Zach Rowden 『LIVE [SOLO]』 『BONE FOLDER』 Henry Birdsey 『G R A I N / lying to the congregation』 Bordreuil / Rowden 『Hollow』

『彼女がその名を知らない鳥たち』という映画観たのですが、とても良かった。
『凶悪』越えで白石監督作でいちばん好きな映画になったかも。
登場人物はみな人として欠けがある…というか言ってしまえばクズなのだが、どうせクズどもはこうなるでしょう…と思って見ていると意表を突かれる。こちらの意地の悪い見方よりもずっと迷いなく美しい方向へ物語は進んでいくのですよね。
人間の業というか魂というか、そういう部分までいって肯定する、みたいなところを感じる。
抑制された劇伴も心地よく、現実の時間空間を飛び越えていくような幾つかの場面には映画の喜びがあるし、何より阿部サダヲの演技が本当に素晴らしい。今まで自分の趣味と被らず全然出ている映画を観てなかったので、尚更心を奪われた。


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Zach Rowden ザック・ローデンというベーシストの音楽を最近よく聴いている。
ISSUE project roomのツイッターで知ってベースでソロやる人というので気になり調べてみたらすごく良い、かつなんか自分と同じようなことやってたのもあり幾つか音源購入したという流れ。
調べているうちに知ったのだけどマイケル・フォスターのゴーストでベース弾いたりもしているのね。



『LIVE [SOLO]』
タイトルの通りのライヴ音源で、20分ほどのものを2テイク収録している。
この人はベーシストとしては縦と横両方いけるいわゆる両刀で、今回の音源は"Electric"、"Upright"と題してそれぞれの演奏を収めている。
若干脱線するけどこのアップライトっていう言い方は普段あまりしないよな。コントラバス、ウッドベース、ダブルベース、いろんな言い方があるけど、何となくジャンルで使う言葉が違うようなものではっきりしないところではあるといえ。

このライヴ音源、今年の5月と7月に録音されているもので、この人がどんな演奏家か知るにはとりあえず手っ取り早いのではないかと。
まずアップライトのほうを聴いてみると、刻みから始まりもっと音を伸ばしたところまで少しづつ変化していくものの基本はミニマル。
特徴的なのは音のハードさ。ゴリゴリのノイジーな弓使いで生み出される音響はかなりノイズ寄りで、クラシック由来(と他の音源の説明書きにあった)とか言われても驚く。
ほぼ低音域だけ用いた演奏にライヴの空気の感じも相俟って、ダーク極まりない内容。
エレクトリックのほうはもっと即興の要素を感じさせる。何か使って弦を擦っているのだと思うが鋭い金属音のまばらなノイズ。たぶん歪みを用いていて高音が時たま微妙にハウったりバキッと鋭い音が差し込まれたりして安心できない。
中盤からは歪みを強くして音の余韻/倍音で音響を操作するドゥームな演奏。テンションが高くなるわけではないのだが音作りがかなり硬めなのもありやはりノイズ演奏という感じがする。



『BONE FOLDER』
こちらはもともとは今年の4月にカセットで出していたもののようで、中身はエレクトリックのソロ。
3、4分のトラックが3つに10分のものがひとつという構成。
やはり通常のベースギター演奏とはかけ離れたものではあるのだが、"ノイズ"として考えるならそのアプローチはプリミティヴだ。
別の言い方をすると、"演奏"らしい"演奏"で、楽器のあり方、性質を全く無視したようなものではない。
特殊なノイズエレクトロニクスを通したりとかそういうことはしていなくて、シンプルな歪みでブーストしたその音は充分にベース的だと言えると思う。
やはり"CONCRETED"と題された最後の長い演奏がメイン。
聴いてて思うけど、音の残響部分、倍音の偶発的な絡みによって生まれる揺れを意識しているのだろうな。あえてラフに叩き付けるようにピッキングすることで発音の度に異なる余韻のうねりが発生している。
コントラバスの実験的なソロ作というのはわりと出るのだけど、こういうエレクトリックベースを用いた独特のソロ演奏というのを継続的に取り組んで音源化する人って少ないのだよね。
この音源はこの人のそんな部分をよく抽出しているかと。


Henry Birdsey 『G R A I N / lying to the congregation』

この音源はHenry Birdsey(この後ろの名前なんて読むんですかね)というボルティモアのコンポーザーの楽曲をライヴ演奏したもの。
で編成が5本のコントラバス。
ここからもう想像つくようにヘヴィ極まりない地獄のようなチェンバードローン。
40分の尺が全体で6つのパートに分かれており確かに展開はあるのだが終始重くダークなところは変わらず。
バダラメンティ的なヒステリックな動きを見せる箇所などではホラー映画のサントラのようだなとも思ったり。
それまで虚無的な雰囲気だったのがクライマックスのパートでは少しづつ綺麗なハーモニーが浮かび上がってくる。
同じ低音楽器が5本という編成からこうした音響が生まれるに至るプロセスを描く様な展開を全体から読み取るなら、なかなか手の込んだ楽曲だなあとも。
今回紹介している音源の中では一番音楽的だとも言えるだろう。
でこういう重暗チェンバードローン、個人的にもかなり好きだったりする。

作曲者のヘンリーさんはこれにギターで参加もしているけどやはりEボウを用いたドローン演奏。



Bordreuil / Rowden 『Hollow』
こちらはNo Rent Recordsなるレーベルからやはり今年の春にカセットで出たものらしい。
ローデンはコントラバスを用いていて、Leila Bordreuil レイラ・ボードリュールというチェリストとのセッション作。
二人は2015年にフリージャズのコンサートで初めて会い、その際にローデンがマンイズザバスタードのTシャツを着ていたのが打ち解けるきっかけ、とかどうでもいい情報も書いてあるな。
短い5つの演奏で25分とタイトな内容。
しかしこれがムチャクチャカッコ良い。今回買った中で一番好きかも。
金切り声のようなバキバキの音のぶつかり合いから持続音、物音的なアブストラクトな演奏まで幅広いが、どれもおしなべてパンキッシュでスリリング。
ギコギコと錆びたノコギリで無理矢理弾く様な楽器に悪そうなトーン、もう大好きなやつ。
こういうストリングスの無茶な使い方している音源ってやっぱいいもんですね。


このチェロの人マイケル・フォスターとやってる映像出てきたけど素晴らしいっすな。
二人ともアンプリファイド。


やっぱベースって面白いですね
こう自分もいろいろ試しましたけど
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