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The Pitch 『Frozen Orchestra (Amsterdam)』

『アンフレンデッド』という映画を観たのですけどこれメチャ面白かったですねハイ。
冒頭で流れるユニバーサルのロゴがもうバグりまくっててのけぞるんですけど映画の全体もそんな調子でノイズに満ちていて。
映画はひとつのパソコンのデスクトップ上だけで展開されて、1時間半そのデスクトップを眺めることになるという相当に特殊なものなんだけど…。
とっ散らかってるんだねこのデスクトップが。ブラウザやらメーラーやらスカイプやら音楽プレイヤーやら…。
しかもそれらが順列付けされることなく配置されていて、視線誘導やフォーカスといったものがかなりの部分無化される。
SNSに投稿される直前に打ち直される文字列、躊躇いさ迷うポインタ、映像にかかる通信エラーノイズ、読み込みによる不意の時間切断。
本来完成した映像の中では切除されているものが、逆に画面を埋め尽くしている。
既存の映画のセオリーみたいなものを悉く無視することで、先鋭的なノイズ映画/ノイズホラーを作り上げている。
これはおすすめ。


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thepitch.jpg
ちょっと目に痛い写真になってしまった
手に入れたい方はart into life屋さんに相談してみて下さい


毎年夏になると折よく季節の風を感じさせるようなアンビエントやドローンの音源が手元にやって来るんだけど、今年はコレということで。

このブログでもフランシス・ダッチのコントラバスドローン作を以前取り上げた、Sofa Musicから2015年リリースの音源。
これもLPがあるのかな?構成はサイドAとサイドBに分かれそれぞれ20分程。
編成としてはこのThe Pitchなるアンサンブルがもともと4人で、今回そこに6人のゲストを迎えての10人編成となる。

The Pitch:
Boris Baltschun - electric pump organ
Koen Nutters - bass
Morten J. Olsen - vibraphone
Michael Thieke - clarinet

with:
Lucio Capace - bass clarinet
Johnny Chang - violin
Robin Hayward - tuba
Chris Heenan - contrabass clarinet
Okkyung Lee - cello
Valerio Tricoli - revox

正直、Morten J. Orsen モーテン・J・オルセン(この人は普段はドラマーだ)、Okkyung Lee イ・オッキョン、それにPANからも出してた音響彫刻家Valerio Tricoli ヴァレリオ・トリコリ位しか知らないんだけど、聴いてみればそういうパーソナルがどうでもいいような、個が全体に融和してしまう極上のドローン物件であった。
あ、そうそう、revoxってのは多くの人が何ぞや?となると思うので説明しとくとアナログなオープンテープリールデッキですねこれは。この手のものを製造しているメーカーの代表がこのrevoxで、代名詞的にこの機材もそう呼ばれていると。


かけ始めるとすぐにストリングス群の層状に連なった持続音がやって来る。低音域を担う管が混ざると音は俄然厚みを増してくる。
音の全体を統括しているように聴こえるのは電動式オルガン。構造上ほぼ永続的な持続音を発することを可能としながらも、オルガン独特のトーンの味、震えるような揺らぎと濁りが、他のいくつもの楽器の発する音を受け容れている。
ちなみに電気を使ったオルガンにはかなりの分類があって、電子回路から音を発するようないわゆる電子オルガンから、音源には真空管を用いたアナログとの相の子的なもの、ポンプへの空気をモーターで送るという最も原始的なタイプ…など、など、ここに挙げた以外にも無数のバリエーションがある。Electric Pump Organという表記から見るとここで用いられているのは最後に挙げたタイプ、ポンプを用いていて機構だけ電動式にしたもの…と思われるので、限りなくフルアコースティックに近い、アナログなサウンドのアンサンブルと言えるだろうな。
やはりこうしたドローンタイプの合奏ものは多数の生楽器が出すそれぞれ異なる音が重なって全体のトーンが生まれる…みたいな構造、それが生む深みというか音の奥行きが聴きどころと思っていて。
ここでの演奏、それぞれの楽器は延々と持続音を発しているだけなんだけど、そうした狙いあってのことなのか、徐々に徐々に音のバランスが変化する。どれがどの楽器だという判断は難しいものの、トーンは一定ではなくて、限りなくスローなペースで遷移していく。
その変化が音を単なる太い持続音とかけ離れた、大いに音楽的なものとして聴かせているという感じ。

アコースティックな楽器の発する持続音というのは厳密には持続音ではない。音の継ぎ目を出来る限りぼやかしつつ周期的にロングトーンを発するというものだけど、それぞれの楽器が各自のペースで"息継ぎ"しつつ、音を継いでいく過程で音全体に浮き沈み、うねりが現れる。ある音域が引っ込んでいったり、タイミング的に浮き上がるように強調されるものがあったり等。
やっぱりこのアンサンブルというのは、そういう生ドローンの面白さなのだよな。ほぼアコースティックな編成で行うことで、その持続音としては欠けた部分が強調されている。それが響きに音楽的な起伏、豊かさをもたらすということでもある。
耳を叩くような箇所も皆無で、音量上げても心地よく、それでいて音の深みへ分け入るように新しい響きを発見できる。特に包むような低域が綺麗に録られていて心地いい録音。
これは夏らしいドローン、夏ビエントかなと。


続きにライヴ映像など








こういうとこで聴いたらめっちゃ気持ちよさそうだ


モスクワで、現地のミュージシャンとともに演奏したもの

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