Raoul Björkenheim eCsTaSy 『eCsTaSy』 『Out of the Blue』



ポストパンクがしたくてセッションしてました


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ecstasy.jpg
Ecstasy
Out of the Blue

Raoul Björkenheim - electric guitar
Pauli Lyytinen - saxohpones,mey,kalimba
Jori Huhtala - contrabass
Markku Ounaskari - drums

このブログを始めて最初に感想書いたCDがBoxの『Studio 1』で、そこに参加していたのがこのRaoul Björkenheim ラオル・ビヨルケンハイムだから、結構長い付き合いになる。
そんなラオルの久々のリーダーバンド作がこちらの二枚。ちょっと前にもラオル参加作を出していたレーベルcuneiformから。

以前にやっていたScorch Trioでは基本的に一瞬のフレーズ、リフのようなテーマがあってほぼ即興という印象だったから、そうしたジャズを演奏してくるのかと思いきやまた違う方向性。
ぐっとスタンダードなジャズの話法に寄せて、きっちり書かれたテーマを演奏して、パートも個々の役割をこなしている。
ラオルの変態ギターを心ゆくまで堪能できて、それがハイエナジーな筋肉系ジャズのゴリゴリな演奏に乗っているという感じ。
一枚目の『eCsTaSy』はゴリゴリな要素に、二枚目の『Out of the Blue』は変態な要素に若干寄ったような印象。
それぞれ8曲、9曲入って40分ちょいの尺、基本ラオルの作曲ながらバンド全体で作られたものもいくつか入っている。

『eCsTaSy』冒頭の"El Pueblo Unido"、シンフォニックかつカラッとして明快に歌うメロディをサックスとギターのユニゾンでやって来るので意表を突かれる。中間部のソロパートはギターに充てられていて、自由な節回しで歌いまくる。続く"Sos"はソリッドでパンキッシュなテーマ部にソロはサックスとベースがとっていて、ギターはサポート的な立ち位置。真逆のやり方を見せることで「ここでは色々手広くやりますよ」というのを聴かせているわけだ。

ラオル以外のメンバーは名前聞いたことがなくて、Scorch Trioはおなじみのシングのリズム体だったことからもまた意外な部分なんだよね。しかしこの人達、単なる無名ジシャンというわけでなく、ラオルが背中を任せるも納得の、と言うべきか、パッと聴きだけでかなりの腕利きと分かる。
それぞれがラオル相手に一歩も引かずソロをとっていくし、後ろに回ってもかなり主張する演奏をしている。なんというかみんな暴れん坊。行儀悪くも吼えて打ち付けるような演奏でゴリゴリに煽っていくスタイル。やっぱベースが非常によくて、野太い音色かつ強めのアタックでバッチンバッチンいっている。"As Luck Would Have It"という曲がいきなりベースソロで始まり、曲中ウッベに似つかわしくないようなマッシヴなリフを弾きまくり、煽られたラオルのギターも脳天にくるえげつないソロをカマすというサイコーな化学反応になっている。

"Subterrancan Samba"では原型を留めぬまでに変調された電子音ギターと強迫系不協和ベースの変態的な仕上がりだけど、全体としてはストレートにプログレ~フリーロックな要素含みつつバキバキ進んでいくフリー気味ジャズで聴けるのがこの一枚目かな。
クライマックスの"The Sky is Ruby"はUMOというビックバンドともに録ったその名も『The Sky Is Ruby』という作品にも収められてい
た曲で、これがやたらめったらカッコいい。ここで小編成で再び聴くことができたのも、ラオルのファンとして嬉しく。


『Out of the Blue』でまた異なった内容と思わせてくるのが冒頭の"Heads & Tales"。音数を絞ってダークなメロディをギターが担うテーマ部、ソロパートにおいてはほぼインプロ的な内容のリズムを持たないバッキング。ここではサックスがキレまくっており、引っ張られるようにリズム体もかなり熱の入った演奏を見せてくれる。
"A Fly in the House of Love"がまたそれまでになかったタイプの演奏で興味深い。弓弾きのベース、持続音を継いでいくような管とギターのフレーズ交換に始まり、ノイズ的な音色、調を感じさせないモチーフ、全体が冷めたテンションで展開するディープな音響ジャズ。

"Quintrille"、"Uptown"と純粋にカルテットの演奏を楽しめる曲もあるけど、全体のトーンとしてはやはりダークなアルバムという感じがする。前衛的な面の強く出た曲の中でも、"You Never Know"あたりはかなり崩した演奏と高いテンションがひとつになっていて特に良いな。

ラスト二曲がまた面白くて、"Roller Coaster"はハイスピード&ハイテクニックなテーマ部とムチャクチャやってる即興パートのコントラストで楽しませてくれる。ベース~サックス~ギターとソロを回していく展開が短い中に凝集されていて、アルバムから一曲聴かすならこれという感じもある。
"Zebra Dreams"は10分の長尺にわたる曲なのだけど、ミュートした弦のアタックだけのミニマルな演奏が延々続く箇所とか、現音的な演奏がところどころあって、全体がかなり細かく書かれた曲なのかなと想像させる。こういう曲をラストに持ってきているあたりも前作と違ったコンセプトを匂わせるな。

一枚目はフリー要素の混じったハイエナジーなプログレジャズとして、二枚目はよりフリー強まるダークなアヴァンギャルドジャズとして、違った内容で楽しめる二枚かなと。ラオル先生の変態ギターは変わらない、というか、これがこの音楽の同一性を保っているというか…。民族音楽のバンドと一緒にやってたこともあったと思うけど、トライバルな、かつ無国籍な、奇妙な音使いであり、ジャズにそれやるか?というメタリックな音作りであり、電子音的な変態エフェクトであり、ビブラートみたいな揺らし方の妙味であり、この他にはちょっとないような…うーんやっぱこの人には変態というのがしっくり来るのですね。一般にこう変態演奏者みたいに言われる人ってそうかあ?みたいなのも多いけど、この人は自信を持って送り出せる変態といいますか。
アルバム単位でみるとやってること自体は様変わりしてるがラオル先生のギター好きな人にはご褒美でしかないバンドでしょう。良い。


続きにライヴ映像など




カッコ良すぎである






ってかサックスの人のトリオもめっちゃカッコいいやんけ


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