FC2ブログ
 

 

Francisco Meirino 『Untitled Phenomenas In Concrete』

ええっと、
というわけでいろいろライヴ見にいってますぞ。
ここ最近で特に心に残ったアクトは2つで、まず渋谷WWWで見た集団投射。
ええー、この集団投射というのは、高柳昌行が提唱した即興のコンセプトのひとつで「聴き手が時間的経過についてのあらゆる間隔を失って連続体としてのサウンドしか意識しなくなるまでの速度を早める形態」というものなんですけども、今回の演奏はそれのカルテットによる実践という形態。で、まぁ書いてある通り。いや凄まじかった…。40分ノンブレーキ・ノンストップで爆音フリージャズ。人間って演奏っていう運動をここまで出来るんだ…ってう。死なないんだ…っていう。謎の感動でしたね。
もうひとつが、新宿ピットインでのエリオット・シャープ。
様々なエフェクトと超絶テクをベースに、どこにも属さない・ノンジャンルとしか言いようがない異様なソロも素晴らしかったけど、何と言っても八木美知依さん・本田珠也さんとのトリオで、これまた次から次へとイマジネーションの湧き出るようなギター、押しまくるゴリッゴリの演奏に打ちのめされたのでした。


--------------------------------


upic


普通のお店だと買えないものの、これはプレス枚数の限定とかがあるわけではないみたいなんで、ぜひart into lifeさんで問い合わせの上注文を。
で、なんでそんな面倒くさい音源について書くかというと、暮れにもなって今年のベストのうちの一枚に触れないのはな~と思ったからなんですね。


今年はこのFrancisco Meirinoという作家にかなりハマって…それは4月に六本木のスーパーデラックスで彼のライヴを見たことに端を発しているんだけど、いやこの人の作る音が本当にすばらしい。
音源も色々聴いていて、今年出たCDRDave Phillipsとのコラボ作"We Are None Of Us"誰でもない、なんてのもあるし、いま注文中の最新発掘音源集は200枚限定で福島の新興レーベルから(リンク先で試聴可)。

この人のやってる音楽は何かというと、今回取り上げるアルバムタイトルから分かる通り…、コンクレート一筋の音響職人。
ここで簡単におさらい(?)しておくと、ミュージック・コンクレートというのは非音楽的な素材を用いて構築する音楽制作の手法のこと。まぁそれこそ上のリンクから聴いてもらえば早いんだけど、コン、カツッ...ゴソゴソ...フイーーーーーとか言ってるのは大体コンクレートですわな。物音系とか言われることもある。
ここでちょっと脱線だけど、今回はジャンルを"contemporaly"現代音楽に振ってある。これ、正直苦し紛れで、確かにミュージック・コンクレートそれ自体は電子音楽の流れの中にあって現代音楽を出自にしてはいる…しかしその文脈でコンクレートと呼ばれているものって、例えばオーケストラの中にサンプリングしたサイレンの音を取り入れたような形のものだったりする。で、音楽的にはそういった意味でのコンクレートはほぼ死んだということになっている。
ここで取り上げているような、アブストラクトな静音ノイズ的な方向性、いまジャンルのひとつとして言われるコンクレートは現代音楽の文脈上のそれとは違う。しかし一方でもちろんこういう音楽ってのはルーツを現代音楽に持ってるわけで…。
そこでブログ的にわざわざ一枚のためにジャンル増やすのもなー…というのもあり、ま、例によって耳判断でこれは電子音楽耳で聴いてるだろう、という感じでこう分類しました。これまた今年ベストのうちの一枚、John Wieseの"Seven of Wands"はバリバリノイズに振ってあるけど、これは作家で振ったってことっすな。


あれよのうちに長くなってるけど、これでやっとアルバムの内容に入れる。
一度書いた通り、コンクレートを軸に様々な作家とコラボしつつ90年代から(別名義phroqと併せ)アクティブな活動を続けるFrancisco Meirino、彼の今年リリースのアルバムがこれ。
内容は36分44秒1トラックの構成。大きなシールで直接パッケージに封がされた中身にはアートワークのポスター。これがグラフィックスコアのように音源の内容を記したものになっていて、"02'27-04'54"みたいな形でイメージと該当する収録時間が記録され、照らし合わせながら聴くのも楽しい。

音の全体はモノクロの静音ノイズに覆われて、様々な物音やホワイトノイズ、信号音、機械の操作音等が行き来する殺風景な音響作品。でありながら意外な起伏に満ちていて、音数が増える展開も多くあり、ダイナミズムは意外にも豊か。
何よりも面白いのは、こうした手法を採りながら、彼のサウンドソースはとても物理的でアナログであるということ。ライヴを見たときに驚いたんだけど、彼が用いたのはなんとこんな機材(google先生イメージ検索オナシャス!)。

7157070548_41ddfd2de5_m.jpg

多数のアナログテープリールが自作のエフェクトシステム(木箱っぽいやつ)と組み合わさり、ミキサーに接続されている。
普通この手の作家はライヴではラップトップを用いて、サンプラー的に呼び出した音源を音響配置して演奏を行う。それがこれが出てきたもんだから…。
で、勿論の事このアルバムにもこういったシステムから録音された音源が用いられている。他のものでも彼の音楽には一貫した感触がある。硬質で灰色がかった独特のそれは、恐らくこの部分から来ているのではないかな。
ここにかかるセンスは上に書いた最新発掘音源でのトラックタイトルから窺い知ることもできて、例えばそれは"壊れたオシレーター"、"病院の換気システム"、"鉄板に降る雪"、"リールtoリールのモーター"...なんて形で示されている。

更に彼を特別たらしめるのはその抜群の構成/配置のセンス。無調でメロディーをもたずビートも生まない、ただのガラクタのささやく音たちを、見事に音楽として立ち上げて見せる手腕。この手の作家の中でも飛び抜けたものではないかな。切断と持続、接続と停止の絶妙な組み合わせ、単純なレイヤー構成をうまく繋ぎながら構築されていくサウンドスケープ…。
物理現象としての音の生成にアプローチしているというか、無愛想であるがゆえ温かさがあるような…このへんはジャンルゆえの変な転倒なんだけど。
電子音にあまり頼らないゴツゴツした音作りは(上で一度名前を挙げたけど)John Wieseに近いところもあり、このへん、コンクレートにおける僕のツボなのかなーとも思ったりした。まぁそんな2012年ベストの一枚であろうアルバムの紹介でした。


続きにライヴ映像など。


いずれもKiko C.Esseivaとのコラボ演奏。
ああ^~ゴソゴソしてて気持ちいい








ふたつめの映像、機材の接続チェックとかしてるように見えるかもしれませんけどこういう演奏なんですね。
スポンサーサイト
 

Comment

 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可

 

Trackback

 
 
http://teardropmissingpiece.blog115.fc2.com/tb.php/374-dbf9fcdf
 

プロフィール

 

伊達さん

Author:伊達さん
恐怖と雑音と
カワイイだけがオレの信仰
about

拍手する

 

最新記事

 
 

カテゴリ

 
 

月別アーカイブ

 
 

検索フォーム

 

 

twitter

 

 

リンク

 
 

FC2カウンター

 

 

RSSリンクの表示

 
 

最新コメント

 
 

最新トラックバック