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Sissy Spacek 『California Ax』

あけましておめでとうございます!
ツイッターで存分に弱音を吐いたら酒飲んでブログ更新!
もう三が日とか終わってますけど、ようよう休みですよこの仕事…。
俺(おい)らもカタギに戻りてぇ。

去年一発目に取り上げた音源はBrotz御大率いる10tetの5枚組でした。
で。あれがえれぇ苦労したわけです。ま、5枚組4時間半というボリュームでは当然っちゃ当然ですわ。
そんで今年はその反省を生かして、まずはさっぱり軽めの筆馴らしと洒落込もうかなーと思いまして…

CAX
お求めはart into life屋さんで…と思いきや現状sold out...頼めば入荷してくれるかなー

はい。説明不要のアングラノイズ帝王John Wiese率いる極悪ノイズSissy Spacekの4枚組ですね。
やったー去年より一枚減ったぞ!

ちゅうわけでキングの"キャリー"で有名な女優シシー・スペイセクの名を頂くノイズユニット、Sissy Spacek。
John WieseとCorydon Ronnauを基盤とするこのユニットはかなり不定形で、最小の2人のユニットから15人の大編成ノイズインプロオーケストラまでの幅広いリリースがある。今回とりあげる07年リリースの4枚組は、41曲3時間、総勢23名参加の特大ノイズカーニバルが楽しめる盛り沢山な内容。


以下続き。
Disk1 - Tinsel Dripping Ink
このディスクには短いトラックが凝縮されて収められている。30秒前後のものを中心に、11秒から4分38秒のものまで、26曲。
うし、全曲行くぞ!(唐突)休み無しで突っ込んでくんで付いて来い!
開幕はJohn Wiese&Corydon Ronnauによる26秒、破壊的に歪まされたドラムンベースと発狂ヴォーカルの"Bootleg"、続く"Spider Mama"同じく二人による壊滅的ギターハーシュ、"Casual Cassette"はGerrittによるローファイテープのカットアップでハードコア・ドローン・テクノ・ホラー映画を切り刻み破壊!、"Lunar Eclipse Was Boring"メイン二人のシンセ発振&狂ったヴォイスコラージュでジャパノイズっぽさもあり、"Return To From"はSam Ottがシンバルを一発叩くのみ(マジで)、"Sepsis(Version)"メイン二人のエレクトロニクス・ジャンク&ギターによるスカムな物音即興、"Suction Cup"は2エレ2ギターの4人編成でヴァリエーション豊かなノイズが四方から襲い来るサラウンドジャンク、"Pollex"Obliviaによるノイズゴアグラインド…のターンテーブル・プレイ!結局ワケ分からんノイズに変調加工、"Tyburn"メイン二人のジャンクな物音即興ゴソゴソゴソ、"East East STL"ドラムとヴォーカルのデュオと書いてあるものの11秒の一瞬のハードコアのため何やってるかよく分からず!、"Fortnight"これもメイン二人のギター&エレで飽和したハーシュ・ノイズ、"Shovel Up On Us"はDrVoGtにGreg Kelly大先生のトランペットが加わって乱痴気騒ぎのカオティック・ノイズコア・インプロヴぶん殴るぞこの野郎、"Secretary"これもDrGtにGreg大ペッ入全員死ね系ハイパープリミティヴジャンクノイズ…ノイズ…ノイズ…
すみません、半分の13曲めまで終わったのでやっぱり休憩させてください。
うし、行きます!
"Smoke My Blood"2ギター1エレのこりゃもう心休まりますなぁって具合なお約束ハーシュ、"Polled"これも悲鳴をローファイに混ぜこぜした気狂いターンテーブル・ミックス、"Index"はサンプルとホワイトノイズの意味不明なストライプ構造ホラーノイズ、続く"Gon"も同種の病的な陰湿音響ホラーを4分に渡って展開する怪作、"Purple Trouble"はクリップしまくりのラフなギターソロと壊れたブレイクビーツ、"Acoustic Sepsis"はアコースティックというか金属系の物音ジャンク、John Wieseソロによる"Look At My Hand"ドラムマシンをぶっ壊した崩壊デジタルビート、"TV Bra"~"Test For Color D"~"Senso Destructo Hat"は無茶苦茶に改造されたグラインドコアのカットアップシリーズ各30病いや秒、"Gutter Bird"は電子変調された不快な物音ノイズ、"Pulse Pounding Torment"は三たび原点に立ち返るメイン二人のブチギレ・ジャンク・エレクトロニクス・シットな精神崩壊サウンド、やっとここまでやって来たDisk1ラストを飾る"Live At The Smell"4分38秒はタイトルどおりのライヴ録音でベース・ドラムマシン・エレ・ヴォーカルの螺子の外れたノイズインプロ。
うーん狂ってますねえ。まぁこの1枚目を通過せんと残る3枚には手を付けられませんワイ。
はい僕頑張った。褒めてください。


