在の心霊スポットで…ってのを辿ってくと『セッション9』があったり。
多種多様なカメラを用いて、最初は映画としての体裁が整ったような映像が、徐々にカメラを減らすとともに「ナマの映像風」になっていく、という見せ方は傑作『ブレア・ウィッチ』から。
『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『REC』といったジャンルのレジェンドへのオマージュもここぞというポイントに配置されている。
ある時点で恐怖描写の質がガラリと変わるんだけど、そこ以前での複線の撒き方が実によく効いてる。
本筋はひとつの開かずの間についての物語であるという、シンプルな怪談話というのもスマート。
POV/ファウンドフッテージというのは神の視点が失効したあとの映画であるということをなんどか書いてるけど、その意味で本作にはゲームマスター的な立ち位置のキャラクターがいて、そこの安全が脅かされていくという構造も面白い。観る側にも怖さが伝播してくるというか。
皮肉の効いたクライマックスの味わいも独特。
今になって公開される意味のしっかりと感じられる、ハイクオリティな作品になっているように思う。



こっからはこの手法を使った作品で、ここ最近で観た中で特に面白いと感じたものを。

『アンフレンデッド』
これ先日公開された続編(とはいっても手法を同じくする以外はほぼ別作品)『アンフレンデッド:ダークウェブ』も非常に面白い内容だったけど、やはり傑作というとこの一作目ということになるのかなと。
PCのデスクトップ上のみで展開されるという個性的すぎる心霊ホラー。
デジタルと心霊がこんな馴染むっていうのがもう面白いんだけど。
感想はこちらに書いた通り。
この手法でどんな演出ができるのか?というところを徹底的に突き詰めてある。
『search/サーチ』でも引き継がれていくアイディアの大部分はすでにここで見られる。


『プロジェクト・アルマナック』
『パワーレンジャー』でハリウッドデビューした南アフリカのディーン・イズラライト監督、その前作がこれ。
主人公は科学オタクの青年で、早いときに父親を亡くしている。
そのお父さんが生前にタイムマシンの研究をしていたのが分かる。
しかも基幹部は家の地下室に隠してあると。
それでタイムマシンの製作を引き継ぐという内容をPOV形式で見せている。
これは内容としては『バタフライ・エフェクト』的なアイディアというか、時間跳躍のギミックをうまく使った切なくもキラキラした青春映画になっている。
ジャンルの中だと『クロニクル』に近い様な。
夜の学校に侵入したり、青春映画イベントもふんだんに盛り込まれてて、目新しさはないぶん、この手法がもたらす親密さがよく効いている。
XBOXの筐体をタイムマシンに改造するとか、ディティールもいちいち良い。あと妹キャラがやたら可愛いというのも監督のオタクとしての業を感じさせる。


『ディープ・サンクタム』
これはスペイン映画なのかな。
内容は実にシンプル。
海辺にキャンプしに来た若者達がノリで洞窟に入ったら出口が分からなくなる。
これは珍しく超常的なことが何も起こらない。怪物もなし。
ただただ、絶望的な状況が淡々と描かれていく。
この手法ならではの閉塞感がハマっていて、息苦しさすら感じるような映像。
80分というランニングタイムでスパッと終わるのもあり、あんまり解説する部分もない。
ただ切れ味鋭く、それでいて鉛のような後味が腹に残る。
確かネトフリで見られたはず。


『ガール・ライク・ハー』
ネトフリ映画。
これも感想はこちらに。
いじめ被害者が記録していた映像。
奇しくもこれも青春ものか。
やはりこの手法は青春ものと相性いいんだろうな。
神の視点がないということは、大人の視線がないということでもあって。
そこってやっぱり、通常の劇映画だとどうしても捉えにくい。『エレファント』とかか、成功してるのって。


『ケージ・ダイブ』
これもこちらに感想あり。
ファウンドフッテージでサメ映画というのも、ありそうでなかったパターン。
タイトルのケージダイブ自体は最初しかしてないのだが、逃げ場のない海原が広大な密室となり、八方が開けた中に居ながらまさにケージの中にいるような閉塞感を演出している。
最初は報道映像とか周辺のフッテージを早いテンポで出して行って、徐々に本筋に入っていくというのも最近のファウンドフッテージっぽいつくり。
救いのない絶望恐怖描写はむしろクラシック。
これは埋もれそうなのでここで特に書いておきたい一作。


『ブレア・ウィッチ』
感想ここで。
ジャンルのオリジネイター『ブレアウィッチ・プロジェクト』は一作わりとしょうもない続編があったけど、オリジナルから手法も受け継ぎ、高い批評性を作品に織り込むことに定評のあるウィンガード&バレットが手掛けた本作は、紛れもない傑作。
上で書いた通り、『コンジアム』の手法の引用元もおそらくここ。
そのことをそもそも「ファウンドフッテージ/POVホラー」とは何なのか?という探求の為に用いている。
ジャンルのマニアとしてはそこにやっぱり感じ入ってしまうものがあるんだけど、内容も実に怖い。素晴らしい。


そのほか、厳密には形式違いだけどこの手法がフィードバックされてるなと感じるのが、昨今いくつか出ているワンカットないしきわめて長い/少ないカットで構成された映画。
『アイスと雨音』、『ヴィクトリア』、『ウトヤ島、7月22日』、『ブッシュウィック 武装都市』。
どれも手法と映画の伝えようとしているものが深く絡み合っていて、印象深い作品。



関連記事というか、内容被ってる部分もあるけど
ネトフリでこのホラー観ましたか?
こういうのも書いてたんでよろしければ。
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