2017年ベスト等

※12/30
マンガについて書いた箇所に大幅加筆しました



二日目のカレーを食べています。
えへへ


ブログ書かな過ぎて大丈夫か?って感じですが例によって年間ベスト等を書いていきます。
思った順でアドリブ的に進めていきますので何について書くかも今ちょっとまだ分かっていません ご了承ください



続きで



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それじゃ行くぜ!


え~っとまず最初に思ったのがコレなんで、映画の話から!
今年は休みの日とか大体映画館に居た気がする。あと夜ネフリで観たりなど。
昨年が鑑賞数100本のところ、今年のリストを数えましたら170本と。
これだけ標本数があると、どんなもんかな?と思って調べたのが、邦画は54本、ホラーは51本。
どっちも3分の1近くを占めていて驚き。邦画は昨年位からちゃんと観るようになり、今年は近年の良いと言われているものをさらっていた関係もあるのかな。ホラーは確かに優先して観るんだけどここまでの割合とも思わず。

そんな感じで例年は10本+ベスト選んでるのだが、今年は数が多いんで15本+ベストとさせて下さい。
それから最後に番外編で今年観た旧作についても少し書く。
タイトルだけあげてパッパッといくんで、細かいところは僕のツイログで検索したり各自調べたりしてください。


『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
『ザ・ウォール』
今年は戦争映画がいつになく強かった年で、『ダンケルク』『ハクソー・リッジ』なんかは相当話題になったけど、僕が強く印象に残ったのはこの二本。
どちらも戦争映画としてはかなりイレギュラーな…異色のものというところが共通点かな。
『アイ・イン・ザ・スカイ』はドローンを使って一人のテロリストを暗殺する作戦を描いているのだが、それによって巻き込まれ犠牲が出るかもしれないという状況になり、ドローン暗殺の是非について各方の関係者が延々議論する。戦場における命をめぐる倫理/欺瞞が醜いまでに炙り出されていく。
『ザ・ウォール』はイラク戦争において実在したひとりのスナイパーの物語。この"死の天使"ジュバというスナイパーは、05年から米兵を狙撃する動画を動画サイトにアップし続けた。犠牲は増え続けたがその正体は戦争が終息に向かっていってもついぞ分からず、行方も知れない。主人公の米兵2人は、砂漠の真ん中で瓦礫の壁を挟んでこの狙撃手と対峙することになる。
膠着状況の中、ジュバから無線に通信が入ってくる。
「おまえの人生の物語を聴かせてくれ」…。
主にはサスペンスということになるだろうけど、寓話めいたモチーフが強調されるとともにどこかホラー的な領域にすら踏み込んでいく。


『愚行録』
『三度目の殺人』
『彼女がその名を知らない鳥たち』
邦画部門。
まず『愚行録』、監督はこれが長編デビューということだけど、邦画のルックでは全くない、雑な喩えだけど、『セブン』的でもあるような、異様な映像を作り上げている。ポーランドの映画学校で学んでいた関係で、カメラと撮影後の色調をそっちの人に担当して貰ったとのことで、なるほどなあと。
巨悪を、悪の根源を告発するその語りにおいて、告発者の持つ耐え難いような悪徳、醜さが浮かび上がってくるという、濃密で陰湿な語りのドラマ。
『三度目の殺人』はドキュメンタリー的な視点から日常のドラマを掬い上げることにおいて右に出る者のいない是枝監督の異色作。
自白した殺人犯を弁護するために面会を繰り返す弁護士の話。この面会のシーン(劇中都合七回ある)の描き方がえらく凝っていて、そこに役者の凄まじい演技が重なることで強烈な緊張感を持った映像になっている。
『彼女がその名を知らない鳥たち』、白石監督作で一番好きな映画になったかな。クズたちの純粋な愛について。登場人物たちは本当に人間としてアレな、大きな欠けを抱えた人たちなんだけど、それを業のレベルで肯定しようという、クズに美しい物語を紡がせようという所に震える。ところどころの現実を飛び越えていくような描写もうまくハマっている。
で、この三作を観て改めて思ったのが、いま邦画の役者って本当に優れているよなってこと。
『愚行録』の満島ひかり、『三度目の殺人』の役所広司、『彼女がその名を知らない鳥たち』の阿部サダヲ、どれも映画の神に愛された特別な役者と言いたくなるような名演。


