FC2ブログ
 

 

 

高井息吹 『世界の秘密』

最近『ロジカとラッカセイ』てマンガ読んでたんですが、これがとても良くて。



少年とゆるキャラが文明が終わったあとの地球でダラダラするシュールギャグ、みたいな感じの内容。SFと言っていいのかな。
そのシュールギャグもギャグセン鋭くて笑かされるけど、当然それだけの話でもない。
マンガで、表象と意味のギャップみたいな表現ってありますよね。
例えばカイジって読む前は「こんな板みたいなキャラクターに深い内面なんてあるわけがない」って思うんだけど、実際読むと人間の内側のドロドロしたものとか精神的な駆け引きの濃密さにグッと引き込まれたり。まああれは意図してそうしてるのか測りにくいとこがあるけど、こういう手法って例えば阿部共実は意識的にやっていて名手だったり。
これは映画や音楽だと不得手な表現で、マンガの武器のひとつだったりする。
で、これが『ロジカとラッカセイ』ではいろんなレベルで巧妙に組み込まれている。
主人公のひとりのラッカセイ…これゆるキャラのほうがこの名前じゃなくて人間の少年の名前がラッカセイなんだけど。そんな名前ないだろって思って読むとその意味するところに圧倒されたり。こういうトボけたネーミングセンスが、実際の意味は…みたいなのは他にも出てくる。
木を触ってる人がいて、「何してんの~?」と聞くと「スイッチを探してるんです この木はハズレでした」と返って来る。ラッカセイくんは(相変わらず訳分かんねーこと言ってんな)と思うのだけど、これ自体はそういう冗談なのかと思ったら、あとに実際に木のスイッチを押している人が出てきたりとか。
表情の読めないゆるキャラみたいな妙な登場人物が多いけど、その内面の実に人間くさい感情であったりだとか。
ナンセンスな笑いと思っていると、その裏からちらりと世界の秘密が覗いている。その秘密はいつも少し悲しくて、でもそれが大袈裟さも一切なくただ置かれているだけという温度感が、作品独特の空気を生んでいる。
そんでその置かれている悲しさに気づいて触れるたび、少しづつこの世界や登場人物たちが愛おしくなっていくのですよね。


そんなわけで世界の秘密についてのマンガ…っていうことなんで




写真はツイッターから失礼します 楽なんで

先日『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』という映画を観たら、タイトルの印象に反してかなり良い映画だったのだけど(タイトルバックが映画始まってから15分位して出てくるとか、それだけで「おっ、いいな」ってなりませんか?)、その映画で何曲か掛かっていたのが高井息吹の曲。
これがべらぼうに良く、『yoru wo koeru』『世界の秘密』という二枚のアルバムが出てたんでソッコー買いましたはい。

1st『yoru wo koeru』、自身のピアノ弾き語りを中心にしていて、ノスタルジックで夢見心地なメロディ、独特過ぎるヴォーカルスタイル(強いて言えばcharaっぽい)はこちらでも存分に味わえるのだけど、自分はやはり2nd『世界の秘密』に圧倒されたかな。
SSWのアルバムって、ほぼ全曲同じメンバー同じ編成で録音されてる"実質バンドのアルバム"みたいなパターンがあって、自分はそういうので好きなアルバム多くて。で、『世界の秘密』も例に漏れず「眠る星座」という名前までついたバンド編成での録音の作品。
前作にはなかった青空に突き抜けるようなポップナンバー"Carnival"はギターのヒステリックなフィードバックノイズから始まる。乱暴なステップを踏むようなピアノがドカドカ叩きつける。続く"honey"でも軽やかなメロディといい意味で乱暴なアンサンブルが絡まってる。中盤の空間ギターとピアノが飽和するビッグバン的な音響に至る展開は聴いてて笑ってしまうくらいスゴい。
アンビエントベースに少し上のレイヤーで自在に変化する打ち込みリズムの"saturday afternoon"はチューニングが半分外れて混線してるラジオみたいだなと思って聴いていると実際にそんなサンプリングが入ってくる。
"marionette"は特に好きな曲で、ノイズめいた強烈なギターと生真面目なチェロの対比、花が開くように一気に劇的な展開を見せるアレンジ、いきなり人力ブレイクビーツ的なパターンを放り込んでくるドラムと凝りに凝ったアレンジがアルバム中で特に目立っている。
ギターとピアノの即興アンビエント"水面"から潜水する"水中"は、静かなワルツで始まったかと思いきや踏みしめるリズム体と爆発するシューゲイザーギターへ遷移する圧巻の内容。

ポップスに必要な素晴らしいメロディがあって、シンプルな編成ながら凝りに凝ったバンドアレンジがあって、個性的な声があって、実はそのどれもが奔放と言えるくらいの自由さと遊べるスペースを確保している。
それとやっぱ自分はポップスこそ生々しくあって欲しいという思いがあって。そういうルーズさというか、リズムとか歌いまわしの、枠に収まらず過剰にあふれてるような部分が本当に良いよね。
これはもう最近ずっと聴いているアルバムになっていて、調べてみたらライブも普通に見に行けるいけるようなとこでやってらっしゃるんで、見に行きます。今週。

"未来 この歌が
嘘になってしまう日が来たら
La La La - i どうかぼくを 嘲笑ってくれ"



スポンサーサイト
 

Comment

 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可

 

Trackback

 
 
http://teardropmissingpiece.blog115.fc2.com/tb.php/568-95680d0a
 

プロフィール

 

伊達さん

Author:伊達さん
恐怖と雑音と
カワイイだけがオレの信仰
about

拍手する

 

最新記事

 
 

カテゴリ

 
 

月別アーカイブ

 
 

検索フォーム

 

 

twitter

 

 

リンク

 
 

FC2カウンター

 

 

RSSリンクの表示

 
 

最新コメント

 
 

最新トラックバック