湿った夏への扉

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みんな、怖い話は好きか?
ってことで、空気がじっとりと湿ってきて、夏の気配がちらちらと覗き始めたこの頃、いかがお過ごしでしょうか?
僕はといえば昨年末から…いや何度も書いている通り、僕のグッと来るものは要約すれば雑音・恐怖・カワイイであり、怖いもの自体は、ずーっと好きなんですが…いわゆる怪談本をよく読むようになっていて、で、そう、これは偶然なんですけど、さっき数えたら丁度40冊になってました。
で、そうこうしてたらこんな季節なんで、一丁怪談について書いてやろうかなと。

ホラー小説ってのもそこそこ読むんですけど、この怪談本というものの味を知ってからはヌルくなってしまったというか…何を読んでも余計な修辞、雑味が多すぎるように感じてしまって…。
映画でもPOV、ファウンドフッテージを特に愛好するようになってから、普通のフォーマットのホラーがほとんど物足りなくなっているので、それと同期した好みの遷移なのかなと思ってるんですけど。

まぁしかし怪談本、ハズレも多いですよね、正直。
でもその分アタってるやつは本当に強力なのがありますけど。
というわけで今回は、読んできた中で特にこれは、というものを何冊か紹介しようかなと。


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最初に事情を説明しておくと、今怪談本というものを文庫でコンスタントにリリースしているのは竹書房だけなんすよね。
角川ホラー文庫なんかは今はほぼラノベレーベルみたいになってますし、MFダ・ヴィンチとかもそんな頻繁に出るわけでなく…。
そんな感じで出版社が偏ってますね。



いきなりですけどこの作家さんは現役の怪談作家の中で一番凄いですね。
いままで単著で5冊くらいありますけど全ておすすめ。他を寄せつけないとはこの事。
怪談って因縁因果が見えてしまうとほとんどの場合怖さが半減するんですけど、その点、この人のは無縁怪談とでもいうのかな。
何も所以のない人が、いきなりわけの分からないものに遭遇する。
しかもその"もの"にしても──これは怪談を沢山読んだから尚のこと強く感じますけど──定石外しが絶妙で、定番のモチーフから始まったと思いきや、意識の死角から、何だこれ?でも、怖い!って思わせるものを提示してくる。
怪談本ってアンソロジーも沢山ありますけど、僕の場合はこの人の名前があった時点で買いますね。そういうレベルの作家。

余談ですけどこの人歌人でもあって、そっちでもちょっと他では読んだことがないようなものを展開していておもしろい。



アンソロジーの話を書いたんでそれで一冊。
これ中身を「心霊系」「狂気系」ってざっくりふたつに割っていて、そういう割り方は多少興醒めするんですけど、内容はとても濃いです。
狂気系っていう言葉はたぶん東京伝説ってシリーズがそんな風に呼ばれてることから来てるんですが、まぁ、心霊話じゃなくて、頭のおかしい人に関わって酷い目にあった…みたいな話ですね。
映画ライターの人が書いてる、ブレアウィッチを映画館に観に行ったいら変な客がいた、みたいな話とかかなり面白い。
心霊サイドで上の我妻さんも書いてますね。



これまた変わり種で、この作家の方歌舞伎町とかあっち方面の夜の世界にお詳しいってことで…そういうとこで集めた変な話。
で、ネタが心霊怖いのときもあれば裏社会怖いのときもあり、その絡み合ったもののときもあり…
それがオチまで分からないというのがおもしろい。
これもシリーズで5冊くらい出ててどれもいいけど、特にこの1はおすすめかな。



いま怪談シーンの重鎮というと上の福澤さんとこの平山さんってことになっていて。
平山さんは本当大量に本があって、この人の小説なんかも僕結構好きで読みますけど…まぁ非常に体力使うんですけど。
どっから読んだらいいのやらって感じですよね。
このシリーズは無縁寄りなわりとワケの分からん話が集まっていて、それでいて平山さんの作家性であるサービス精神というか、怖がらせてやろう!というのがよく発揮されていておすすめ。