『新感染 ファイナル・エクスプレス』
『ケージ・ダイブ』
ホラー部門。
今年のホラーは本数観たけど、アベレージが高く佳作多い一方で、これは!となるものになかなか当たらず。
その中で、正統派とトリックスターで一作ずつグッと来たものをチョイス。
『新感染』は韓国のゾンビ映画だけど、正統派のホラー・エンタテインメントとして驚異的な完成度。
シチュエーションを徹底的に絞り込んだ上で見せ場を凝縮展開することで、『ワールド・ウォーZ』な隘路にハマらず頭から最後まで身のたっぷり詰まった作品になっている。加えて「自身の命が危ぶまれている状況でも、利他的に振る舞えるか」というヒューマンなテーマをしっかり掘り下げ、ドラマ的にも不足なし。
同監督の前日譚アニメ『ソウル・ステーション』は打って変わってダークな作風で、クライマックスのツイストでは胸の潰れるような絶望が待っているが、これもとても面白い。
『ケージ・ダイブ』はいわゆるサメ映画のカテゴリに入ると思われる。いや正直サメ映画というものに対してサメ(笑)ハハッみたいな感じになってしまうのだが、このファウンドフッテージはそうした、サメが台風で巻き上げられて振ってきたり狼と遺伝子融合したりする映画とは一線を画す(失礼)シリアスなもの。
報道番組等の様々な映像をマルチレイヤー的に組み合わせた導入部も好きなスタイルだし、それと後半部の一台のカメラによる逃げ場のない映像の対比という構成もいい。じっとりと粘つく様な絶望を積み重ね、キリキリ追い詰めるような陰湿なやり口、主人公たちがその中で取り返しのつかない失敗を重ねていく様を淡々と捉えた内容は、むしろクラシックなホラー的なものとすら言えるかも。
同時期に上映していた、煮ても焼いてもフカヒレにしても食えないサメ映画『海底47m』の陰に隠れていたのが全く納得いかない一本。


『SING』
アニメ部門。
普段ピクサーとかのCGアニメ映画みたいなものを全然見ないのだが今年のこれは素晴らしかった。今年は逆に邦画アニメを全然見なかったので普段と逆かな。
意外にも適度な苦みを含んだ、大人向けなミュージカル作品でもあるかなと感じた。
ユーモアで満ちているけど、その影に常に淡い悲しみが滲む。なんでこうなった?いつもうまくやれない?どうして私だけ?そんな等身大の悲しみを音楽の力を借りてポジティヴなものへと転じていくラストに笑顔のまま滝の涙。
自分はある種CGアニメというものを舐めていたなと思っていて、だからそれがこんなにも真っ直ぐに映画の喜び、映画の美を体現してくることに強く胸を打たれたのだ。


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
『ローガン』
アメコミ部門。
突き抜けたコメディであった『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の一作目がマーベル映画の枠を拡張したところから現状の流れがあって、その先端に来たのがこの二本かな。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の二作目は冒頭の"ミスター・ブルースカイ"から極まった最高の音楽とスパイスの利いたユーモア、意外にもエモーショナルなドラマの三位一体で見せる最高のエンターテインメント。これだけ大規模なものになってもジェームズ・ガンらしさが微塵も失われないのが素晴らしい。
『ローガン』は極北のアメコミ映画ではないだろうか?そしてその極北の地点で、アメリカというものが真っ向から描かれている。クラシックな西部劇をベースに、恐れることなく"この時代の物語"を語り切ったこの映画は、アメコミ映画のアイコンのひとつであった「ウルヴァリン」の物語の一旦の終わりということも含めて、ジャンルの記念碑的作品になるだろう。
ヒュー・ジャックマンはこの映画でウルヴァリンの役を降りることを決めていたが、プロフェッサーXのパトリック・スチュワートも、完成した映画を観て涙しながらジャックマンに「僕もやりきった。全部終わったんだ」と役を降りるのを伝えたという、そんなエピソードも感動的だ。