Disk2 - Police
こちらは11曲収録で、Disk1とはかなり様相の異なる演奏を展開する。
演奏のほとんどはメインの二人にドラムス~パーカッションでSam Ott、kate Hall、Sarah Cakeという演奏者を加えたトリオ編成。面白いのがこちらはクソやかましいDisk1とうって変わって、静音系電子即興といった趣の場面がほとんどを占めること。ドラムスにしてもアタックや音数を強調するプレイはせずに、散発的な打音ノイズやシンバルを用いた金属ノイズ表現に注力する。
冒頭の"SOJBX"などまさにそれで、エレクトロニクスを慎重に操作する微細な電子音とシンバルの残響の入り混じる演奏。収録時間も5分と比較的長く取られている。この方向性は続く"Grandrere"や"Eaudoxia"にも引き継がれ、典型的にはギター-エレクトロニクス-ドラムスという三者の細切れの音の応酬によって、少しづつパワーバランスを変化させながらも追求されていく。
細かく聴いていくと擦過音の引き絞られた連なりのような"Rapid Fire"や、シンバルの残響を精密に捉えせり上がる音の波としてドローン的に聴かせる"New Pillowcase"といった変り種トラックもあり。
このDisk2、Disk1の全く秩序の感じられない完全なアノミー状態からすると、まとまりのある内容。しかしノイズ表現としては異端で実験性の高いものなので油断はできない。むしろこうした高い緊張感を持って発せられる音の中にこそ演奏者のセンスが浮き彫りになるように思えて、対比という意味でも面白い一枚。


Disk3 - Abreq Ad Habra
これまた方向性をガラリと変えた3枚目、07年と02年のふたつのライヴ録音が収められている。
M1"psychotechnics"。40分間の演奏で、John Wieseによるベース&エレクトロニクス、Corydon Ronnauによるギター&エレクトロニクスに、Damion Romeroのエレクトロニクス、Shannon Walterのヴォーカル&エレクトロニクスが加わった重編成…
なんだけど、いやこれがとんでもなかった。今回の4枚組に収録されている中で一番良かった。ぶっ飛んでた。
とにかく爆音ノイズ爆音ノイズ爆音爆音また爆音と来ての爆音ノイズな残虐ハーシュトリップぶっ通し40分。
無茶苦茶にも程がある内容で、聴き始めの数分は何が起きているのか全く理解不能。ただグシャグシャにひしゃげたノイズの濁流に呆然とするばかりになる。こりゃ音楽なのか…?というノイズにおきまりの疑問が今一度の強さをもって頭の中を響き始める頃、ふと音の中に変化を感じ取っていることに気付く。
それは下方からせり上がり波打つベースであり…上方に粒子状のノイズを高速で撒き散らすギターであり…重層的なハーモニーを奏でるエレクトロニクスのフィードバックノイズであり…ときおり音の隙間に浮き上がる絶叫であり…表面的にはずぅっと同じ破壊的なハーシュノイズが渦巻いているように思えるんだけど、耳が慣れてくることで多様なサウンドのミルフィーユ構造が見えてくるというか。
そうして演奏も半ば20分を過ぎる頃にはノイズの塊に思えていたものは甘美な重層的アンサンブルへと姿を変えて、ノイズそのものの意味を聴く側のうちから変容させてくれる。もっと味あわせてくれ、もっとゆっくり走ってと思ううち過ぎ去っていく暴風雨に打たれる心地よさ…40分なんてあっという間に過ぎていく。退屈な瞬間はありはしない。

