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Roky Erickson with Okkervil River 『True Love Cast Out All Evil』

うーん。まずはこのジャケをじぃっと見てください、と…。

True Love Cast Out All EvilTrue Love Cast Out All Evil
(2010/04/20)
Roky EricksonOkkervil River

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"イエスがモーゼと会った"…
割れまくったノイズだらけの中に、か細い声とシンプルなアコースティック・ギターの音だけが乗っている。
ガチリとテープが切り替わる音がすると、男ははにかんで言う。「これは刑務所にいたときのレコーディングだね。わたしはそのとき鎮静剤漬けで、歌を歌っているときのほかは植物のようになっていたな」その目は10歳の子供のように見えたし、しわがれて震えた声は100歳の老人のものに思えた。

"きっと見つかるよ / 愛することのできるものが
信頼することだってできるし / お互いを大切に思えるだろう
そうなったらもうおれはいらない / おれたちの過ごした時間も
さあ もう振り向かないで / ブルーズだってそんなに惨めなものじゃない"
「いままで生きてきた中で最高だったのは…2年前」
愛してる、とはじめて息子に言ったよ。はじめてだ。おかしいだろう。
「そもそも、わたしたちは何十年も会ってなかった」

"明けても暮れても人を殺す
おれはおれの歌を歌う
おれはジョン・ローマンだから"
彼は笑顔のまま、とりとめなく話し続ける。
「こんなことがあった」
リトル・リチャードのシャウト、はじめてのバンド、ロックンロール。LSD。アシッド、マリファナ。トリップした状態でのギグ。音楽の終わり。目が覚めると手元から何もかも消えていた。法廷と病院。

「これは少し恥ずかしいね」
狭い部屋の中にいくつものラジオやテレビが横たわっているような、混沌のノイズ。刺々しいギター・フィードバック。テープは回り続ける。
「このときはとても混乱していたんだ」
彼が話したのは過去の彼の「体のほうの」病気のことで、それは今でもときどき、幻肢のように彼を苦しめるのだという。
「口の中に腫瘍ができてしまってね。そうなると歌も歌えないんだ、本当だよ」
テープは回る。
"互いに愛し合うように / おれたちは生まれついている
美しい音で / ときには言葉で"
「…恥ずかしいね」

いつのまにかテープは終わっていて、彼の語る自分の人生の物語も、とりとめないままに終わる。長い時間をかけて、たくさんのものを失くしてきたという話。63年間分の外れくじ。皮肉げでくたびれた、泣いているようにも笑っているようにも見える独特の表情で、彼は呟く。何て言えばいいのか…そう…人生はすばらしいな、だから…
「最近また、歌を作ったんだよ」
しわがれて震えた声で、こんな風に口ずさみはじめる。
"おれたちはここにいる
おれはここにいる
きみはそこにいる
簡単なこと それでいい"


続きにライヴ動画など。


"I Walked with a Zombie"




"John Lawman"




"Forever"


田中ユタカ先生の『愛人 AI-REN』というマンガがあって、凄い好きなマンガなんすけど。歌詞とかブックレット読みながらこのアルバム聴いてたら、そのマンガのなかの1シーンのことが聴いてる間中頭に居座って。作中でも一番好きなシーン。
このマンガのタイトルになっている「愛人」っていうのは作中に登場するクローン人間の俗称で、これが過去の戦争の時に作られたもののお下がりなもんだから活動可能時間も残り少ない。そんなわけでいわゆる終末医療の中で患者の世話をしたりとかに使われる、ってな感じのお話で。
そこで主人公とその「愛人」が世界中をツアーするバンドのライヴを見に行くエピソードがあるんですけど、そのバンドのヴォーカルが患者に先立たれちゃった「愛人」なんですね。顔とかもう痩せこけちゃって、その「愛人」自身ももう余命(?)幾許もないっていうのが分かる。で、そこで彼女が歌う歌は、作中ではこんな風に描写されています。

"育ちの悪いバカな女が苦しく激しい恋に落ちた
女はそれがただひとつの本物の恋だと信じた"
"そうして女は愛欲の果てに恋しい男を殺してしまう"
"女は刑務所の中でいま こわれた精神のままで臨終のきわにいる 血を吐きながら夢を見ている"
"自分が殺してしまった男との性交にふけった日々を しあわせに しあわせにはんすうしている"
「清らかな天使たちにだって胸をはって大声で言えるわ
生まれてきてよかった あたしいま しあわせよって」
「世界が死にたえようと
あなたが死んでしまおうと
あたしが死んでしまおうと
そんなのたいしたことじゃない」
"そんなのたいしたことじゃない"

悲しいことを明るく歌ったのがロックンロールだよっていうのをどっかで読んだ記憶があるんですけど、もしそうなら、今回とりあげたアルバムってまさにロックンロール・アルバムかなと思うんすよね。

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