そんで実はそんな二人の怖い話を一挙に読める一冊もありますよと。
あくまで個々の話の濃さとしては上の二冊を別に読んでもらったほうがいいかな、と思いますが…。



この居島さんって人は本職お笑い芸人なんですけど、非常に頭の切れる人で。
飄々とした語り口でするっと話の中に巻き込んで、いつの間にか腑の凍るようなオチに叩き落とす。
語り口の妙を感じる技巧の光る一冊。



これはまた個性派な書き手で、この本はこのムラシタさんが60余年の半生の中で聞いたり体験したりして来た変な出来事を原稿にして送ってきたものだっていうんですよね。
まぁ怖けりゃそれで真偽は問わないってのがこの世界のしきたりなんですけど、これはなかなかどうして。
クラシックな怪談話の間に、聞いたこともないような魔が潜んでますね。100の話を収録した百物語形式というのも気が利いてる。



正直、映画評論家としての…ていうか怪談作家として以外の…この人は嫌いなんですけど、そのマイナスな印象を持っても、唸らされた本。
3冊出てますがどれもおすすめ。
心霊でもない、人間怖いでもない、名状しがたい怖い話。
この一冊に関して言えば構成も見事で、そこまでさんざ異常な世界を案内しておいてのラストで、著者の体験へのあるリアクションの描写、それが肌が粟立つような凄味がある。



外薗さんて有名なホラー漫画家ですね。その人の集めた怖い話。
何かワザとらしくなるギリギリのラインというか、これはねえだろう、の線が見えそうな微妙なとこを突いている感じ。
連作っぽいのはちょっと勢いを削ぐのでどうかという感じもあるけど、"黒い人"と題された一連のシリーズは迫力があります。



最後にこれは完全に人間、狂気寄りの本。
とにかくキチ×イさんこんにちわ、だけでは済まず、おはようからおやすみまで夢の中までおかしい人だらけ。
普通に全然ありえる話が書いてあるだけに、読んでて非常に疲れます。ゲッソリします。
後味の悪さも凄いものがあるので特に精神の強い人におすすめ。




番外編で、これはホラー映画の脚本家の小中さんが自身のホラー演出術をまとめた有名な"小中理論"についての本。
ちょっと反論したい箇所もあるけどそれ以上に示唆が多いし、記事の中で書いた"無縁怪談"みたいな気付きもここからですし…。
僕は恐怖って何ぞや?みたいなことにも当然興味があるんですけど、そういう向きで考えてみたい時とかおすすめ。
悪魔祓いみたいな意味もあり。







あとこれある種の怪談本の文脈上で紹介すべきだろうと。
ホラーマンガって正直九分九厘のものはまるで怖いと感じられないんだけど、この人のマンガだけは例外ですね。
マンガの中で、って話でなく、ホラー全般で見ても、ここまでおぞましいものはそこまで無いでしょう。
正体不明のものに、ただ偶然そこに居合わせた為に遭遇してしまう…どこから来て何をもたらすのか明示されないまま終わっていくきわめて短いエピソード達。
上で書いた我妻怪談をマンガにしたらこうなるだろうなという感じでもある。
これは必読でしょうと。


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…とそんな感じで怖い本について書いてみましたが…。
最近怪談を語る人の音源とかも聴いていて、レジェンド・稲川さんの音源とかも普通にitunesストアで買えるんで、そういうの聴いたりとか。
やっぱ語り口で演出される怖さってありますし、怪談社さんとかそっちにパラメータ振った感じの人達もいたりして…。
なんか今年の夏はライブで見たいなーとかも思ってるんですが。
何より聴くものの利点は、目閉じてても暗くても聴けるということですよね。
ささやき彼女夏子とか、芹連泊とか、安眠音声でも怪談の節は怖いしなあ…
今余分な話しましたけど、まぁ上で紹介してきた本はどれもファミ通ばりに伊達さん印の大丈夫な大丈夫じゃない怖い本なので楽しめるはず。
夏のお供にどうぞ。
誰か怪談一緒に聴きに行ってくれる人いませんかね~~~


あとネット怪談でも自己責任系(「読むのは自己責任でお願いします」)とか流行ってる通りで霊障みたいな話とか怪談につきものですけど、僕も一晩でうっかり百話以上読んじゃうような時はありますがそこまで困ったことはないので多分大丈夫…まぁもともと霊感も全くないんですけど。
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