『メッセージ』
ベストSF。
同じドゥニ・ヴィルヌーヴでやはり今年公開された『ブレードランナー2049』よりずっと良かった。
そんでそれは音楽があちらはハンス・ジマーでこちらはヨハン・ヨハンソンなのが大きいという気がしているが…。
それくらい音の、いうならば音楽の映画だ。
ミニマル/ドローンという音楽が提示するオルタナティヴな時間の在り方に呼応するようにして、その奇妙な物語が語られていく。
運命とか宿命とかいう言葉は敬遠されがちだけど、ここに人を愛するということについての不思議な感覚のひとつの答えがある。
"いつかあなたを愛するということをずっと忘れていた"。
「あなたの人生の物語」という原作タイトルが、クライマックスに至ってその意味を明らかにしてくる。


『バーニング・オーシャン』
『パターソン』
これは特に部門とかはなしで…(え…)。
安定のピーター・バーグで見せる『バーニング・オーシャン』は、実際の海上石油プラント火災を描いたものながら、映画的な面白さに満ちている。『イントゥ・ザ・ストーム』的な、怖いほどの臨場感を伴ったカタストロフ描写と巧みな編集によるハイテンポなサスペンス。これぞ映画!と思い知らされる一本。
『パターソン』は『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』でもチラ見せしていたジャームッシュのまったり路線が極まった日常系ドラマ。変わり映えしない、なんてことない一週間の、はっとするような豊かな美しさを淡々と描いていく。映画も素晴らしいの極みなのだけど、ポスターの美しさも今年一番かな。
主人公の夫婦の毎日の微妙に違う、しかしほとんど同じな寝相の朝の姿が順に綴られているのだが、そこにこう添えられている。「毎日が、新しい」。


『ソニータ』
ベストドキュメンタリー。
イランでラッパーを目指す女子を追っているが、昨年のベストドキュメンタリーに挙げた『FAKE』と何気に重なるところがある。
つまり、制作者が映画で捉えられる現実に対して、ある時点から能動的に介入していくようになる。ドキュメンタリーの限界を…客観性の壁を…超えていく。
そのスリリングさによって、めちゃくちゃ面白く、また胸を打つような内容になっている。


『ラ・ラ・ランド』
これは作品賞というか。
昨年もこういう枠を設けたけど、二番目の映画かな。
とにかくほぼベストと言っていいくらい、しかもそれは一点突破の強みによってもたらされているわけでなく、映画としての総合的な完成度によってもたらされている。
音楽と一体になって様々なイベントが流れていく様をロングカットで、しかもミュージカルなので役者たちが歌いながら、という、奇跡のような映像がひとつなぎになっている。そんなテクニカルなものでもって語られる物語はきわめてシンプルで普遍的なメッセージのためのものだ。
きみは夢を見続けてね。
観終わってずっと、映画が好きで本当に良かったなという気持ちに包まれた。
ラ・ラ・ランドは"夢心地"という意味だそうだが、これは夢のような映画、というより、映画の見た夢だ。映画はきっとこうなりたかった。そう言いたくなる。


ベスト。
『女神の見えざる手』
アメリカで銃規制という土台無茶な戦いに挑む最強ロビイストの話。
濃密な情報がハイスピードで流れていく挑戦的な映画で、必死で情報を追いながら観るうちにいつの間に没頭させられる。
しかしこの映画が何でこんなに自分の中で引っかかったんだろう?と考えると、これもある種決闘の、闘争者についての映画だからじゃないかという気がする。
その勝利のために、どんな手でも使えるか?味方をすら欺けるか?自分をすら犠牲にできるか?頭脳でもってその極限までいく主人公の姿の異様さ。というか、主人公はもう明快に人間として壊れているのだが、その壊れているゆえに、この勝負において決定的な強さを発揮できる。
やはり自分はそういうものを見るのが好きなのだろう。
あと自分の中で映画を観るときに音楽ってやはりとてつもなくデカい要素で、その意味でもこの映画は素晴らしかったな。
マックス・リヒターが担当するサントラは、ミニマル/ドローンで静かに映画の緊張感を持続させる役割に徹しているのだが、終盤のある地点で劇的な展開を見せる。映画自体の早いテンポに対して、音楽が全体の物語のテンションをひとつにつないでいる。そういう構成の見事さ。