M2"Bongo"はJohn WieseのエレクトロニクスにCorydon Ronnauのギター&エレクトロニクスという標準編成にDany McClainのパーカッションを加えたトリオ編成。02年のライヴで24分間の演奏。
こちらはオープニングから波の感じられる演奏で、大きくのた打つエレクトロニックノイズが縦横無尽に跳ね回る。ギターにしてもパーカッションにしてもかなり加工されているようで、ほぼノイズエレクトロニクスと言って差し支えないサウンド。意識して聴かなければエレクトロニクス×3の編成にも思えるほど。
途中急停止するような展開も挟みつつ、ハーシュ垂れ流しっぱなしではない緩急織り交ぜたノイズを展開していく。機材故障のような長い長いトーンから一気に音の坩堝になだれ込むカタルシス滾る展開もあり。中盤、特にギターの特性が顕著に現れるようなフィードバックと細かい粒子の弾けるサウンドが特に心地よく、また飽きさせない。
そんな具合でDisk2とは打って変わってのアグレッシヴな爆音ノイズ長尺二本立ての3枚目、これはノイズの原始的快楽に身を任せてひたすらもんどり打てばお花畑直行のすばらしい一枚。


Disk4 - 13-Tet Los Angeles
最後の一枚(やっとか!おじさんさすがに耳が疲れたよ)のDisk4は、タイトルの通り13人の大編成ノイズ・オーケストラによるロスでの07年ライヴ完全収録、20分二本立て。
13tetの内訳は、ギター×3、エレクトロニクス×4、パーカッション×4、テープ・マニュピレート、木管担当。この大人数なら爆音でくるかと思いきやインプロ的な面を前面に押し出し、多種多様なサウンドスケープを展開する摩訶不思議バンドになっているのだから面白い。
各楽器ともその楽器らしい音を出すことをせずに、ノイズ的な表現を徹底する。音律や調性はなく、演奏の全体はまさにノイズ的。主導権はやはり4人のエレクトロニクスが握っているようで、様々な電子ノイズの差し合いを中心にサウンドが構築されている。
セカンドセットでは長いパルスを中心にゆっくりと音の全景を描きあげていくような演奏が展開される。これは収録の他のどの演奏にもないもので、このDisk4のハイライトと言えそう。それぞれのエレクトロニクスやギターが微妙に異なる様相のフィードバックを発していって、それらが混ざり合うところなど、俄かにドローン的でもあって面白い。
不穏にのたくるノイズがふいに渾然となって湧き上がるポイントはあれど、フリーキーにハーシュにぶち切れるような展開はほぼなし。こうして聴いてみると、アルバム全体としてはDisk1及びDisk3がカオス的な面を、Disk2及びDisk4が構築・音響的な面を捉えているとも取れる。全体の総括になってしまうけど、それぞれのディスクが全く異なった方向性を持ちながらこうしてセット的に捉えることもできるし、実に優れた内容の構成だなと思う。4枚組というヴォリュームも作品性が先にあっての必然と思える。


といったところで、Sissy Spacekのノイズ4枚組、新年から一筋縄じゃいかねえ物件をお届けしました。
僕は例によってこれはJohn Wiese御大のユニットだからってことで買ったんだけど、聴いてみたらWiese単体では出ないような音が山ほど収められており、ホクホクあったか皆笑顔のノイズ幕の内スペシャル弁当で大満足。去年頭にBrotzの10tetの時にも同じように書いた気がするけど、これも一家に一枚あると何かと頼もしいんじゃないでしょうか。
そんなこんなで今年も一年よろしくお願いいたします。



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