きみへの距離、1万キロ、夜空はいつでも最高密度の青色だ、バンド・エイド、ヴァレリアン、ラッキー

ドカドカ映画を観ているのだが、今ちょうど一か月くらい前まで記録を遡って特に良かったやつについて書いていこうと思います


きみへの距離、1万キロ
これ一番最近観たやつね。
いやあ良かった。
アメリカに住む主人公の仕事は、北アフリカの石油パイプラインを警備するクモ型ロボットを遠隔操作するオペレーター。
そんな仕事を夜勤でやっている。
ある日、ロボット越しに現地の女の子が困っているのを見つける。身売り同然に金持ちの家に嫁がされそうになり、彼氏と一緒に国外に脱出したいらしい。
夜毎やってくる、何の意味も見いだせない仕事。でもここでほんの少しでも世界を変えられるなら、自分がここにいる意味もあるのかもしれない。いや、誰かに分かってほしい。僕はここにいると。誰か僕を見つけて。
なんかこの話はやたら純愛という言葉で売り出されているんだけど、実際観てみるとそう単純じゃないことが分かる。
確かに、女の子の身売りの話は酷い現実という他ない。ただ、それに対抗するために主人公が持ち出す武器は、グローバリゼーションの帰結としての彼我の圧倒的な経済/技術格差。
そもそもこの話の根底には、アメリカの企業がアフリカに石油施設を作り、そこから現地人が石油を「盗んで」いる、という構図が土台にある。
そこに視点を置いた上で、主人公がしているのはどういう事なのか?と考えると見え方が変わってくる。
ただ、いや、だからこそ、終盤での主人公の嗚咽交じりに語る本音は胸を揺さぶるし、この不完全な世界でどこかぎこちなく、それでもという風に歩みを進めるクモ型ロボットの動きにも薄っぺらじゃない説得力、温かみが宿ってる。
もうちょっと苦い結末でも自分的にはいいかなと思ったけど、とはいえこれは非常に良かったです。


夜空はいつでも最高密度の青色だ
これ元になってる詩集の中二感にお、おう…ってなってしまって見てなかったのですが、とても良かった。
東京で過酷な現実を死んだ目をしてやり過ごしながら、生き返るための何かを探す人たちの話。
主人公は日雇いの土方やってて、その同僚に50過ぎのおっさんがいる。
一緒に飲んでると、このおっさんがコンビニの店員に惚れちゃったって話をするんですね。
「こんな暮らしだけど、生きてるんだ、恋もしてる。ざまあみやがれ!恋してるんだ!」
外に出ると、今日これからデートなんだ、と言うが早いか、疾走し始めるおっさん。でも腰痛めてるんですよ。このおっさんは。
「え?走るの!?」と主人公。それに対するおっさんの返答。
「早く会いたいから!!」
こんな映画は最高だって言ってるんですよ。
全体に前向きで人間への信頼が感じられるのが心地良かった。
「何かとてつもなく良いことが起こるかもしれない」。


バンド・エイド
これはアマゾンビデオで先行配信してたやつ。
喧嘩してばかりの険悪な夫婦が、ガレージで高校の頃やってたギターとベースを見つける。
これでもう一度やり直せたら。
なのに、一緒に練習を始めるや否や喧嘩になる。
互いへの罵倒が歌になって、無限にフレーズが溢れ出してくる…。
ゾーイ・リスター・ジョーンズさんって女優さんが、主演・監督・作中音楽の作曲と全部やってて、なんか全部上手くいってる。ズルいな。
コメディなんだけど、中盤にちょっと話の軸の転換があって、そこで物語が一気に深い色を帯びる。
シングでも思ったけど、やっぱロックンロールという言葉の意味は、ひとつには、悲しみを叫ぶこと。エネルギーに転じること。これで。
吹き替えなしで役者たちが実際に演奏する作中バンドの演奏も、リラックスしたクリブスみたいな感じでスゲー良い。
サントラ買ってしまいました。
これ
The Dirty Dishes EP (Original Songs from the Motion Picture "Band Aid")


ヴァレリアン 千の惑星の救世主
コレもスゲー楽しかったですね。
定期的に出てくる、IMAX3Dの為に作られた映画。
画面の奥へ奥へと…つまり映画の中へと…突き抜けていく映像の快楽。
無数の宇宙人が研究の為とやって来て次々自分たちの住み易いように増築、宇宙の九龍城砦のようになってしまったコロニーが舞台。
で、その宇宙人の中には水棲のやつも、ガス状惑星に住んでるようなやつもいる。
そんなだから、扉の向こうがどうなってるか分からないようなクレイジーな世界観になっている。
ビジュアルの目眩がするような楽しさ、奇妙な美しさの洪水とバランスを取るように、全体のノリは軽めというのも正解。
戦争紛争にノー、多文化共生にイエス、とカラッと宣言する心地いいヴァイヴス。
一瞬シリアスなテーマも嫌味じゃないどころか胸が熱くなるような。
私たちは、あなたがたを赦します。だからあなたがたは、自分たちの犯してしまった罪を決して忘れないで。
日本人だから特に思うのか分からんけど、こういうのって日本もアメリカも言えないことで、ヨーロッパだからなのかなって思ったり。


ラッキー
ハリー・ディーン・スタントンの遺作となった主演映画。
90歳の偏屈老人・ラッキーが、身体の調子が悪くなったのをきっかけにいろんな人と意見を交わして、やがて近いうちに人生が終わるということを受け入れる。
パリ、テキサスって自分にとっては映画いろいろ観始めたばかりの頃に観たうちの大切な一本で、だからいろいろ感慨深い。
とにかく個々のエピソードの語り口が抜群に素晴らしく、回想とかモノローグとかなしに的確に個々のかけがえのない情感を浮かび上がらせて見せる。
そう、それでラッキーはこう言う。「素晴らしい(ビューティフル)」。
だから〇〇するのさ。
美しい映画です、おすすめ。
作中にラッキーの歌とブルースハープの場面があるのだが、それもメチャクチャ良くて、スタントンのアルバム買った。
Partly Fiction
2014年にスタントンの自宅で録音されたもので、ほぼギターと歌、それからブルースハープ、一曲だけベースが入り、メキシコやアメリカのトラディショナルを歌っている。
曲について話したりする様子やなんか入ってリラックスした感じだけど、超一級の役者が歌うってこういう事なんだと思わせられる。つまり、生きてきた軌跡が鳴ってる。
これも最高のアルバム。


是非というものだけでこれだけ…そんな様々な作品を観てきた中で、本当におすすめしたいのがこれ!
怪奇蒐集者Special 六本木怪談 祟
怪奇蒐集者Special 六本木怪談 呪
怪奇蒐集者(コレクター) 村上ロック
いや、マジでこれ面白いんですよ。
いわゆる心霊映像とか、再現ドラマとか、そんなのと違い、ただ怪談師が怪談を語る、という直球勝負の内容なのだが、これがガチで怖い。
折に触れて言ってるけど、やっぱ怪談って、"談"、語るものなんだなって。
六本木怪談は "かくれんぼ"、"あの人死ぬよ"、"背後にいるモノ"、"百物語"あたり、それから村上ロックさんの単独作は全話素晴らしい。
部屋の電気を消して耳をすませて見て下さい。おすすめ。
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