最後に旧作について少し。
『そして父になる』
『永い言い訳』
『君が生きた証』
『マジカル・ガール』
『そして父になる』は今年旧作を結構さらって観た是枝監督作品の中で最高だった一作。そして是枝監督のお弟子さんにあたる西川監督が似たモチーフを使って撮っている『永い言い訳』。方や、6年間育てた子どもが取り違えで他人の子どもだったと告げられる夫婦の話。方や、不倫相手と会っている間に妻が事故で死に、でも何の感情も湧かず泣くことも出来ない夫の話。
結構重いテーマをそこまで重くなく、映画的な美しさに溢れたはっとするような描写とともに描いている。
『君が生きた証』はバンドもの。学校で起きた銃乱射事件で子どもを亡くした親父が、数年してから子どもの遺品の中にその子が書いていた曲を見つけ、歌い始める。この映画はとにかく前情報を入れずに見てほしいのだが、まあ有り体な感動ものかと思って見ていると、中盤のあるシーンで、映画の意味が、それまで見えていたものがすべて反転する。
それまでの物語で自分が抱いていた感情とは何だったのか?観ている者を問題の真ん中にいきなり連れてくる、見事なつくり。
サントラも素晴らしくて買ってしまった。
『マジカル・ガール』はスペインの暗黒魔法少女映画。貧しい父親が、難病の娘の「魔法少女になりたい」という願いを叶えるため社会の闇に落ちていく。過酷な現実の反作用として願いが生まれる→願いが叶う反作用として現実に闇が生まれる、という円環の理をなしている辺り正しく10年代の魔法少女譚なのかもしれない。
大胆に切断と省略を繰り返す編集が渇いた恐ろしさをもたらしていて、ある種ホラー的とも言える内容。


以上、長い!


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あと今年はこれについて書きたかったのですよね。
マンガ。

本格的に電子書籍を買うようになったら読む冊数自体はかなり増えて、いろいろ読んだんだけど、今年始まったもので目に見えて素晴らしいなというものがいくつかあり。


『リウーを待ちながら』
富士山麓の街で伝染病が発生して…というパンデミックものなのだが、真に迫ったリアルさと、キリキリと締め付けるような怖さがある。
ソダーバーグの映画『コンテイジョン』も思い出させる内容。
淡々とロジックを積み重ねて作っていった情景が地獄のそれっていうところに何ともぞっとしない思いにさせられる。



『ようことよしなに』
主人公のマキが女子高生の頃を回想する。そこにはいつも、ムカつく友達のようこちゃんがいる。
ヘロヘロ脱力の日常ものと、ふいに差し込むひりつくような痛み苦み。
どういうところに持っていきたいのか今の時点では分からないような妙なテンションだけど、いきなり胸の芯を突いてくる。
やはり自分はあり得なかった「あの頃」みたいな形で現れる青春ものが好きだ。
音楽の喜びが美しく描かれていることも嬉しい。



『私と彼女のお泊まり映画』
これは正確には昨年末に一巻が出ていたのですけど。
映画マンガってひとつのジャンルになりつつあるけど、自分からすると全然面白いと思えるものがなくて。
まず一番前提のところで自分がそういうものに求めているのって、自分の知らないものをレコメンドしてくれるってことなんだけど、そこでいうと今の映画マンガっておしなべてお題でする大喜利でしょう。
どのマンガも怒りのデスロードについて描くのが象徴的なのだけど、みんな当然見てるだろうという作品で大喜利。
でもまぁ確かに人の知らないものを薦めるみたいな物の需要が自分以外に全然ないってのは分かるところではあって。
その知らないものを薦めるってことはこのマンガでもやってない。
ただ、他の映画大喜利マンガに比べると違う点があって、何かというと、ほとんど映画の内容に触れないこと。
その代わりに…例えばパンズ・ラビリンス観る回で、観終わった後二人で掌に目を描いてわちゃわちゃする、とか、ハリポタ観た後にウィンガーディアムレビオーザ!って言いながらどつきあう、とか…つまり、その映画を観た当人たちの間でしか共有できない"あの感じ"を描いている。
これって読者への信頼というか、映画マンガとしてとても倫理的な立ち位置なのではないかなぁと思っている。



