Frank Rosaly 『Malo』 Rene Aquarius 『Blight』 Ingar Zach 『Le Stanze』

仕事と仕事と仕事の合間に映画観てるだけの生活しててブログ書いてね~~~っ
って感じなのですが今日は映画についても多少書くし三本立てなので散漫な印象を与える内容になります


まず『ブレア・ウィッチ』、当然観てきたのですが。
素晴らしいです、これ。
ヴィンガード&バレットの本領発揮と言ったところで、きわめてPOV/ファウンドフッテージホラーのオリジネイターのひとつを題材に、ジャンルの構造を自覚的に引き受けつつ、愛情の籠もった批評眼でニュースタンダード…ポストファウンドフッテージ/POVとでもいうべきものの…を撮り上げてきたなと。
youtube上で映像が発見されるオープニングから、ドローン、ヘッドセット、GoPro…と大量のカメラを駆使してハイファイな(それこそ通常の劇映画と何ら変わらない)映像で映画は始まるわけだけど…。
そのカメラがどんどん減っていくのだよね。破損し、不調を来たし、映像をノイズに吞み込まれながら…。映画のカメラを絶対安全な神の目という審級から引きずり降ろしたのがこのジャンルだったわけだけど、その過程をもう一度なぞる"カメラのサバイバルゲーム"、それがこの映画の核かなと。
次第に視界が限られていく閉塞、カットは不安定に長くならざるを得なくなり、そこにダメ押しで前景化するあるルール、これがもうまさに、分かってるなあこいつらは、という感じで。


もひとつ、これはDVD借りてきて見て非常に印象に残った今年前半の映画。
『ヒメアノ~ル』、原作を出てた当時リアルタイムで買って読んでいたので話は分かってたんだけど、それでもこれは、ね。
印象的すぎるタイトル出るタイミングであるとか、重く鈍く生っぽい暴力描写であるとか、演出、映画として優れてるってのはまずあるものの…それが第二の評価点になってしまうレベルで、ある役者がスゴすぎまして。
森田剛ですねはい。
最初、えっ?同じ名前の別の人かな?と思ったんだけど、しっかりV6の森田クンでありました。愛なんだ、WAになって踊ろう。
でこの人がね、アイドルにしては頑張ってんじゃん、とかじゃなく、俳優として文句のつけようがない、100点満点の演技を見せております。
まあ撲殺射殺刺殺に強姦挙句の果てに死体をオカズに自慰をキメるぶっ壊れ男の役なのですが…(これジャニーズ事務所大丈夫?)。
まあこの人同じV6の岡田と比べて表で見なくなったなと思っていたら、ずっと舞台で研鑽を積み続けて海外でも絶賛されたりしてたようですね。
いやでも見たらこれがホント凄いんだ。目の感じ、喋り方、立ち姿、歩き方、そういう存在感からの演技で、あ、こいつは恐い、って思わせる。しかもそれは遠い怖さじゃない。ニュースなんかで凶悪犯が警察車両で移送されてく映像とか映るけど、あの眼を完コピしちゃってる。
その生きながら死んでる感じ、心がバラバラに壊れたあとカラカラに乾いて血も絞り切ったような感じ、兇人、としか例えようがないような。もうほんとに、こいつを見てくれという感じであります。


あと~~~オタクなんで~~~『劇場版 艦これ』観てきたんですけど~~。
これメッチャ良かったですねハイ…。テレビ版そこまで真剣に見てたわけではなくて(それでも平均以上に面白かったけど)…半笑いでフラッと見に行ったらガツッとやられた感じで。
映画の大部分が朝か夜かのシーンなんだけど、それは光と影の制御で画作りをするためで。この部分は実写ではどうしても苦手で、逆にアニメの強いところなんだけど、今年の国産アニメ映画の中にあてはめてみると新鮮なんだよね。
というのは、君の名は。的なフォトリアルなCG加工前提のビジュアルにも、この世界の片隅に的なアニメらしい省略のビジュアルにも、こういう手書きの陰影での表情付けは馴染まないからで。そこにレイヤー的にCG影も組み合わせ、デザインとしては"艦娘"たちが持つ無骨な直線と丸みを帯びた曲線の交差をそこに重ね合わせるようにして、印象的な画を幾つも見せてくる。
ストーリーテリングとしては、テレビ版の非常に良かった要素として、あくまで背景として描かれたようなループもの的な意匠。それが更に掘り下げられている。例えばその手のゲームでプレイヤーが特権的なのは、ゲームの外の視点から前の試行での失敗を記憶しているから。
でもそれは、理屈としてなぜ失敗したかを知っているからではなくて、それが悲惨な失敗だったということを覚えているから…プレイヤーの選択がゲームシステムの中に回収され得ないのは、そこに繰り返すことに関する感情があるからだよねと。
で、これは、単にそのルール的な話だけでなくて、原作ゲームの…無数の試行を要求する…ゲームシステム、物語としての構造、そして実に分かり易い記号でキャラクタライズされた"艦娘"たちの『Thomas was Alone』的なメタ物語として、…そして何より、このゲームが何をモチーフにしているかという部分に強くかかっている。"覚えていて"、"忘れないで"と繰り返されるエンディングテーマの歌詞もかなり強い意図がありますよね。
その、私達は覚えていられる、というのがこの作品なのではないですかね。それは劇中で花が印象的に使われるふたつのシーンを見て思ったんだけど。
まあそんなんでテレビ版のカレーネタ引き継がれてるとか細かいとこも含めてとても良かったです。



