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Zs 『Score The Complete Sextet Works 2002-2007』 『The Hard EP』

お疲れ様です~。
『こはるの日々』ってマンガがあって、一巻が出たときにちょっと書いてたんですけど、今月これの最終巻になる4巻が出まして。で、読んだらこれがもう本当に素晴らしかった。
なんか言葉にすると安いんであんま言えないんですけど…。ヤンデレとか愛が重いとか流行ってるのもあっていくらでもポップな方向に逃げられたはずなんですよね。でもこれは……つまり真摯で誠実だということかな、だからすごい。とてもありふれたところへと落ち着いていく物語で、ゆえに圧倒されます。
去年末の記事で田中ユタカ先生の『初愛』ベストに挙げましたけど、あれとひと繋がりの感じです、自分の中では。


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てなわけで代官山UNITまで見に行って来ました、Zs。
今までタイミングがなくて彼らの音源を買えてなかったんですけど、今回せっかくなんでいくつか買って来たんですね。
そんなかでニューリリースとして過去作のボックスがあったのでこれをメインに。
彼らもう10年選手で、今回のボックスはその前半の音源を収めたものになってます。
まぁ音源の内容はそこそこにライヴ見ての感想書いてきたいと思いますけど。


Score: the Complete Sextet Works 2002-07Score: the Complete Sextet Works 2002-07
(2012/09/11)
Zs

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ZsはNYCアンダーグラウンドで活動するバンドで、サクソフォニストSam Hilmerを中心にする他は活動形態は不定形。サックスのみのデュオからセクステットの大きな編成まで、柔軟に形態を変えながらリリース/ライヴを続けている。
今回リリースされたボックス、内容はCD4枚組で4時間半に渡る音源が収められている。収録されているのはアルバム『Arms』『Buck』、EP&シングル『In My Dream I Shot A Monk』『Magnet』『Four Systems』『Zs』『Karate Bump』、ほか曲デモ、リミックス等レアトラックスとライヴ音源という盛り沢山な内容。


その音楽性は…何て言えばいいのか、かなり明確にイメージはできるんだけど、言葉で簡単に表現しようとすると難しい。様々な実験をしてきて、それをひとつのところに落とし込んでいるような。ライヴの様子を書いておくのが一番分かり易いと思うので、そうしよう。
Zs現在のラインナップはギターPatrick Higgins、ドラムスGreg Fox、それにHilmerのトリオ編成。今回の来日もこれ。
このバンドが日本で最初に話題になったのはアルバム『Arms』の頃で、確かその頃に流行りまくっていたマスロックの文脈で紹介されていたように思う。僕も今回ライヴ見るまではそのイメージで、マスロック見に行くつもりで行ったんだけど…。

木製のアンティークめいた椅子がふたつ向かい合って置かれたステージの様子はどこか儀式めいたものを感じさせる。HilmerとHigginsがそこに座っているけど、Hilmerが手にしているのはサックスではなくマイク。複数のコンパクトエフェクターが接続されたそれを用いて、オブジェクトノイズを作り出していく。これに応えるギターも空間エフェクトを重ねがけしたアブストラクトな演奏で、ドラマーFoxはセットに座らずラップトップとパッドを睨んでいる。
イントロ的なパフォーマンスかと思いきや、これが長く続く。抽象的なフリーインプロヴィゼーションからギターが反復のリフを重ね始める。Hilmerはサックスを手にしてFoxがドラムセットに座り...ここからがまた面白かった。
マスロック的な演奏をするのかと思っていたら、ここで演奏されたのはひたすらに反復を繰り返す人力ミニマル・ミュージック。ミュートされ抑制の効いたギター&サックスが巧妙に組み合わされたフレーズを反復させ続ける。3者の演奏はポリリズムされているけれど、ノリとしてはひとつにまとまっている。時にドラムが大胆にテンポや拍子をかき回していくけど、リズムというのは反復されていると大きな単位では全てを1の中に含み込んでしまう…。
時折の転調を挟みながら限界まで引き絞られたミニマリズムが展開する。異様な緊張感のうちに楽曲が終わる。
少しの間を置いて始まったのはまたもフリーインプロのパート。今度はエフェクトで変調されたサックスによるドローン的即興演奏。…といった感じでインプロ半分ミニマル半分というのが彼らのパフォーマンス。ラストにはアンコールで爆発的なフリージャズ型の即興演奏も披露。

マスロック見に行ってたはずなんだけど、見終わっての印象はハードコア現代音楽アンサンブル。ミニマルを中心に、ノイズ、ドローン、フリージャズ...おまけに彼らは一時期演奏に図形楽譜を取り入れていたこともあるというから、その音楽性のもとは現代音楽にあるという気がする。変拍子とポリリズムを多用しつつもそれをひとつのリズムの中に回収するという発想はライヒ的だし、ミニマルミュージックをロックバンド的なフォーマットで演奏するというアイデアはチャタム~ブランカ的。
いや予想外のもの見せられたけどムチャクチャに格好良く、興奮してしまった。


シンプルな編成から想像もつかないような演奏を展開してくれた彼らだけど、その実験の軌跡が今回のボックスセットによく収められている。
disc1に収められているような初期においては綿密に練られた楽曲が目立つ。サックス、ギター、ドラムス各2の6人編成で、難解なリズムの楽曲に一糸乱れぬ演奏。サックスがアクセントになってはいるものの、全体としてはマスロック的に聴こえる。
ライヴアルバム『Buck』中心に収められたdisc2ではまず前半のシングル音源が面白い。絶叫ヴォーカル+パンク・ノーウェイヴ的なノイズギターの"In My Dream I Shot A Monk"、微弱音と緩やかに上下するサックスのアブストラクトな即興的演奏"Magnet"、"Four Systems"。ライヴ音源ではミニマル・パンクとでも表現したくなるエネルギッシュな反復がこの頃既に窺える。
アルバム『Arms』とリミックスの収められているのがDisc3。ここでは楽曲の中心はミニマルな反復の徹底に移っている。反復が催眠的にならずむしろ繰り返す程に覚醒を促していくような彼らの演奏の"ヤバさ"も既に充分に演奏に宿っているように聴こえる。
disc4に収められているのは楽曲のデモ状態のもの、ライヴ音源となっているから、もうひとつ別の音源を紹介しておきたい。


The Hard EPThe Hard EP
(2008/08/05)
Zs

商品詳細を見る

08年に出ているこのEPは15分1曲入りの内容で、いやこの曲が大変にヤバイ。
サックス、ギター、ドラムス、キーボードの4人編成。間とタメのよく入ったリフの反復から始まっていくのはそれ以前から続くスタイルではあるけど、いやに音が尖って耳に若干痛い...と思って聴いていると、突如暴走連打し始めるギター&キーボード。上に乗っかるフリーキーなスクリーミングサックス。メンバー誰とも知れず絶叫。
反復のパートからまたしても暴走するサックスとピキピキのノイズギター。絶叫。このEPでは明確にフリージャズの要素が持ち込まれていて、それまでにない暴力性が演奏に加わっている。
このあとの音源(実はまだ買えてない)ではここに更にエレクトロニックノイズの要素なんかも加わってくるということなんで、聴くのが楽しみ。


というわけでZsでした。
いやほんとジャンルの分からん連中でしかしミニマルもノイズもマスロックもフリージャズも、彼らが参照するような現代音楽もNYCには揃っているわけで、かの地の音楽的豊穣さにも思いを至らせてしまいますね。
続きにライヴ映像など。















これは面白い...



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