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Mr.children 『DISCOVERY』





ミスチルことMr.childrenの中で一番好きなアルバム。
生まれて初めて手に入れたCDアルバムでもある(それまでもレンタルはあったけど)。
どこかに家族旅行に行った帰りのサービスエリアの売店で親に買い与えられたという謎のシチュエーションだったので、よく覚えている。
世の中にはなんて素晴らしい音楽があるんだろうと思って、毎日毎日飽きもせず聴いた。
それからラジオを聴くようになって、カセットに吹き込んではいろいろ聴き漁った。
中学を卒業して高校に入学する間の春休みで、ベースギターを買った。ほぼ衝動買いみたいな感じだった。
地元の駅前にあった楽器屋で、ベース入門セットという、ひとしきりのものが揃ったセットがあって、3万円だった。
映画の『マトリックス』で赤のピルを飲むか青のピルを飲むか選ばされるシーンのように、赤と青のジャズベースのどちらかを選べと言われた。
赤を選んだのは、『DISCOVERY』のツアーパンフで見た写真でベースの中川が同じ色のジャズベースを使っていたから。
最初の教則本はうまく飲み込めなかったんだけど(小中学とも音楽の成績が「がんばりましょう」「1」だった自分には何が書いてあるのか分からず…というかなんでそれで楽器始めようと思ったのだろう)、当時好きなバンドのひとつだったイエモンの廣瀬が書いた教則本が抜群に分かり易くて、何とか演奏できるようになった。
その流れでイエモンのシングル集のバンドスコアをそこそこ攻略し、次に買ったのが『DISCOVERY』のバンドスコア。
全部コピーした。


改めて聴いてみると、自分の好みの根元にあるようなアルバムなのかなと思う。
単一のメロディを反復しながら、何本ものエレクトリックギターが折り重なるように進行する"DISCOVERY"から、ガコンとバンドサウンドという感じで始まっている。それは本作のマニフェストのようでもあって、全体に渡ってバンドサウンドを中心としながら、ミスチルのアルバムの中でもとりわけシンプル・タイトかつパワフルな音作りが為されている。いや、この一曲目よりもっと前、モノクロのジャケットのところからそれが始まっていると言ってもいいかもしれない。
"光の射す方へ"もまた、グシャッと潰れたギターの強烈な音色で始まる。シングル曲にも関わらず7分近い尺のあるこの曲は、ハードな冒頭からポップで推進力のあるサビ、そしてポストロック的な後半部へと展開していく。この曲に限らず曲の長いアルバムという印象なのだけど、同時に「曲が長いと感じないアルバム」でもあるのは、やっぱシンプルなアレンジとサウンドによるところが大きいのか。
"ニシエヒガシエ"の入りのドラムフィルには今でも震える。バッキバキのサウンドはライヴアルバム『1/42』では更にビルドアップされていて度肝を抜かれた。しかしこれもよく聴くとガチャガチャと騒がしい訳でなく、実はアコギが軸にあるサウンドで、例によってシンプルアレンジで構成要素それぞれのヴォリュームを大きく見せること、メリハリをつけた展開で作るダイナミクス、そんな工夫でラウドに聴かせていると分かる。
先に話に出したツアーパンフの中でもインタビューに答えて「ネガとポジ」だとか「白と黒」だとか言っていて、二面性というあり方にこだわっていたのが窺えるのだが、本作の内容もふたつに分けられると思っている。ロック寄りなサウンドの楽曲とアコースティックなものを中心にしたサウンドの楽曲。ミスチルのアルバムにしては全体の統一感が強く感じられるのって、それが大きいんじゃないかな。
柔らかなアコースティック中心のサウンドの"simple"、"I'll be"、それから二面の間を蝶番のようにつなぐ"Prism"のような楽曲においても、共通して各マテリアルの感触が生々しく、それからメロディにはブルージーなものが深く滲んでいるように思える。要するにスタンダードなポップスのように綺麗に整えられたサウンドでなくて、またカラッと明るい楽曲というのもない。
このへんの、全体の感触というものを考えると、勿論本作はギターのサウンドが主役になっているアルバムではあるんだけど、それ以上にベースの音が全体のサウンドの印象に作用しているんじゃないか。
中域をゴッソリと使って常に強い存在感があり、そんな音でフレーズ的には音符のヌキが絶妙で、ベースが鳴っている/鳴っていないという場面ごとの区分がはっきりと分かれている。この辺りの音作りはこれ以前のミスチルではあまりなくて、それがアルバム全体で貫かれているのもまたこれが特別なアルバムと感じさせる要因でもあるのかな。"アンダーシャツ"のオートワウみたいなベースが主役になっているところも少なからずあるし。
独特なトレモロの使い方筆頭に、記憶の中にあるより数倍ド派手なギターが鳴っている"#2601"を聴きながらロックとしてのミスチルというものに少し思いを巡らしてみる。
"Atomic Heart"あたりまでは丸っこく軽やかなポップバンドという感じだったのが、"深海"、"BOLERO"になるとかなりロックな音になっていたという印象を持っている。ただそのロックは厭世としてのロックというか、アイロニカルなムードが強く出たもので、対時代的ではあるけれどどこかぎこちないところも感じさせた。明るく振る舞うこと、ポップであることに対して"ただ面倒くさかっただけ"、"形だけに目を奪われてただスマートに収まってようとした"ような。それを大きく感じるのは桜井のヴォーカルスタイルで、独特の嗄れ声はこの時期大げさな程までに強調されている。ただ、シングル曲の"名もなき詩"、"Everything (It's you)"あたりは、この時のヴォーカルスタイルあってこその名曲だと思うけれど。
それで改めて戻ると、"#2601"で特に気付くのだが、アルバム全般に渡ってヴォーカルに大きな説得力がある。丸くも尖ってもない、何より曲によって作り分けていない、ナチュラルなスタイルで、しかもそれがアルバム全体をうまくカバーできている…というところで、再三「アルバム全体のまとまり」というところに思い至る。
"終わりなき旅"では7分に渡ってシンプルなエイトビートが続いていく、にも関わらず転調を繰り返していくので、コピーしていた当時にこれは覚え難くてかなり難儀した記憶がある。これをシングル曲にしたのもまた勇気あるなあという感じ、ただそれは曲のタイトル、テーマに沿った決断としてのアレンジなのだろうというのは今は理解できる。1分間のアウトロ部がなんとも贅沢な尺の使い方。
アルバム中において配置されていた各要素の間を激しく旅していくような"Image"はかなりプログレッシヴな印象を与えるけれど、美しいメロディが全体をしっかり繋いでいる。60分を超える長いアルバム(ミスチルのアルバムとしてはこれが初だったようだ)の終幕としてこれ以上ないと思えるこの曲が実はアルバム中一番短いというのもちょっと面白い。


