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fago.sepia 『The Resume』

ザ・レジュームザ・レジューム
(2010/11/03)
ファゴ・セピア

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だいぶ前に彼らのEPについて書いたけど、この度アルバムサイズの日本編集盤が出たということで。これの内容が大変すばらしいので、書いてみようかなと。

内容は、上で書いたEPに収録されている全6曲をそのまま収め、他に新曲が4曲と未発表曲が5曲という形。CD一枚めいっぱい使った大ボリュームで、EP聴いてない人はもちろんのこと聴いたって人も十分に聴く価値のある一枚。
ところでこの盤、どの曲が新曲なのかというのが書いてなかったりするんだけど、そのへんを推測してみるのも面白い。というのも、EPから今回の企画盤の間に日本のバンドとのスプリット盤を出していて、そこに提供している二曲がEPに収録されている楽曲たちとガラリと変わったスタイルだったということがあって。
中盤の"Six"~"Sept"というのが最初のEPに収録されていた曲なんだけど、これらの曲はジャジーなサウンドと派手さはなくとも玄人なアレンジで聴かせる渋味の利いたポストロック。エフェクトなんかも少なめで、各楽器ともクリーンで芯のある音で捉えられていたのが印象的だった。
今回の盤には"Douze"1曲を除いて収録されていないけど(そしてこの曲がスプリット提供曲の中では一番EP路線を残した曲なんだけど)、スプリットに入っていたのは3曲。で、この未収録の2曲というのが"Treize"、"Onze"。それぞれ2分35秒、3分5秒。なぜ曲の尺を書くかというと、これが彼らの変化を一番よく現していて。EPに収録されている中で一番短いのは"Huit"、3分50秒。長いのは"Neuf"、6分29秒。全体で平均しても、5分ほど。なぜこういうことになっているかは、"Treize"、"Onze"を聴くとすぐに分かる。この二曲、EPの楽曲に比べて圧倒的にスピーディーで複雑、そして色彩豊かな「マスロック」になっている。ブレイク/キメ/ブレイク/キメを繰り返しながらノンストップでリズムチェンジし、各楽器の音が隙なく乱れなく絡み合いながら布を織るように音楽を形作る。

こうしたことを踏まえて今回の企画盤を聴いてみると、今の彼らの音に聴こえるのは最初の4曲。虹色のマーカーで数式を板書していくような楽曲に、意表を突く遊びが取り入れられている。"Quatorze"はAdebisi Shankの"Snakehips"を思わせる高速のハンドクラップに「ぱん・ぱ・ぱんぱん・ぱんぱぱんぱぱぱぱ」という気の抜けたコーラスで始まり、アンサンブルがすぐさまエンジン全開で同じパターンをなぞるという気の利いたイントロで始まる。そこからはもう拍子を数えるのも馬鹿らしくなる怒涛の展開。途中ヘェーーーーイという掛け声が入ったりして一瞬吹きかけるんだけど、すぐさま畳み掛ける超絶変拍子に意識を持っていかれる。"Quinze"はThem, Roaring Twentiesなんかを思い出すギターの高速単音フレーズがリードする1曲。クライマックスは以前のこのバンドではまずなかったハードな展開できっちり締める。
"十五"はリズムの崩し方が面白い曲で、ルバートっぽいノリはこの"Quatorze"でも聴けるところだけど、それも含め拍子や小節の解釈に独特の感性を感じられる。曲中のリズムにハンドクラップが取り入れられているのも、リフレインのアウトロだったりというのも新鮮。
"十四"(なぜかこっちが"十五"のあとという曲順なんだけど)はなんと、アコースティック。クリアなギターの単音フレーズとアルペジオが絡む絶景の音像はThis Town Needs Gunsのようでもあり、大変意表を突かれる。途中ホーンっぽい音も聴こえ、最後にはメンバーの笑い声が入って、リラックスした一曲になっている。
最後に収録された"Un"、"Quatre"、"Deux"がそれぞれ5分30秒、5分57秒、4分55秒となっていて、どうもこの三曲が未発表の旧曲ではないかなと思う。サウンド的にもEP路線で、リズムチェンジや展開がというよりはサウンドスケープ、空間的な部分でのこだわりが見える。ジャズではよく使われるけど、ドラムのシンバルを引っかいてノイズっぽい音を出すというようなことをやっていて、このへんも音響の香りがする。音数を極限まで減らしたアンビエントなパートが曲にぴったり馴染んでいるのもまた音を象徴していると思う。

単純にアルバムとして見るとまとまりはないんだけど、その分バンドの変化が見えるようで面白い一枚。
この手のギターインストもの好きな人には必聴バンドだと思うので、ここから入ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
しかしアー写を見ると優しそうで知的な感じも漂わせる人たちで、ああこの人たちにしてこの音だなと納得してしまう。


Split EPSplit EP
(2009/08/26)
fago.sepia LOW-PASS

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