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Hope Of The States 『The Lost Riots』

この前こんな曲見つけまして。

The Northwestern - Telephones
ほんとにいい曲なんですけど、このバンドで歌ってるのがSamuel Herlihyって人で、ギター弾いてんのがSimon Jonesって人なんですね。で、この人たちが今から5年も前にやってたバンドが、Hope Of The States。この前の記事でも名前出したばっかなんですけど、あれもこの動画見てからHOTSのアルバム聴き返してたのが元で…。
それで思い立って彼らの『The Lost Riots』というアルバムの感想を書いてみようと。このアルバム、ある時期に毎日聴きこんだ、僕にとっては特別な一枚なんですけど。奇跡のようなアルバムだなと、改めて。


ザ・ロスト・ライオットザ・ロスト・ライオット
(2004/09/01)
ホープ・オブ・ザ・ステイツ

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続きで。
HOTSはイギリスはチェチェスターで2000年から2006年あたりまで活動していた6人組のポストロックバンドで、このアルバムは彼らの2枚のアルバムのうちの1枚、ファーストになる。
メンバー手縫いの麻袋に封入された7分超の1stシングル、"Black Dollar Bills"が録音し直されてアルバムの6曲めに収められている。彼らのサウンドを象徴し、アルバム中のベストトラックでもあるこの曲をまず聴いてみる。



彼らはポストロックバンドとしては珍しく歌を曲の中に大きく取り入れているけれど、この曲の歌詞は10行しかない。そこで繰り返されるのはこんな言葉になっている。
"We all hope for anything when there's nothing at all."
(何もかもが失くなってしまったときにこそ、僕らは希望を抱く)
打ち込まれるピアノとギターフィードバック。震えるムーグ。木霊するシューゲイズ。喪失感を感じさせるサウンドが、後半になって圧倒的なエモーションを爆発させる。圧し潰されそうな悲しみに泣き叫んでいるような音なのに、この音の上であえて希望が歌われているということ。
バンドにはヴァイオリンとピアノのメンバーがいて、それらの楽器がサウンドに大きく貢献しているのも彼らの特徴だけど、この楽曲においてそれは特に強い印象を残す。濁流のギターノイズが狂おしく唸りながら瓦解したあとに残る1分間のアウトロ。ここで聴かれるヴァイオリンの美しさはちょっと、なかなかないような。sigur rosの"Glosoli"ラストのオルゴールにも匹敵するこのアウトロは、楽曲を完璧なものに仕上げている。
ここからつながる"George Washington"の歪んだギターのカントリー調イントロにいたる流れまで、完成されている。後半部をインストに充て"Black Dollar Bills"を縮小化したようなこの楽曲から、またアルバムの流れの中に戻っていくような展開も見事。
"Black Dollar Bills"を構成する要素は、アルバム中の他の楽曲の中にも聴ける。
悲しみと喪失を歌うのは"66 Sleepers To Summer"、"Me Ves Y Sufres"。オープニングを飾る激情のインスト、"The Black Amnesias"での過剰に爆発するサウンド。エモーションの塊のようなギターが激しく揺さぶる展開は"Goodhorsehymn"において、最も美しい形で昇華される。

音と同じように歌を重要視していることが、他の楽曲からも感じられる。



「笑顔をもたらすこと やり直すことはそう難しいことではないんだよ / 物事がうまくいかないときは きみのそばにいるから / そうしてこんなこと長くは続かないと ちょっとだけ嘘をついてあげよう」
中盤曲調をガラリと変え、大胆に展開する"Enemies / Friends"。
「世界を見渡す時 怒りを感じているのかい / 気分が悪くなる程絶望的になるのかい / この世界を前にしても孤独だとか怖いなんて思わないで欲しい / だってここには100万の良心がある / そう たとえばきみと俺の心のようにさ」
ピアノを中心にしたサウンドで、例えばBright EyesのConor Oberstにも通ずるような生身の歌が深く響く"Don't Go To Pieces"。しかしこの人の歌は本当に凄いな。うまいとかへたとかそういう軸と全く別のところにある気がする。

一見アルバム全体から独立しているような雰囲気の楽曲も、しっかり彼らの音だ。
「俺はこんなにも素晴らしい男なのに どうしてきみ以外の人間には分かってもらえないんだろう?」ともういない「きみ」に語りかける"Sadness On My Back"。ここでは、ピアノ中心に奏でられるメランコリックな中にどこか笑いを含むようなメロディを、ギターが思い切り踏み荒らす。そのポップさに似つかわしくない音の、不調和な感触が面白い。

アルバムはシンフォニックな中に浮遊感と泥臭さの混じる"1776"で一応のエンディングになるけれど、このアルバムに関しては、普通はアルバムと独立した存在であるところのボーナストラックが更に作品の完成度を高めている。
2曲のボーナストラックのうちの1曲め"The Workmiser Harmonies"はリフレインするピアノフレーズを中心にレイヤーを重ねる物静かなインスト。続く10分に及ぶハートクラックド・シンフォニー"Angels Over Kilburn"がクライマックス。音響処理のイントロから静かに歌が始まる。短い歌が途切れると、大きく鼓動を打ち込むキックに導かれて、ヴァイオリンがかき鳴らすマーチへ。ピアノブレイクから"Black Dollar Bills"のサウンドが立ち戻るムーグパートがノイズを残して引いていく。あとに残ったか細いピアノの上で、お世辞にも綺麗とは言えないコーラスが始まる。
「俺たちは見込みのない失敗作 / 寄り添いあって生きている / また悲嘆に暮れながら / 寄り添いあって生きている」。
ここに至る展開のすばらしさはちょっと筆舌に尽くしがたいくらいのものがある。
5分の空白を挟んで、生々しい音質で録音されたジャム的な演奏が最後に収められ、アルバムは終わっている。
音がいいだとかアートワークもいいだとか1曲1曲の楽曲も最高だとか、そういうのも勿論ある。ただ、作品としての「アルバム」というときに、完成度の高さが本当にすごい。何と言えばいいのか分からないけど、大切にしたい「作品」だなと思う。


毎日聴いていたときが懐かしかったのもあって、長々と書いてしまいました。
通して聴いてみて、やはり僕にとって特別な一枚だなぁと思いながら。
やっぱりいい、最高。

ついでに。このアルバムの制作中、2人のギタリストのうちの1人、James Lawrenceが自死でこの世を去っている。こういう聴き方はどうかと思うけど、それが音にしっかりと刻印されてしまっている、そんなこともちょっと感じてしまう。



"Goodhorsehymn"
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