アルバムとしてここから先の『Q』はブルージーなところを多少引き継ぎつつも本来の彼ららしい華やかでカラフルなポップサウンドに、『IT'S A WONDERFUL WORLD』はもっと明快にカラッと開放感があり、『シフクノオト』は完全にポップサイドという感じでわりと華美過剰気味のサウンドに移っている。
『I ♥ U』がわりと『DISCOVERY』と近いように思っていて、それはこの流れの中で見るとシンプルかつ生々しいサウンド、パリッと二面に(アナログ←→デジタルという形で)分かれたような内容による。
勿論それぞれに好きなところがあるけれど、でも自分にとっては『DISCOVERY』が特別なアルバムなのだと、改めて聴いてみてなお強く感じた。



しかしなぜこのアルバムについて書いているんだろう?
なんか最近長いインターバルを経て再び?ポップスが好きになるに伴って、音楽の区分とかが本当にどうでもよくなりつつあり、そのせいなのかな?
最近よくあるやつで、音楽の趣味が○○歳で固定されるとか〇〇歳から進歩しなくなるとか、そういうことを聞いたときに、普通にいいことじゃん、みたいに思うのもあるのかな。
最近といえば思うのが、ここのところ昔あったこととか思ってたことみたいなのをよく思い出すんだよ。
で、その昔のことを参照しながらこうして昔聴いてた音楽を聴いて今の感覚で発見というか気付くことが沢山あって、それが面白かったりもする。
誰かが言ってた、音楽を聴くという行為の過去を参照しながら未来に期待する性質というのも、たぶんそういうことなのだろう。
てか、さっき「今の感覚で発見」って書いたけど、これ明らかに記事終わるタイミングなんだよね。
DISCOVERYって発見って意味だから。
なんかそういう上手い感じの締めをすれば良かったな。
まあとにかくさ、ポップスが新鮮に聴こえたり普通だったら多分そこまで行けなかったような気付きがあるって、まわり道したんだとしても、いろんなもの聴いてきたの結構良かったかな、ってなんか思ったね。
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