FC2ブログ
 

 

Christian Marclay 『More Encores』 『Graffiti Composition』

はい、本日23日がバースデーです。
晴れて17歳と108ヶ月になりました。祝ってください。

というわけで…今年最後になるかな?頑張ればもう一枚いけるかも?
な感じでご紹介するのは稀代のターンテーブリスト/現代作曲家、Christian Marclay クリスチャン・マークレイの二作品。この人の音楽自体は以前から聴いてたんだけど(なんか大昔に一度書いてる)、今回取り上げるのは今年聴いたもの。これがどちらもめちゃくちゃ良かった。



More EncoresMore Encores
(2003/06/03)
Christian Marclay

商品詳細を見る

これは1988年にLPでリリースされていたものが2003年にCDで再リリースされたもの。
このアルバム、ジャケットに一見共演者という風にアーティストの名前が列挙されているけれど、それをよく見ると…
Louis Armstrong / John Cage / Maria Callas / Frederic Chopin / Fred Frith / Jimi Hendrix / Johann Strauss / John Zohn...
無茶苦茶。無茶無茶にも程があるこのメンツ。昔、仮面ライダーブラックRXだったか、そのあたりのライダーの最終回で歴代ライダーがズラッと集まってバーベキューしてる場面があったのを見た覚えがあるんだけど、音楽でそれやっちゃってる感じだ。ショパンからジミヘンまで。ケージからゾーンまで。
これは何かというと、"CHRISTIAN MARCLAY Plays with the Records of" つまり、これらのアーティストのレコードをMarclayがプレイしたというもの。まさにターンテーブリストのアルバムということで、基本的には複数のターンテーブルを用いてリアルタイムにミックスしたものをオーバーダブを織り交ぜ音源を作り上げているようだ。
Remixed by Marclayな音源集ともいえるんだけど、これが聴いてみれば当然ながら一筋縄でいかない内容。

冒頭に流れてくる流麗なメロディ、聴いたことのない人はいないだろう。Johann Straussヨハン・シュトラウスによる"An der schonen Blauen Donau"つまり"美しき青きドナウ"。
明確にメロディが分かるものの、所々引き延ばされピッチをずらされた演奏がじき混乱していき、最後には渦に飲み込まれるように消える。2分55秒。このアルバム、どのプレイも3分と経たず終わっていて清々しく聴きやすい。
続く"John Zohn"、こちらは趣向を変え、Zohnの音楽性に沿うように構成されたノイジーなトラック。プチプチと弾ける電子音に絶叫、ループされる低音ドローン、前トラックとのコントラストもあり意表を突かれる。
こうした調子で元の音源の特性を生かしつつ、しかし時に破壊的に、トリッキーなアプローチで各音源がMarclay印付きで再構成されていく。例えば面白いのは"Frederic Chopin"、ショパンのリミックス。早いパッセージで流れるピアノをループさせ重ねていく。ほとんど崩壊したエレクトロニカと化したところにオーケストレーションとスクラッチノイズ。クラシカルの巨匠も、自分の音楽がこのようにプレイされるとは思わなかっただろうな。
"Louis Armstrong"ルイ・アームストロングはもとの音源のローファイで温かなサウンドを生かした自然なカットアップ。ストレンジ感溢るるグッド・ミュージックを作り出している。
グリッチのビートを加えて多様なノイズが矢継ぎ早に入れ換わる"John Cage"は完全なアヴァンギャルド、"Jimi Hendrix"はフィードバックやワウがかったサステインを混ぜ合わせたパートから始まりスピードが増していきやがてぐちゃぐちゃのノーウェーヴへ。
ラストは"Christian Marclay"、Christian Marclay plays Christian Marclayということで、これはもう好き放題に散らかしたぶっ飛びまくりのトラック。

20年以上の前にプレイされた若かりし頃の音源だからだろうか、Marclayのプレイヤーとしての面がよく出たアルバムで、不敵なタイトルのムチャクチャかっこいいジャケも含め完成された一枚。