『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック』
植芝先生らしい常軌を逸した変態的な描き込みと、それに負けない変態的な内容の青春マンガ。
死んだ親父と同じ高校に入ったら、親父の高校時代の記憶がフラッシュバックしてくるようになってしまって困る。親父の目を通して見る彼女…つまり自分の母親が、めっちゃかわいいから。
変態的ではあるがカラッと明るく健康的なトーンで描かれているので、後述する『血の轍』とセットで読むことで解毒剤的な効能も発揮するのではないだろうか。



『月曜日の友達』
『ちーちゃんはちょっと足りない』という本は10年代漫画史に残る傑作だと思っていて、だからそこに自家中毒的にならずに作者が新しいものを生み出していけるんだろうか?と恐る恐る読んでいるのだが、今回またトーンが変わって期待させる。
埋め尽くすような長台詞と、同レイヤー上に混じり合うように配置された詩めいたモノローグ。描かれる物語は今までになくキラキラした真っ直ぐな青春もの。



『CICADA』
荒廃した未来の日本の管理社会で過去のマンガが焚書されている(焚書官曰く「この国にそんな余裕はねーんだよ」)、主人公は焚書官の下働きをやっている。主人公は焚書官の下につき、マンガを秘密裏に楽しむレジスタンスたちと対峙する。
無力なレジスタンスたちはマンガを取り上げられ、燃やされるが、それでも涙ながらにマンガのすばらしさを語る。
レジスタンスの男が死んでも離さないと胸に『うる星やつら』の単行本を抱いて、言う。
「あんたなんかに…そいつの価値はわからない。
この漫画の中にはな あたり前に空を飛ぶ少女が出てくるんだぞ。
それに主人公の「あたる」って奴は、バカでスケベでなんの取り柄もないのに……
どんなに女にこばまれても 絶対に折れないんだ」
目に涙を浮かべて幸せそうに笑い、続ける。
「しかもヒロインは、そんなクズみたいな男をずっと好きでいるんだ…」
自分の場合、先人への経緯/Zeroな人間なのだが、このマンガは真っ直ぐ胸に刺さってきた。
精緻でテクニカルな手法で、しかし伝えようとしていることはシンプル。こういうのに弱い。
ちなみに作中で取り上げられるマンガは幅広く、『最終兵器彼女』なんか自分的にはドストライクなところだったり。


あと今年完結したもので

『セトウツミ』
映画化もドラマ化もした人気作だけど、エンディングに圧倒された。
まさかこんなものが待っているとは。
切れ味鋭い日常ギャグであったものが一気に全く別の話に姿を変えた形。
実に映画的とも言えて、だから連載の途中で映画化したのはちょっと勿体なかった気も。


はいベスト

『血の轍』
『悪の華』とかの押見先生の最新作で、今までの作品も好きだったけど、これに関しては全く別のもの。本当に凄いもの、圧倒的なものって、単純にこんな、全然違うんだという気持ちにさせられる。
過保護が行き過ぎる母親の話なのだが、今年出た一巻と二巻とも一冊の本としてクライマックスに向かっていく流れがそれぞれ素晴らしく、まずそこから満点。
漫画としては極端にセリフが少なく、コマも大きい。キャラクターの表情で見せるというテクニカルな技法。
そして驚くのがセリフの扱い。Aという感情を表現するのに、Aという言葉を使わない。一見文脈に関係ない発言やどもりなど、言葉と感情の接続が巧妙に切断して提示される。そしてそのギャップから立ちのぼってくるものがある。
自分で想像もしないものに直面した時の人間の反応を、どうしてこうもリアルに描けるのだろう。
怖さと美しいものを見たという気持ちと爆発しそうなモヤモヤと、こんな読後感になる本はそうそうない。
既にして傑作。


