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2019上半期 良かった映画・マンガについて

今年の上半期観た映画は96本で、昨年からだいぶ減ったけど、これは5~6月は使える時間をほぼ山を登ることとその準備に使っていたため。
暑さ寒さが本格化する時期は山登りは休むので、そのへんでまた増えたりするんじゃないか。
内訳で劇場新作53本(微妙に配信オンリーの新作もあり)、配信で見た旧作43本。


新作ベスト
『希望の灯り』 🏆️
『ギルティ』
『コンジアム』
『バンブルビー』
『シャザム!』

旧作ベスト
『追想』 🏆️
『ブルー・マインド』
『ぼくの名前はズッキーニ』
『きみはいい子』
『さよなら、僕のマンハッタン』


『希望の灯り』、これほんとに地味な話で。でもあらゆる意味で琴線に触れた。触れまくった。
その理由っていうのは書けることも書けないこともあるけど、ひとつ書くと、『ノッキン・オン・ヘヴンズドア』という同じくドイツの98年の映画がある。これ、自分のオールタイムベストのうちの一本なんだけど。
これが死病に冒された男ふたりがギャングから盗んだ車で海を目指して旅をするロードムービーで。
片方の男が、海見たことないんだよね、と言い、もう片方が、え、それマジやばくね、オマエ駄目だってそれは、と。え、なんで。なんでってオマエ。「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」。
人生最後の願いで、一生に一度、海を見たいと願う、これって我々からすると理解しにくいんだけど、地図を調べればわりと理解できる。ドイツってぜんぜん海がないんだね。それで、ハネケの『セブンス・コンチネント』とかもそうだけど、海を望むと。
『希望の灯り』はベルリンの壁が崩れた直後の旧東側の人たちの話で。分断は終わったけど格差はあるし、古い人たちは資本主義マナーに馴染めなかったりする。みんな自由、自由って言うんだけど、実際にはそれは自分の手元まで行き届いてはいない。
いわばスケールダウンした自由や平等を分かち合うような描写というのが多数出てくる。
そこで海がすごく大きな意味を持ってくる。
悲しいけど悲しいだけでもなく、優しいけど優しいだけでもなく、平熱の世界にわずかなお伽話を添えてくるというか。

『ギルティ』はソリッドシチュエーション系の大当たり来たなっていう。音でのアプローチという斬新さに終わらない、想像させる背景のドラマ。それから自分の大好きな映画で『リミット』が優れていた点がまさにここなんだけど、映画の中に完結した話じゃなく、いまこの世界の現実へと開かれていること。極限の閉鎖空間から。
『コンジアム』は大好きなジャンルPOV/ファウンドフッテージで驚かされた一作。ここでちょっと書いた。
『バンブルビー』、『シャザム!』は大作系から。
『バンブルビー』は本当にパーソナルな理由というか、まさにドンズバというところで、あっ、映画の中にオレがいる、っていう。オレが苦しんで、オレが笑って泣いて、オレが救われてたっていう。音楽の位置づけも素晴らしい。
『シャザム!』、これヒーローコメディと思って観に行ったら少年少女のための『万引き家族』見せられたという一作。


ツイッターでアツく語ったのでこのツイートから続くツリーを見て下さい。
「僕たちは里親だよ!
きみのスーパー・パワーはなに?」。

旧作で、『追想』ね。
昨年のイギリス映画。邦題からして、地味だな~って思ってチェックしてなかったんだけど、これがもう本当に良かった。
結婚式挙げたカップルがそっから6時間で別れるっちゅう話。
構成がトリッキーで、その1962年の6時間を軸に何度か時間軸がジャンプする。
60年代に激しく変わっていったもの、音楽を参照しながら物語が語られる。
ステレオ形式のオーディオの普及。ロックンロールの誕生など。
今日ちょうど観てきた『COLD WAR』もそういう映画だったな。
『追想』も移りゆく時代をワーッと駆け抜けていく。そうして思い出してた歌があって。
「恐いモノ知らずで 時代ははしゃぎまわり
僕と君のすごしたページは 破り去られ
歴史には価値のない 化石の一つになるのさ」
ああ、それでも、
「君と出会えて良かったな」。

