Francisco Meirino 『Riots』 Nicolas Beriner & Francisco Meirino 『Fiction』

『モンスターズ/新種襲来』という映画を観ました。
前作の『モンスターズ』という映画があって、これがとても良かったので…。確か今はなき渋谷のシアターNで観たのだったかな。
前作は正体不明の巨大モンスターが人類の生存圏を脅かし始めて数年…というのが舞台で、モンスターの跋扈する危険地帯と化したメキシコをアメリカ国境に向かって歩いていく主人公2人を追った、怪獣映画…と思わせてのロードムービーだったんですけど。
今回も変化球で来たなと。
今回はやはり危険地帯と化している中東の砂漠が舞台。そこでモンスターを殺すために米軍が空爆を繰り返していて、主人公たちは経済破綻したデトロイトに住む若者たちなんだけど、希望のない地元にモンスター狩りの武勇伝を持ち帰ろうと志願兵になって砂漠の戦場へ向かっていく。
で、モンスター殺してるんだから感謝されるだろうと思って行くと、現実には空爆の巻き添えで民間人が被害を受けていて、そのために現地の武装勢力やテロ組織の反感を買ってしまっている。主人公たちはこう言われる。
「モンスターは、遭遇したなら殺せ。しかしお前らの任務は武装勢力を抑え込むこと」
モンスターを狩って沸き立っていればこうどやされる。
「なぜ民間人に注意を払わなかった?自爆されたらどうする?ふざけるなよ。これは本物の戦争だぞ」
『ハート・ロッカー』『ジャーヘッド』あたりとそっくりなシーンがいくつも登場するのも偶然ではないだろうな。
何か正体の分からない巨悪というものがあって、それを打倒するという大義を背負って戦場に行けば、そこでは大義と何の関係もない戦いと、何と、何の為に戦っているのか?という究極的な虚無が待ち受けている…ここでもうモンスターがなんの暗喩なのかははっきりしますけど、この映画はそれだけでは終わらない。終盤、ああ、やっぱりこれはあの映画の続編だったんだな、と思わされる。
自分の中ではギャレス版ゴジラ越えというか、近年ここまで背骨の入った怪獣映画はなかったんじゃないかなと。
超良かったです、おすすめ。


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ええーっと聴いた音楽の感想を書いていくつもりが映画の話をがっつりしてしまい何だかよく分からなくなりましたけどまぁ音楽の話もちゃんとします…。

今回取り上げるやつはちょっと入手難しいかなーと思ってスルーしかけてたんですけど、レーベルでセット売り&ペイパルで払えて普通に日本に送ってくれるというので。買ってみた。
レーベルはノイズアーティストGerritt WittmerのMisanthropic Agenda。

riots.jpg
この作家については何度も書いてますけど、無機質な機械音を組み合わせたコンクレート、音響彫刻といった作風を得意とするスイスのFrancisco Meirino フランシスコ・メイリノ。
この人、リリースはCDの時が多くて、カセットで出すときには大抵普段と違った作風のものを作ってくるんだけど、今回もそれ。
タイトルの"Riots"というのは暴動という意味。スイスとフランスで'12年から'14年に渡ってフィールドレコーディングされたものが素材に使われている。スイスとフランスでこの時期といえば、ニュースでこちらでも流れていたし、覚えている人も多いのでは?確かパリとチューリッヒ。つまり…暴動の現場をフィールドレコーディングしたものを素材として作られたのがこのカセット。
A面の"Riots"がそれで、B面の"MBB BK117 - F/A18 - Agusta A109"は戦闘機・爆撃機の出す音をベースに作られたとのこと。どちらもクセナキスの作った音響作成用コンピューターUPICを用いて編集されている。
やはり聴きものはA面で、激しい銃声、悲鳴に怒声、大量の足音、装甲車の物々しい走行音やら、現場の混沌とした音場が生々しく展開されるハードな音響。大きな音量で聴いていると怖さすら感じさせる。暴力的な中断/隔絶を経て再び音の坩堝の中に叩きこまれるような強引な展開もちょっと他作品では聴かれない感じ。
政治的な意味込みということでも暴力性ということでもそうだけど、記録物的な特性というか、"音楽作品"という枠組みからはみ出てしまう部分というか、それを考えた時に、これがカセットで出てるいうことのプロダクション的な意図を感じるんだよな。
カセットテープの禍々しさというか…全然違う話かもしれないけど、ホラー映画とかよく見るという立場からテープっていう媒体の持つ怖さみたいなのを感じることがある…そのモノ的な存在感込みの作品でもあると思うし、これがCDで出ててもちょっと違うだろうなと。
パッケージのシンプルなカッコ良さもあるし、これは聴くなら是非カセットで!と薦めたい作品。


fiction.jpg
これかっこいい盤面デザインだよな。帯状のペイントが入ってる。
そんなわけでこちらはそのメイリノとカナダのNicolas Berinier ニコラス・ベルニール(で合ってるよな…?)の共作LP。この人については検索したらすぐ出てきたAbletonのサイト上のインタビューで作品なんかも紹介されててある程度は分かる。他に出てくる写真なんか見ても、かなり大掛かりな装置を使ったサウンドアートの実験を手掛けてるようだ。
LPはA面に共作の音源、B面にそれぞれのソロ。しかし同じ素材を使ってるのか?と思うくらい統一感のある内容。メイリノって音の触感としては無機質だけど展開には動きがある作家だと思ってて、そっからするとちょっと意外な位ここでは展開も無機質に寄せている。
持続&反復の機械駆動音ベース、現象記録というか、音楽的な起伏を排したつくり。微細な振動を繰り返す音の表情のなさは…偶々なのか作家の意図するところなのか、先ほどに引き続きフォーマットの話になるけど…LPが"アナログ"と呼ばれていることについて想像を巡らさせる。
ペイントの入った盤面が回転する様子を眺めながら音を聴いていると、そのビジュアルとサウンドがぴったり重なってくる。あ、この音はここから発されているんだ。それはまさにベルニールの大掛かりなサウンドアートの縮小版のように…。いや、このペイント、やっぱりそういう意図でこんな形に入れてあるんだろうな。だからこのLP聴くときは、ぜひ回転する盤面を眺めながら聴いてみてね。

てなわけで、ベルニールおじさんのサウンドアート実験のとても面白い映像いくつか見つかったので貼っときますね~




frequencies (synthetic variations) | nicolas bernier from Nicolas Bernier on Vimeo.





la chambre des machines | bernier + messier from Nicolas Bernier on Vimeo.





frequencies (a) | nicolas bernier from Nicolas Bernier on Vimeo.





l'usure du clocher | nicolas bernier from Nicolas Bernier on Vimeo.





MACHINE _ VARIATION from Martin Messier on Vimeo.




ってかboldのメンバーだったのね…


BOLD :: audio art ensemble from PERTE DE SIGNAL on Vimeo.

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