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音楽!
今年音楽聴かな過ぎてヤベーって感じなんですがそれはそれとして10枚選びました
細かいところはリンク先の記事で語っているので一言ずつ
例によって記事では2~3枚一緒に書いていて、対象の盤が2番目とか3番目に掲載されている場合があります


best of 2017


Meysson/Loubatière Duo 『Sédition』
これはもうシンプルなギター&ドラムスデュオの即興ノイズロック。
昨今この編成での即興で刺激的なものが多く出ているけど、これには吹っ飛ばされたな。
カッコよすぎ。

Marco Fusinato 『Spectral Arrows: Venice』
マルコ・フシナトのギターによるノイズ実験最新作ライヴドキュメントはシリーズ中でも最高の出来。
清々しいくらいにギターの要素ゼロでサイコー。

Greg Fox 『The Gradual Progression』
グレッグ・フォックスのソロ作はカラフルな世界観を超絶ドラミングが結びつけてひとつにする脳内サイケデリックワールド。
とにかくこの人のドラムは脳の構造から違うんだろうなという感じ、凄いとしか言いようがない。

Michalis Moschoutis 『Nylon』
このLPにていきなり出てきた感のあるミハリス氏だけど、これは傑作かと。
アコースティックギターの極限演奏を通して、楽器を演奏するとはどういうことか?という問いにまで至らせる。
しかしここまで書いて、今年はギターの音楽が好きだったんだなと思った。

Don & Camille Dietrich 『Dietrichs』
ドン&カミーユのノイズ親娘によるアコースティックセッション。
とにかくブチギレバキバキって感じの内容で耳破壊されながらヘドバン。
聴いてると最後のほうなんか爽やかな気がしてくる一枚。

Cristian Alvear / Cyril Bondi / D'incise 『Stefan Thut 'ABC, 1-6'』
スイスのおなじみ実験音楽家三者によるセッションだけど、異様なのは音の少なさ。
ここまで音がない/無音が多いものってそうそうないんじゃないか?音楽とは?という気持ち。

Perlonex 『Perlonoid』
生々しい持続音ベースで絞って絞って爆発!というアンサンブル、こんなの大好きだって言ってんの!って感じですか。
textile trioとかちょっと思い出させる音。

Joachim Nordwall 『The Ideal Black』
今年最強の暗黒音楽ではないかな?
物理的な振動にフォーカスした徹底してモノトーンのヘヴィ・ミニマル。

My Disco 『Severe』
旧作から一枚失礼、今更知った2015年作。
廃墟のディスコ。ロックンロールの究極形態。


ベスト。

Bill Orcutt 『Bill Orcutt』
ビル・オーカットのセルフタイトルは、意外にもトレードマークの激しく叩き付けるアコースティックギターを封印したものだった。
しかしそれによって浮かび上がるのは、音楽としての本質的な美だ。
何も説明も言い訳もしない、ただ"ふつうの"音楽だけがそこに素っ気なく提示されている。
オーカットの音楽って何かというと一回性の音楽、その時その場にしか現れないようなものを刻印する音楽だと思っていて、それがここにも豊かに表現されている。
気まぐれなニュアンスで満たされた演奏というか。
初聴時、"Ol Man River"で放心しながら落涙。
ただの美しい音楽。



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エーーーーーー
そんな感じでクソ長い中ここまで読んで頂いてありがとうございます
あとは僕は年末年始の死の労働が待っているだけなのですが…
まわりの人にはあいつなんか付き合い悪いなって思われてるかもしんなくてまぁそれは自分の表現の仕方とかが悪い面もあるんですけど
全然あなたの事が嫌いとか行けたら行きます(笑)的なこととかじゃなくて労働がクソすぎるだけですから!僕は自分の事を気にかけてくれる人たちの事が大好きだしいつも出来るだけのものを何とか返したいと思ってますから!ハイ
…というか何というか仕事、辞めてぇーーーーっ!という感じの昨今ですがハイ笑
無事だったら来年またお会いしましょう。



あと最後に例年通り今年の良かった同人音声作品のリストを載せておきますので使う人はこっそり使って(意味深)下さい。
10本選定。
こちらです。
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