Graffiti CompositionGraffiti Composition
(2010/08/17)
Christian Marclay

商品詳細を見る

上のアルバムがプレイヤーとしてのMarclayとするならこちらは作曲家としてのMarclayの作品と言えるだろうか。
演奏は06年にライヴ録音されたもので、10年にリリース。
Marclayの手になる楽曲を5人のギタリストが演奏している。で、まずこのメンツがとんでもないんだな。
Melvin Gibbs。Mary Halvorson。Vernon Reid。Lee Ranaldo。Elliott Sharp。フリージャズからアヴァンギャルド、オルタナまで、気鋭からベテランまで揃ったラインナップ。Elliott Sharpは全体の指揮もとっている。
これだけで何だかスゴイことになってそうなんだけど、Marclayの曲、これがまたとんでもない…とんでもないシロモノ。

この楽曲、作曲はMarclayではない。彼はコンセプトを提示しただけ。作曲者は存在していない、というのが正しいか。
楽譜として用いられたのは、音符や休符が何も書き込まれていない白紙の五線紙ポスター。Marclayは、1996年の夏にベルリンで催された一月続く祭りの最中にこれを5000枚市中に貼り出した。そこには街の人々や観光客が自由に落書きをし、好き勝手に譜面を書き込んでいく。この中から150枚をセレクト、グラフィックスコアとして編集したのがこの"Graffiti Composition"というわけ。
こうして作られた楽譜は、例えば以下のようなもの。
01-marclay800t001_409.jpg
201007-marclay.jpg
これを超一流のミュージシャンが演奏する。
なんてことを考えるんだろう、この人は。いやあドキドキする。

アルバムは計6トラック、40分のコンパクトな内容。
しかしやはりこのメンツ、凄まじい密度の演奏を繰り広げている。
全体にエフェクトをふんだんに用いて、全員がギターと共にエレクトロニクスも使い、ほとんど異次元かという感じの音がそこら中で鳴っている。
かなりノイジーでバリバリとつんざくようなサウンドが炸裂する箇所もあり、ジャジーで細かい音の溢れる中に突如ドッとノイズが押し寄せたりとスリリングな展開も多い。で全員が演奏テクニックもまた凄いもんだから、単に即興ギターアンサンブルのアルバムとして聴いたとしても素晴らしいと言ってしまっていいくらい。これはどんな譜面で演奏されたのだろうとか気になる場面ばかり。細かい解説や映像が欲しくなるな。
9分半の長さの"Graffiti Composition 4"はそれぞれに個性的なギターサウンドがいくつも交わって特に面白い。よくもここまでアクの強いギタリストを集めたものだなぁと、そんなところでも感心してしまう。
奇抜なコンセプトと内容のハイレベルさが両立した贅沢なアルバムで、こうした現代音楽的な作曲に興味がない人でも全然おすすめ。



続きにライヴ映像など。
この人、もう60近いんだけど、今でも現役バリバリでハイペースな活動を続けている。
で、その演奏がまたかっこいいんですわ。


サキソフォニストJohn Butcherと。



エレクトロニクスのSteve Beresfordと。



前衛ヴォーカリストPhil Mintonと。



Graffiti Compositionのパフォーマンス。ギターのHalvorsonは上で紹介した音源にも参加。



映像による四重奏、ヴィデオ・カルテット。
スポンサーサイト



 

Comment

 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可

 

Trackback

 
 
http://teardropmissingpiece.blog115.fc2.com/tb.php/376-a59671ae
 

プロフィール

 

伊達さん

Author:伊達さん
恐怖と雑音と
カワイイだけがオレの信仰
about

拍手する

 

最新記事

 
 

カテゴリ

 
 

月別アーカイブ

 
 

検索フォーム

 

 

twitter

 

 

リンク

 
 

FC2カウンター

 

 

RSSリンクの表示

 
 

最新コメント

 
 

最新トラックバック