Bing & Ruth 『Tomorrow Was The Golden Age』
同じ素材から作ったやつ
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僕は生来粗野な感性の人間で繊細な美というものをほぼ解さないのですが、極々稀にアンビエントでグッと来るものもあって。
今回はそういうアルバム。

メディテ屋さんで取扱いのほか、アマゾンでも買えるようですが…また例のリンク貼る機能ちゃんと働かないんだけどこれ大丈夫かにゃー
Bing & Ruthはブルックリン(またか…)のピアニストDavid Moore デヴィッド・ムーア率いるアンビエント・アンサンブルで、今作での編成は以下の通り。
David Moore - Piano
Jeremy Viner - Clarinet
Patrick Breiner - Clarinet
Leigh Stuart - Chello
Jeff Ratner - Bass
Greg Chudzik - Bass
Mike Effenberger - Tape Delays
ベース2本になっていて、これは代わる代わるに弾いているという風にも取れるんだけど、どうも音聴いてるとアコベ(コントラバス)で2本入ってると思われる。
あとテープディレイ、ディレイって聴くとエフェクターみたいなものを思い浮かべる人が多いかと思うけど、これはテープリールを使ったアナログのデカいラックタイプのものですね。ひとり専任でやってるってのが分かる位取り回しの大変な機材。
多分各楽器の音をこのディレイに集約して残響を引き延ばすことでアンビエントに変換しているのかな。
あと面白いこととして、名門アンビエントレーベル12K総帥Taylor Deupree テイラー・デュプリーがマスタリングを担当している。
訥々としたピアノから始まり、波のようにやってくる輝く音の粒子に飲み込まれる"Warble"がオープニング。
ライヒなどのミニマルからイーノのような初期アンビエントからの影響があるとのことで、今時珍しいくらいのアナログなトーンのアンビエント。
テープ・ディレイのノイズ混じりのこもった残響と生楽器によるドローン、今っぽいシャープで澄んだようなものとはかけ離れた音で、現代音楽寄りな響きもあるかも。
そのまま音の波に流されるように続く"TWTGA"はミニマルなピアノ曲で、ポストクラシカルにも接近しているけど、そこまでメロディ的ではない。
特に気に入っている曲。
"The Towns We Love Is Our Town"。
ボウイングによるベースドローンが曲の下半分を埋めているような曲で、同調するように下からせり上がるピアノも地響きのよう。アルバムの中でも特にアコースティックならではの重厚さを感じさせる。
そしてそこからそのまま繋がる"We Are on the Side of Angels"。
ディレイのバツバツバツというノイズを頼りないビートのようにして、その上で一歩一歩確かめながら進むピアノ、クラリネットとチェロが後方から射し込んでくる…前曲から流れで展開に視界が開けるような気持ちよさがある。
それと何といってもラストの"Postcard from Brilliant Orange"。
これは映画的な楽曲で、何かこう、例えばハネケのタイム・オブ・ザ・ウルフとか、最後にかすかな希望を残すポスト・アポカリプスな話のエンドロールで流れたら泣いちゃいそうになるな。
そういえばここまで聴いて気付いたけど、アンビエントの中でも曲が多いタイプ…20分2曲とか40分1曲とかでなく、5~7分の曲が10曲近く入ってるようなアルバムで好きになるのは本当に珍しいかも。全体のトーンが一貫していて、曲の前後が繋がったようなものも多く、構造としては前者のようなタイプに近いからかな。
しかし本当に驚くのがクレジットにギターが(ついでにディレイをそう考えなければエレクトロニクスも)ないことで、まぁ確かに聴いてみるとピアノをテープで劣化させることでギターのような響きを得たりとうまく処理していて、ギターなしでも出来る…?…ような感じ。
まぁ摩訶不思議だけどそういうちょっと王道から外れてアイディアで聴かせるアンビエントで、これは珍しくどなたにもおすすめできる単純にいい音楽かなと。
あと……アルバムタイトルがめっちゃいいよね!