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もう充分書いたし今日はもういいじゃんって感じなんですけどここから第二部です。
実験系ドラマー/パーカッショニストソロ作三本立て。好きなんですよね…ええ…。
どの作品もart into life屋さんで買えるので検索してみてね


Frank Rosaly 『Malo』
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ジャケキモすぎ

Scorch Trioなんかでも叩いていたFrank Rosalyは実はソロでもかなり面白い演奏をするドラマー。

こーんな感じにノイズエレクトロニクスと角ばった無骨なドラミングの独特な叩きをやっている

一曲目の"Basura"では一定のノリを持たない蛇行したリズムのドラムソロを展開していて、そこに同期するようにノイズが纏わりつく…というような音なのだけど、次の"Malo"、14分に及ぶ演奏で一気に様子が変わる。
くぐもったランダムなキック、ディレイの残響音だけを強調したようなシンバルの擦過音、エフェクト全開にして原音の名残り僅か。全体を覆うのはロウな電子音によるドローンめいた音響で、ドラムスの痕跡はそうと言われなければ気付かない程。
続く"iAK!"でまた全く別方向の演奏、今度は金物のみのミニマル&トライバルなパターン。
"Te Cuidas Mucho, Miguel"では味付け程度の電子音を含むものの、ここに来てのほぼ純粋なドラムソロで、意外と細かく音を詰め込みながら抑揚に富んだ演奏を聴かせている。
ラストの"10Hz"は自身のドラミングを素材に構成したカットアップのようで、不意のループ、急停止、逆再生などを含みながら高密度かつ高速で様々な打楽器音が行き来する。
曲ごとにやる事をキッチリ決めて構成してきた感じだろうか?曲ごとにガラッと変わる音で単なるドラマーのソロ作と思わせない充実の内容。


Rane Aquarius 『Bright』
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Rane Aquarius レーン・アクアリウス、このドラマーの名前は結構変な音楽を聴く人でもご存じない事が多いのでは?という気がするな。
Dead Neanderthals デッド・ネアンデルタールズというジャズバンドのドラム叩いてる人です

なんかこういうバンド

バンドの新作LPが良かったのでこれも買ってみたらなかなか面白い内容。
"I"~"VIII"と曲タイトルは番号振っただけのものなのだけど、そうしているだけあって統一感のある音になっている。
全編重くたちこめるようなダークな持続音が鳴っており、そこに儀式調のトライバルパターンが絡むという感じ。
シンバルもゴォォ―――ッと音が広がっていったりとか。
ディープな音響処理がすばらしくズブズブと沈んでいくような感覚が味わえる。
特に実験、即興系のドラマーのソロ作なんていうと奇天烈な技術を色々見せてくる感じなのかな?と思ってしまうけど、この人は作品の中で表現したい世界観があって、そのために必要な演奏をしているのかなと。
ダークなドローンとか好きな人にはかなりヒットするであろう音だ。
タイトルとはかけ離れた内容だしバンドでやっていることとも全く違うしで、意表を突かれる感じではあったけど、音響作品としてとても好み。
前回更新で紹介したPhurpaとセットで召し上がるのも良いかと。


Ingar Zach 『Le Stanze』
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ミニマル微音即興グループDans Les Arbres ダン・レゼラブルのパーカッショニストIngar Zach インガー・ザックのソロ作、ドローン/ミニマル系の優れたリリースを多く持つSOFAから。
この人、コンサートドラムをマイクのフィードバックで振動させてそれで金物鳴らしたりとか、特殊すぎる奏法がトレードマークなのだが、今回のソロもそうした方法で制作されていると思しき音。
細かくいくつもの音が寸分違わぬリズムを刻んでミニマルなビートを作り出す様子は、どうも人力というよりは自動演奏系の仕組みを何か作り上げて用いているのではないかな。
そうした機械的なビートの合間にはこれも彼らしい静寂を多くとったパートが挟まれていて、その部分では微音中心の繊細な演奏をしている。合間というか、ビート系の長めの曲二曲と音響系の短めの曲二曲という構成なのだが…。そうして見るとこれも先に紹介した二枚と同じくコンセプトが先にあるような演奏といえて、打楽器奏者のソロということでざっくりまとめて紹介、と思いきや記事内容的にも一本の串が通ってる感じに。
この盤は今回紹介した中では最も加工感がない音ではあるけど、これもまた別方向で相当変な内容かなと。
全体通して実に打楽器奏者のソロらしからぬ、しかしこの演奏家の作品と言われるとああそうだろうなという、独自すぎる一作。


文字数的には映画について書いてるほうが多分多いというコレどうなんだ的な更新になりましたがこのへんで…
年末の挨拶の前にもう一回くらい更新できるかな~
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