『ブルー・マインド』、昨年末にベストを出した直後に見た映画で、そのタイミングでメチャ良いの来ちゃったっていう。
昨年は百合映画が多数公開されて、その中で百合ホラーというのもあって例えば『テルマ』とか。
まあそういう状況の中で、ユリデミー賞決めるとしたらこの一作。
なにか殺菌消毒されたような、きれいなだけの百合ってあまり好きではなくて。それってオタクの信仰の中にだけ存在する世界ですよねっていう。
そういうとこで、美しいファンタジーとしての百合を描くならこういうことなんじゃないか、って思った。
『ぼくの名前はズッキーニ』、『きみはいい子』、洋邦の子ども映画。『シャザム!』に通ずる孤児映画でもある。
『きみはいい子』の中盤での驚きのシーン、忘れ難い。『フロリダ・プロジェクト』なんか思い出すのと、西川美和監督が『永い言い訳』のときに言ってたことで「子どもの演技を演出するのは恐いし罪悪感がある」と。やっぱ子どもをスクリーンに一番美しい姿で映す方法ってこれなんかなっていう。
『さよなら、僕のマンハッタン』。『ギフテッド』に続いてマーク・ウェブ監督の小規模映画。やっぱ画作り、特に色彩センスがあまりにも良すぎて。すべてのカットが絵画みたいになってる。この世界はいつもままならなくて愛おしいというような、苦く甘いストーリーも最高。



マンガのベストも何となく選んでみた。
年間ベストと同じく、基本的にその年に始まったもの・終わったものをその年のマンガと位置付けている。
今回はみんな始まったほうの作品になった。
ただ、旧作枠みたいな感じで今年初めて知って読んで「なんでこんな最高のものを知らなかったの…」って後悔したやつもひとつ入れている。
あと最後のが昨年末に一巻出てるんだけど気付かなくて年明けてから読んだやつ。

三門ジャクソン 『スカイフォール 消し尽くせぬ夏の光』 🏆️
谷口菜津子 『彼女と彼氏の明るい未来』
神崎タタミ 『モノノケソウルフード』
樫木祐人 『ハクメイとミコチ』
菅原亮きん 『猫で人魚を釣る話』

『スカイフォール』は広島平和記念資料館、いわゆる原爆記念館を修学旅行で見学していた高校生が、原爆投下の日の朝に跳んでしまうというタイムリープもの。
タイムリープでも、異世界転生でも、読むときのふたつの軸があって。ひとつは、何が違うのか。デジタルとアスファルトの現代から剣と魔法の世界に跳ぶ、みたいな言い方がそれ。もうひとつは、何が同じなのか。これってあまり意識されないところなんだけど、より重要なポイントなんじゃないかと思っている。
この話ではそのことをこう表現する。
「3.11のときと同じだ」。
王道としてのひと夏のボーイミーツガールでありながら、間接的な被災者の主人公が震災を自分のうちに引き受け直すという話にもなっている。
大澤真幸の『憎悪と愛の哲学』でも3.11と原爆を重ねて論じていたので、何か自分の中で検討したい主題というのもあり、興味深く読んだ。
夏が薫るような絵柄や個々のエピソードの問いかけてくるものの重みも読みごたえとして返ってくる感じ。

『彼女と彼氏の明るい未来』、これも変化球のタイムリープものか。
「今 目の前にあることが真実じゃだめなの?」。ってそれはお題目としては分かるけど…分かるんだけど。
セリフまわしがことごとく良くて印象に残る。
『モノノケソウルフード』、いわゆるメシ食うタイプのマンガってもういいよっていう、メシだけに食傷気味になってたけど、美味いことの表現が巧みで、またチャンポンにするネタが良い化学反応を起こしてて、ついでにこのマンガならギャグセンも最高で、っていうそこちゃんとしてるとまだ面白いものは出てくるという。
「ミッシェルのキャンディハウスの初回盤みたいなアー写」って絶妙な送球。
『ハクメイとミコチ』、アニメは見ててスゲー良かったんだけど、恥ずかしながら原作は今年初めて読んだ。読んで、一瞬で全七巻揃えた。何といっても徹底して作り込まれた世界観と異様なまでの情報密度の作画。手前-奥軸の移動、位置関係というのがここまで強調されているマンガもそうそうないように思う。それって常に細かな背景が存在してなければ成り立たないので。そのことで独特の立体感を持ったマンガになってる。
世界観の作り込みは意味の面での奥行きになっていて、ぜんぜん異なる文化を持った社会や人々の営みを覗き見るような面白さがある。
『猫で人魚を釣る話』、昨年末に一巻は出てたんだけど、今年になってから知った。
トリッキーで独創的なマンガ表現を次々投入してきて、最後の最後までページをめくるのが楽しい作品。それだけでなく、ここぞというところではっとするような美しい瞬間を見開きに捉えてみせる。例えばミシェル・ゴンドリーの映画が「マンガっぽい」なんて言われたりするけど、その「マンガっぽさ」をドラマを語るツールとして徹底的に突き詰めればこういう作品になるのかもしれない。


あと文字の本のベストも書こうかと思ったけど、これ思ったより絞れなくて、アレだから最近読んだ良かった本みたいな感じでいずれ記事作ろうと思う。

とりあえず最近はなぜかジムのプラモ作ってます。
ではまたいずれ

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