続きにライヴ映像等貼っておきます
やっぱりコンバス2本だったね
eternal sunshine of the spotless mind...って感じだ
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僕は生来粗野な感性の人間で繊細な美というものをほぼ解さないのですが、極々稀にアンビエントでグッと来るものもあって。
今回はそういうアルバム。

メディテ屋さんで取扱いのほか、アマゾンでも買えるようですが…また例のリンク貼る機能ちゃんと働かないんだけどこれ大丈夫かにゃー
Bing & Ruthはブルックリン(またか…)のピアニストDavid Moore デヴィッド・ムーア率いるアンビエント・アンサンブルで、今作での編成は以下の通り。
David Moore - Piano
Jeremy Viner - Clarinet
Patrick Breiner - Clarinet
Leigh Stuart - Chello
Jeff Ratner - Bass
Greg Chudzik - Bass
Mike Effenberger - Tape Delays
ベース2本になっていて、これは代わる代わるに弾いているという風にも取れるんだけど、どうも音聴いてるとアコベ(コントラバス)で2本入ってると思われる。
あとテープディレイ、ディレイって聴くとエフェクターみたいなものを思い浮かべる人が多いかと思うけど、これはテープリールを使ったアナログのデカいラックタイプのものですね。ひとり専任でやってるってのが分かる位取り回しの大変な機材。
多分各楽器の音をこのディレイに集約して残響を引き延ばすことでアンビエントに変換しているのかな。
あと面白いこととして、名門アンビエントレーベル12K総帥Taylor Deupree テイラー・デュプリーがマスタリングを担当している。
訥々としたピアノから始まり、波のようにやってくる輝く音の粒子に飲み込まれる"Warble"がオープニング。
ライヒなどのミニマルからイーノのような初期アンビエントからの影響があるとのことで、今時珍しいくらいのアナログなトーンのアンビエント。
テープ・ディレイのノイズ混じりのこもった残響と生楽器によるドローン、今っぽいシャープで澄んだようなものとはかけ離れた音で、現代音楽寄りな響きもあるかも。
そのまま音の波に流されるように続く"TWTGA"はミニマルなピアノ曲で、ポストクラシカルにも接近しているけど、そこまでメロディ的ではない。
特に気に入っている曲。
"The Towns We Love Is Our Town"。
ボウイングによるベースドローンが曲の下半分を埋めているような曲で、同調するように下からせり上がるピアノも地響きのよう。アルバムの中でも特にアコースティックならではの重厚さを感じさせる。
そしてそこからそのまま繋がる"We Are on the Side of Angels"。
ディレイのバツバツバツというノイズを頼りないビートのようにして、その上で一歩一歩確かめながら進むピアノ、クラリネットとチェロが後方から射し込んでくる…前曲から流れで展開に視界が開けるような気持ちよさがある。
それと何といってもラストの"Postcard from Brilliant Orange"。
これは映画的な楽曲で、何かこう、例えばハネケのタイム・オブ・ザ・ウルフとか、最後にかすかな希望を残すポスト・アポカリプスな話のエンドロールで流れたら泣いちゃいそうになるな。
そういえばここまで聴いて気付いたけど、アンビエントの中でも曲が多いタイプ…20分2曲とか40分1曲とかでなく、5~7分の曲が10曲近く入ってるようなアルバムで好きになるのは本当に珍しいかも。全体のトーンが一貫していて、曲の前後が繋がったようなものも多く、構造としては前者のようなタイプに近いからかな。
しかし本当に驚くのがクレジットにギターが(ついでにディレイをそう考えなければエレクトロニクスも)ないことで、まぁ確かに聴いてみるとピアノをテープで劣化させることでギターのような響きを得たりとうまく処理していて、ギターなしでも出来る…?…ような感じ。
まぁ摩訶不思議だけどそういうちょっと王道から外れてアイディアで聴かせるアンビエントで、これは珍しくどなたにもおすすめできる単純にいい音楽かなと。
あと……アルバムタイトルがめっちゃいいよね!
続きにライヴ映像等貼っておきます
やっぱりコンバス2本だったね
eternal sunshine of the spotless mind...って感じだ
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