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The Yellow Monkey 『9999』




ミスチルの『重力と呼吸』について以前書いたけど、ここでも同じことを思った。
あれが活動25周年のアルバムで、こちらは再結成後最初の、というマイルストーン的なタイミングでのリリースなんだけど、にもかかわらずバンドの「らしさ」と離れたことをやっているのが面白い。

ただ、再結成後の流れで見たらすごく必然性のある音にも感じる。
サウンド的には17年の新録ベスト『THE YELLOW MONKEY IS HERE. NEW BEST』と連続しているから。
バンドアンサンブルの核だけ抽出したようなシンプルな音。
ドラムスがあってベースがあってギターが乗って歌を歌って。
プロダクションとしてもドライでタイトな録音で、音の輪郭は明瞭。
イエモンらしさって以前にはもっとウェットなものだったと思うけど、ただこの音は自分には嬉しいのだ。
ロックバンドとしての必然性、全ての要素が必要だし余計な要素が一個もないという、"間違いねえな"って感じの。
これくらいスッキリしていると、ポップであることとロックであることって充分両立するというのも重要。

もうひとつイエモンが「変わった」ってことについて書こうとすると、やはり歌詞は避けて通れない。
これに関しては、それくらいはっきりと変わった。
このアルバムのテーマはまさにこれ、というくらい、言葉を変えて繰り返し、同じことが歌われる。

「錆び付いたエンドロールが流れていく
またひとつ僕たちの映画が終わる」、
「さぁ ダメ元で やってみよう
泣いても 笑っても 残された
時間は 長くはないぜ」

「DEAR MY ROCKSTAR
またあなたに呼ばれた
人生半ばで 大事なこと見つけた」

「ドアを開けたら 見たような見たことない景色が
キレイな色で塗り直されて見えた」、
「帰ることのない街 戻ることのない道
走り出したら次のゲームを始めよう」

「野原を駆け出す子供みたいに
未来だけ見て進んでいたよ
花びらみたいな君の匂いで
あと少しだけ ここにいさせてよ」

「アルバムの中の未来図はとても輝いて
ベゼルの中の鼓動は戻せやしないけれど
打ち上げ花火の向こうでは皆が待っている」

そして"ALRIGHT"、この曲本当に名曲だと思うんだけど、これの歌詞の世界観が拡張されているのが結局今回のアルバムというか。
「強い絆が絡み合って 生まれ変わる蛹
ドロドロに溶けて口ずさむ 蒼い夢の続き」

一度終わったこと、それでもまた始まること、解けたから強く結び直すということ、そういうことが歌われていると思うけど、ここまでストレートにバンドの状況を歌詞にして歌うって普通はない。
言葉選びこそ相変わらず独特のものがあるけど、歌われている内容はこれ以上ないほどポジティヴでストレートだと思う。
こういうのって今までのイエモンではほとんどなかった部分で。


そんな形で大胆に変わってはいるけれど、ああ、イエモンのアルバムだ、と思わせる一曲目で始まるというのが、巧いつくり。
"この恋のかけら"の頭のサイケデリックなギターって、『Four Seasons』における"Four Seasons"、『SICKS』における"Rainbow Man"みたいな。
こういうちょっと気怠い感じで始まるのが「あ、イエモンのアルバムだ」ってなりつつ、聴いてくうちに「あ、変わってるな」って。
"天道虫"、"Love Homme"、"Breaking The Hide"、"Balloon Balloon"のようなガレージロック調の曲が中心になっていることはアルバムのカラーを決定づけているよに思う。
"Stars"、"砂の塔"、"Horizon"といった煌びやかなアレンジの「大きい」曲は一旦活動を終える直前の感じ…"バラ色の日々"、"聖なる海とサンシャイン"、"Brilliant World"とかあのへんの空気があるのかな。
あと"Changes Far Away"で思い出すのが"真珠色の革命時代"、"So Young"とか。この二曲は『NEW BEST』で大きく印象が変わっていた曲で、これもその感じが反映されてる。程よくドライな。
こうして聴いてみると"ロザーナ"の強い洗練味のあるサウンドってアルバムの中でも特別な意志を感じる音だなと思う。
やっぱりこの曲からこのアルバムに至る道が始まったようなところがあって、その意味でバンドにとっても特別な曲ではと想像する。
それとラスト、"I don't know"のボリボリいっているベースの音聴いて思ったけど、やっぱこのバンドのベースの音やフレーズの感じって大好きで。ってか、自分がベースに取り組むにあたって…もう15年以上前になるんだけど…最初に練習したのがこのバンドなんで。そう思うのは当然なんだけど。
改めて良いなって。あんま下にいる感じじゃなくて、音の芯になっているベース、で、しかもそれがやんちゃっていう。


「特別なアルバム」ではあるんだけど、聴き終えると不思議と「普通にイエモンのアルバムだな」って思うとこもあるんだよね。良い意味でだけど。
途切れず続いていたような。
どれだけアップデートされてるかってことが、耳では分かってるんだけど。
それは結局、このバンドがいかにして一体か、ってことでもあるんでしょう。

「あなたと別れて 激しく求めて
ひとつに生まれて 無数に別れて
夜空を見上げて もう一度運命の
タイマーを回して」

そう、だから、このアルバムのサウンドのシンプルさ、タイトさを、あの言葉で表現したいと思ったんだよね。
このバンドが居ない間ロックでは死んでたように思える言葉だけど。
グラマラス、と。
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